闇は光を抱く
田んぼの左上
第1話「きっと世界を救う物語のプロローグ」
昔、父がこんな話をしてくれた。
「かの昔、大陸にて戦争が起こった。その戦争は大陸を不毛の荒地とし、神々の勢力を大幅に弱めた。しかし、人々は諦めなかった。立ち上がり神と共に邪神を封印した。邪神に敗北していった者たちは呪いにより全てを破壊させてしまう。しかし、その封印からまもなく邪神が目覚める。父さんはその邪神を倒しまた戻ってくるからな」
それが俺が聞いた父さんの最後の言葉だった。父さんは帰ってこなかったのだ。邪神はもう目覚めていて父さんとその騎士団は邪神と大規模な戦闘をすることになった。死力を尽くしたが父さんと騎士団は全滅してしまった。そして遺言を預かった偵察兵俺に、家族に父さんの遺言を伝えてくれた。
「息子にこんなことを押し付けることになるとはな…いつか倒しにきてくれ…そして世界を救ってくれ」
そのご不毛の大陸から魔王とその軍勢が侵略をしてきた。魔王は不毛の大陸におり、その魔王が出現して以来邪神の影響が消え失せた。このことにより邪神は魔王より討ち果たされたと考えられている。
それと同時に大陸の中心にある神殿に天使が降臨し神託を預けた。その内容は、神殿から東に200里離れたペルナ村にいるユウ、いや最強の騎士であり戦士だったゴードンの息子、彼が世界を救う救世主である。と
ーーー10年後
ユウは村一番の戦士となり父の残していったお守りを握り、旅に出ることになった。ユウは神託の内容も知らなければ自分が救世主であることも知らされていなかった。ユウの最初の目的地は、獣人の国である。
獣人の国につながる街道を歩くこと数時間。盗賊に遭遇してしまった。どうやら馬車を襲っていたらしい。馬車の中はまだ無事らしい。
ユウは盗賊が剣を抜いたのを見ると、即自分も剣を抜いた。師匠が旅に出る前にくれた村に伝わる剣である。その時脳裏に父が生前口酸っぱく言っていたことを思い出した。
『もし目の前に困っている者がいたら助けてやれ、偽善だろうがなんだろうがお前が助けたという事実は変わらないからな』
父の言うとおり俺のやっていることは偽善かもしれない。それでも俺は信じたい。父が信じた正義を。
盗賊は一斉に武器を振りかぶり襲ってきた。
「パールナビア剣術五式、炎舞」
パールナビア剣術は僕の住む村に代々伝わる剣術。全ての剣術の基礎とされ原初の剣術とも言われる。相当な熟練者は空気との摩擦で大いなる炎を形成出来るようだが僕は相手の傷口を火傷させる程度が限界だ。しかし、盗賊全員にいきなり攻撃を当てられたのはとても幸先がいい。ここで全員倒し獣人の都市で引き渡そう。
「パールナビア剣術三式、火焔斬」
盗賊はこれで倒したと思ったが1人まだ立っている者がいる。すこし驚き隙を作ってしまった。盗賊は一気に距離を詰めてきた、そして鍔迫り合いに発展してしまった。互いにステップを振りながら剣を撃ち合う。相手は相当な使い手のようで側から見れば互角だろうが、俺が明らかに押されている。
しばらく撃ち合いようやく隙を見せた。俺はそこに全力の一撃を加える。
「パールナビア剣術十二式焔神滅」
「かかったなぁ!」
まさかのフェイントだった。大技を放った後の隙を狙ってたんだ。狡猾な相手だ。真面目に撃ち合ってたのに…すごくイライラする。
「どうやら強くても頭が弱いみたいだな?劣等遺伝子ってやつかぁ?」
こいつは俺の家族をバカにしたのか?許せない。今ここでぶっ倒してやる。すると近くから知らぬ声が聞こえた。
「そろそろ助けてやるかのう」
仲間まで呼んだのか…とことんクズだな。
「覚悟しやがれこの野郎」
そこからはあまり覚えてない。怒りに身を任せ目の前の盗賊をボコボコにした。そして影が現れ俺を止めた。
「やりすぎだ」
なぜこいつは俺を止めるんだろうか。
「離せよ…このやッ」
眠らされたのか?意識が遠のく。うっすらと見えたその顔は父さんに似てた。
「父さん?」
「違うな、まぁどちらかが道を踏み外した時力づくで止めるのが親子なのかもな…って聞いてねぇか」
俺はその後馬車の中で目を醒ました。父さんににてた人は獣人のゴツい人。その隣の獣人は俺を見るなり感謝してくれた。さっき盗賊に襲われてたのはこんなに小さい子だったのか…それにしても周りはジャングルだらけ、もうすぐ獣人の国に入るのだろうか。
次回「冒険の始まり」
闇は光を抱く 田んぼの左上 @tanbonohidariue
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