第5話 影狼の王
[分析結果]
名前:シャドウウルフ
ランク:D
特徴:暗闇での戦闘に特化
弱点:光、急所は喉元
「リック、明かりを増やせ!光が奴の動きを鈍らせる!」
リックはすぐに腰から火打ち石を取り出し、持っていた松明に火をつけた。明るくなった空間で、シャドウウルフが一瞬怯んだ隙を突き、リックが剣を振り下ろす。
だが、シャドウウルフは鋭い動きでかわし、こちらに飛びかかってきた。その瞬間、俺は地面に落ちていた尖った石を拾い、思い切り投げつける。狙いは喉元だ。
「これでどうだ!」
石が急所に命中し、シャドウウルフは呻き声を上げながら倒れた。リックが剣を収め、驚いたように俺を見た。
「お前、戦闘でも冴えてるな。相棒としては十分以上だ。」
「お互い様だろ。俺だけじゃここまで来れない。」
魔物を倒しながら第2階層に進むと、壁に埋め込まれた月光石が淡い光を放っている。それを見た瞬間、手の甲の紋様が強く輝き、頭の中に声が響いた。
「条件を満たしました――スキル『完全分析』を解放します。」
視界が一気に拡張し、洞窟全体の構造や魔物の配置、さらには隠された宝箱やトラップの位置までが詳細に浮かび上がる。俺はその変化に驚きつつも、すぐに冷静にリックに伝えた。
「リック、次の部屋に落とし穴がある。それと、右側の壁に隠された宝箱があるはずだ。」
「お前、本当に何者だよ……!」
リックは半信半疑の表情を浮かべながらも、俺の指示に従って慎重に進む。そして言った通りの場所で、隠された宝箱を発見した。中には銀製の短剣が収められている。
「こんなものが本当にあるとは……お前のスキル、想像以上にすげえな。」
俺は手の甲の紋様を見つめながら、自分の力が次第に覚醒していくのを感じていた。
次に進む第3階層には、このダンジョンの主とされる「影狼の王」が待ち構えているはずだ。リックも緊張した面持ちで剣を握り直している。
「次が最後だ。準備はいいか?」
「もちろん。リック、俺たちならやれる。」
光る紋様がさらに強く輝き、俺の中で新たな力が目覚めようとしている。この力を使い、最深部で何が待ち受けているのか――次の戦いが、俺たちの真価を問うことになる。
ダンジョンの最深部に向かう途中、突如として手の甲の紋様が異様に輝き始めた。今までの「分析スキル」の発動とは明らかに違う。光が強まるにつれ、耳元で妙な電子音が響く。
「スキルアップデート完了――新機能『異世界ライブ』が解放されました。」
「異世界……ライブ?」
俺は戸惑いながらも、スキルの詳細を確認するために意識を集中した。すると、目の前に透明な画面が浮かび上がった。それはまるで現代の配信アプリのようなUIを持っており、画面には「ライブ配信開始」のボタンが表示されている。
「これは……何だ?」
リックが不思議そうに覗き込んでくるが、彼には画面が見えていないようだ。どうやらこのスキルは俺だけに見えるものらしい。試しにボタンをタップしてみると、画面に次のメッセージが現れた。
「異世界ライブ開始!配信中……」
同時に、頭の中に膨大な情報が流れ込んでくる。このスキルは、俺がダンジョンや魔物と戦う様子を「配信」として誰かに届けているらしい。そしてその「誰か」とは――なんと、このスキルを管理している謎の神々や、異世界に干渉する存在だという。
画面の隅に、小さなコメントウィンドウが出現する。そして次々と「コメント」が流れ始めた。
• 「お、新人きた!」
• 「おいおい、この配信者、無装備でダンジョン潜るとかヤバくね?」
• 「分析スキル持ちか、面白そうだな。」
• 「次のボス、影狼の王だろ?勝てるのか?」
「なんだこれ……実況されてる?」
俺は半ば混乱しながらも、コメントを無視して進むことにした。どうやらこの配信は俺の動きをリアルタイムで「観戦」している連中のためのものらしい。だが、視聴者の存在は無視できない。なぜなら、コメントの中には実際に役立つ情報も紛れているからだ。
最深部への通路を進む途中、突然画面に「支援ギフト」が送られてきたという通知が表示された。
「視聴者【神霊ゲイザー】から『特製ポーション』が贈られました。」
視界の片隅に、金色の瓶が実体化して現れる。俺はそれを手に取り、呆然とするリックに見せた。
「どうやら、見えない誰かが俺たちに協力してくれるらしい。」
「いや、どういう仕組みだそれは……」
リックは困惑しつつも、ポーションの効果を信じることにした。
最深部に足を踏み入れると、そこには巨大な狼が待ち構えていた。その体は闇そのもののように黒く、目は赤く光り、威圧感が尋常ではない。
[分析結果]
名前:影狼の王
ランク:A
特徴:強力な闇魔法と高い機動力
弱点:心臓部に集中する魔力核、光属性攻撃に極端に弱い
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