第3話 放課後①

 普段なら、学校が終わったら家まで直行しているのに、今日はカラオケにいて、今は夕陽さんの歌声を聞いている。普段と違う状況についていけてない。どうしてこうなったんだっけ…



***



「山田さん、今からカラオケ行かない?」

「え、うん」


 帰りのSHRが終わって帰ろうとしていると、夕陽さんがやってきて目を輝かせながらカラオケに誘ってきた。私は断るのが苦手なのだろうか?今まで一度もカラオケなんて行ったことがない。人前で歌うなんて絶対恥ずかしい。とっさに出た言葉に後悔している。まず、カラオケってどこにあるのだろう。放課後に誘ってくるくらいなのでそんなに遠くはないと思うが、普段と違うことをするのは疲れるので面倒くさそうだ。

 夕陽さんに連れられて主要駅にやってきた。普段の登下校で乗り降りしている駅なので、まぁ、帰りに困ることはないだろう。



***



 そして現在に至る。どうして夕陽さんは人前で堂々と歌えるのだろうか。カラオケは普段出せない大きい声で歌えるのは魅力的だと感じるが、人前で声を出すのが苦手な人にとっては関係ない。幸い、今日は夕陽さんと二人きりなので大勢の前で歌うようなのではないから大丈夫だが。いや、逆に二人きりのほうが恥ずかしくない??

 それはそうと、夕陽さんの歌声は可愛くていい。普段から声が高いのし歌いなれているのか高音を聞いていて気持ちいい。


「疲れた~ちょっと休憩~」


 カラオケに入ってから20分くらいだが私はまだ歌っていない。ずっと歌わせていることに、すこし申し訳なさを感じていた。歌いたいから歌っているのではあるだろうけど。夕陽さんの歌声を聞き入って満喫していたのだから、私も少しは歌うべきだろう…聞いていて少し歌いたくなったとかではない。一昔前に流行っていたJ-POPを入れる。





 結構恥ずかしかったというか緊張したが歌い切った。こういうのはやりきるのが大事だ。


 それからある程度歌って、解散となった。カラオケには一時間弱くらいいたのかな。初めてだから心配だったけどそれなりに楽しめたのでないだろうか。なんでもそれなりにできれば上々だ。

 布団に入って、今日の出来事を思い返す。さすがにいつもより濃かったのか、いつのまにか眠っていてまた今日が終わった。



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