第2話 体育①

「おはよー!今日は体育あるね~」

「おはよ」


 夕陽さんと話すのがここ数日で日常となっていた。私から話しかけることはないが。

一学期の種目は何だっただろうか。


「種目は…バスケだっけ?」

「そうだね。」


 バスケ好き?と夕陽さんは問いかけてくるが、得意でもないし首を横に振った。そんなバスケをしているように見えたのだろうか。いや、女子の中ではたぶん身長が高いからかな。

 バスケは好きというわけではないが、まだ体育の中ではましなほうだ。卓球やバドミントンなんかはペアを組まなければならい。中学の頃は余ったこと組んだが、ペアの子は少し気まずそうだった。たいてい私は気まずさなど感じないが、さすがに相手が気まずそうにしていたら何かくるものがある。



***



 体を動かすことに少しのめんどくささを感じながら体操服に着替えて、体育館へ向かう。体を動かす気持ちよさがわからないわけでもないが、そうといってわざわざ動きたいほどでもないと思う。


「山田さんチーム同じだ~」

「よろしくね」


 勝手な想像だが、夕陽さんは上手なんだろうなと思ってる。体力ありそうだし。

ピー、と笛の音とともにゲームが始まる。ボールを回されてもどうしたらよいかわからないので、パスを受けやすい位置にはいかないようにしよう。なにもしないと時間の流れが嫌に遅いので相手チームのパスの邪魔くらいはしてみる。暇つぶしにはなるかな?


ゲームは終盤になったあたりで私はゴールの近くに立っていた。相手チームがボール持ってるし、パスが飛んでくることもないだろう。そんなことを思っていると


「山田さん!!!」


夕陽さんがボールを奪ってこちらにロングパスを飛ばしてくる。え、やば、どうしよ。


「決めて!!!」


続けて夕陽さんの声が聞こえてくる。シュートしてみるか。もう時間が終わりだろうし。焦りながらなので力のかけ方が変になってしまった。これは入らないな少し残—

シュッ


「山田さんナイス!!」

「う、うん。」


 夕陽さんが走ってきた。もともとシュートなんて決めれないので、力のかけ方が変になったのがよかったのだろうか。少しの爽快感を久しぶりに感じて授業を終えた。

残りの今日もゆっくりと過ぎていきまた今日が終わった。

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