ウソだと思うかもしれないけど彼女が天使と悪魔なんです、すいません二股かけちゃって・・・。

第1話：まずは天使。

今回は天使も悪魔もでてきます。

両手に花ですかね。

ある日、俺は車道のど真ん中でうずくまってる女性を助けた。

へんに触ったりするとすぐセクハラになっちゃうからな、最近は。

だけど触れないわけにはいかないわけで、お腹が痛くて動けないってウンウン

唸ってるから、これはいかんと思ってその子をバイクの後ろに乗せて病院へ

連れて行った。

ちょっと心配だったしヒマだったから点滴が終わるまで俺は待ち合いで

待っていた。

その子は点滴打ってもらったら、よくなったみたいで薬を処方してもらって

ことなきを得た。

よく聞くと昨夜、生牡蠣を食ったんだそうだ。

それが腹痛の原因か・・・まあ食あたりだけで済んでよかったんだ。

だからそのまま家まで送ってあげるからって言ったら家はこの地上にはない

なんて言うし・・・・・・そんなアホな。

女のホームレスか？・・・にしては身なりはきちんとしてる。

白いワンピースなんか着ちゃって可愛いじゃん。

改めてその子は俺にお礼を言った。

「どうも、ご面倒をおかけしました、おかげで死なずに済みました」

「このお礼は私のご奉仕で返させていただこうと思いますがいかがでしょう？」

「ご奉仕？・・・ってなに？」

「ご奉仕は私の専売特許です・・・それが言わば私のお仕事のようなもの

ですから・・・」

（わ〜面倒くさそうな女・・・でもこうして面と見ると可愛いかも）

「あの、そんなこと大丈夫ですから・・・家まで送って行ってあげますから

住所教えてください」

そしたらその子、上に向かって指を差して言った。

「私の家は雲の上ですから・・・そこまでバイクでは行けませんよね」

（あ〜ヤバい、ヤバい・・・関わらないほうがよさそう）

「あの、よかったら、あなたのお名前聞かせていただけません？」

「ああ、俺「芽家野 修理（めかの しゅうり）」一応社会人でバイク屋に勤めてます」

「君の名前は？」

「私、お名前は「アクセル」って言います・・・」

「アクセルちゃんね」

「あのさ、とてもじゃないけどバイクで雲の上までは送ってあげらないから

ここで別れようか・・・それがお互いの為になりそうだし・・・」

「あ〜私のこと面倒くさい女だって思ってるんでしょ？」

「いやいや・・・でも住所聞いたら雲の上なんて言うから・・・」

「だって私、天使なんだもん」

「天使？・・・ほらはじまったよ」

「ね〜、シューちゃん聞いて、聞いて？」

「シューちゃん？」

「私ね、修学旅行で天界からバスに乗って地上にやって来たの？」

「うそ！！って言うのは後まわしにして、最後まで聞いて？」

「それでね、私、みんなからハグれちゃって、で地上に取り残されちゃったの？」

「まあ、先生もみんなもいい加減だから、きっと迎えには来ないと思うの」

「早い話が私、行くところがないのね・・・私、困ってるのシューちゃん」

「嫌な予感するんだけど・・・その願望がこもった話し方」

「お願い、シューちゃんちへ連れてって・・・私役に立つよ」

「お料理だってできるし、お洗濯もお掃除も・・・」

「ほら、恩返しするって言ったでしょ？」

「そうだけど・・・」

「修学旅行って・・・空からバスなんか降りてきたら誰か目撃者いるだろ？」

「なんでニュースになんねえんだよ」

「そんなの知らない・・・でもね、天使を彼女にするといいことあるから・・・

運気が上がっちゃうよ」

「か、彼女？・・・」

「うん、どうせお世話になるんなら彼女にくらいなってあげないとね」

俺はうんともなんとも言ってないし・・・なのに勝手に彼女になって

くれるって言ってるし・・・。

そもそも天使ってなんだよ・・・バカにされてる？からかわれてる？

「あのさ、天使だって言うなら羽見せてよ・・・背中に羽生えてるんだろ？」

「羽？・・・そんな煩わしいものあるわけないでしょ？」

「ははあ、シューちゃん昔の下手くそな絵とか見たんでしょ？」

「あんなの嘘だよ・・・画家が誇張してあんなイメージにしちゃったんだよね」

「天使に羽なんか生えてるわけないの、それが事実だし現実」

「じゃ〜天使だって証拠ないじゃん」

「天使だって証拠ね・・・そうね・・・じゃ〜宙に浮くって芸当はどう？」

そう言うとアクセルは俺の目の前で宙に浮いて見せた。

「ああ〜宙に浮ける人間なんていないからね・・・なるほどね〜」

「そのイリュージョンはすごいわ」

「イリュージョンなんかじゃないってば！！」

な訳で行くところがない哀れな天使、俺は見捨てられなくて俺のマンションに

アクセルを連れて帰る羽目になった。

ガキの頃から捨てられてる犬とか見捨てられなかったっけ。

つづく。