第1話 お昼ご飯②

「山田さんおはよー!」

「…おはよ」


 私には最近仲良くなりたい人がいる。猛烈に。隣の席に座っている山田さんだ。山田さんはとても落ち着いている。高校受験の日だってそうだった。



***


 はぁ、これから受験なのか...

勉強はずっとやってきたし、成績的に簡単に受かることができる。それでも、緊張はしてしまう。昔から本番はどうもこうなのだ。


気持ちわるい...


気分が悪くうずくまってしまった。それでも人の流れは乱れることなく延々と続いている。それが追い打ちとなり、落ち着こうにも落ち着きようがなかった。



「大丈夫ですか?」



一人の女の子が話しかけてきた。セーラー服姿であったのでおそらく、私と同じ受験生なのだろう。無表情ではあったが、今この空間で取り残されていた私には、落ち着くには十分すぎる優しさだ。


すぅぅう、はぁーー


大きく息を一つはいて、


「すみません!もう大丈夫です!ありがとうございました!」


大きくお辞儀してお礼を言うと、もう気にする様子もなく私がこれから向かう先へと歩いて行った。

あの子と仲良くなりたいな...



***



その少女というのが山田さんだ。同じクラスになれるかもわからないし、まずその子が受かって何クラスにいるかなど知る方法もなかったが、同じクラスでしかも隣の席だなんて!!!

神様は味方してくれたみたい。まだ仲良くはなれてはいないけど。

仲良くなるべく、今日はお昼ご飯に誘ってみようか。

お昼になって山田さんのところまで行ってみる。大層に言うほど距離もないけど。


「一緒にご飯食べよー?」

「まぁ、いいけど」

「やったー!」

快く—というわけではなさそうだけれど一緒に食べるこができるみたいだ。

 山田さんの弁当を見て思わず声が出る。


「おぉ...」


この反応して何も言わないと変な気もするので


「山田さんのお弁当,すごくおいしそうだね!」

「まあね」


山田さんの表情がいつもより動いたように見えた。


「もしかして自分で作ったりした?」


あてずっぽしてみる。


「そうだよ」


本当にそうだとは思わなかった。それで表情が変わったのだろうか。よっぽど料理が好きなんだろう!

楽しくお昼の時間を過ごしてから午後の時間は過ぎていきもう寝る準備そしているところだ。

ベットに入って今日のことが自然と思い浮かんでくる。頬をゆるめて眠りについた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る