第2話 体育②

 体育があるね、と山田さんに話したとき山田さんの表情がかなり硬い気がした。運動がそこまで好きじゃいのだろう。私は、体育があるとその日はいつもより元気が出てくるから、楽しみを共有できないことは残念だと思う。好みなんて人それぞれだからしょうがないけど。



***



 キュッ、とシューズと床が音を立てている。チームの人とパスを回しながらシュートを決めたり、決められたり。体を動かすのは、気持ちがいい。バスケはジャンプしたり走り回ったりと動きが激しいので特に。

 試合は終盤になって、残り10秒くらいで相手がシュートミスしたボールを何とかとり、一気に走ろうかと向こう側のゴールを見ると、山田さんがスタンバっていた。


「山田さん!!!」


とパスをする。少し戸惑っているように見えたので、パスを渡さないほうがよかったかも、と思う。…嫌味とかじゃなくて、普通になんか、悪いことしたなって。でも山田さんは、案外すっとシュートを決めた。

呆気にとられている山田さんのもとへ走っていき、「ナイス!」と言い喜びを分かち合う。山田さんの反応は鈍くこちらの声はあんまり届いていないようにも感じたけどそれでもいい。高校にはいってから初めて笑顔を見られたのだから。

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