第29話 side:U 大学とサークルと
もう俺、週に何回かは嗣にぃとセックスしないと生きていけないかもしれない・・・それくらいに色々と嗣にぃに教え込まれ変えられていた。
ここにいると、セックス依存症になりそうで怖い・・・大丈夫だろうか。と、心配しながらも触られれば俺もその気になってしまい、拒めないどころか、何回かは『もっと』とねだったことさえあった。
こ、怖い・・・嗣にぃとのセックスが気持ち良過ぎて怖い・・・。無駄にそんな心配をしながら嗣にぃを受け入れる日々。気がつけばいつの間にか日が過ぎてて、四月の半ばに差し掛かっていた。
少し遅めの入学式もスムーズに終わったその夜。「お祝いをしようね」と嗣にぃはレストランへと連れて行ってくれた。
例に漏れずその店は高級店で、俺はキョドり散らしていたけれど。
そもそもその前に「服も必要だね」と手を引かれて連れて行かれた店もブランドの何某な店で、値段を見た俺は胃が飛び出そうだったのだ。服に靴に時計に・・・とガンガン追加されていくので、もうやめてくれ、と泣いて頼んだ。不満顔の嗣にぃに、夜は俺を嗣にぃの好きなようにしていいから・・・、と阿保なことまで付け加えたくらいだ。嗣にぃは嗣にぃで、それなら、と俺の額に口付けてーー外おおおおっ!ーー止めたのには「お互い阿保なのかな」と思った。
いや、しかし・・・買い方が毎回尋常じゃない。勘弁してほしい。普通のサラリーマンがあれほど使えないと思うので、家業を何かしら手伝っているんだろうな・・・嗣にぃは脛を齧るタイプではないし。
そんなこんなで疲れ果ててレストランへと到着したのだが、そこに父さんと母さんまで招いてくれていたのには、驚いたしいたく感動した。見上げた嗣にぃが「奥さんのお父さんお母さんだよ?大事にして当たり前だよ」と俺の頭を撫でてくれたのには、抱きついてしまいたい衝動を感じたが、場所が場所なのでそこはグッと堪えて、ありがとう、と伝えるのみにした。ところで俺たちの席の斜め後ろには桐月夫妻がこっそりと座っていて、食事の中盤で我慢できなくなった麗華さんが「もう無理!昼乃の隣に座りたいのよ!私は!」と立ち上がって叫んだ時には、笑ってしまった。嗣にぃを始め、父さんや
賑やかに和やかにその夜を過ごしーー帰宅してからは大変だった。嗣にぃはシャワーを浴びている俺のところに侵入してきて中の洗浄(悪夢再び)までした後、もう本当に、嗣にぃの好きなように抱いてくれた。優しく激しくねちっこく。俺が気絶するように解放されたのは明け方だったと思う。絶倫じゃね?嗣にぃは絶倫じゃね?ーー、幾日かを経た今日からスクールライフの始まりだ。
「今日から本格的に学校だね」
「うん、行ってきます。嗣にぃもお仕事頑張って」
「勿論。気をつけて行くんだよ?」
と言いつつ、出がけのキスをしてくる。毎回これも濃厚で困る。見送るだけの日々ならばまだ良かったが、何せ今日からは学校である。
俺が息を切らし始めた頃、嗣にぃが漸く解放してくれた。可愛いね、と額にまた口付けた。ギリギリで俺の俺も静かでいてくれた・・・下手するとキスだけで反応するからおっそろしい・・・。
・・・、嬉しいけど。そう、とても嬉しい。有難いことに嗣にぃは未だに狂ったままで、俺ばかりを求めてきてくれる。色々と勘違いしているかもしれない状況だとしても、本当に嬉しい。攻略できたかどうかなんてちょっともわからないけど俺には幸せな日々だ。濃過ぎて困る時もあるが。
さて登校した大学で、授業の説明等を受けた後はサークルを見回れる時間になっていた。様々なサークルが勧誘に出ており、あちらこちらでチラシを配ったりユニフォームを着て何かしていたりと、学内全体が賑わっている。
趣味という趣味もないから俺も何か入って交友関係を広げるべきかな、なんて冊子に纏められたサークル一覧を見ながらうろうろとしていると、
「ねえねえ、君、一人?」
急に腕を掴まれ、引っ張られた。俺は吃驚してしまい、掴まれた腕の方を見ると、嗣にぃほどではないが、上背のある男だ。
「え、ちょっといきなり・・・何です、か?」
「君、可愛いね!うちのサークルどう?」
ぐい、と顔を近くに寄せてくるものだから咄嗟に自分の顔の前に手を出す。
「おいおい、怖がってるじゃん」とか「優しくしなきゃだろ」とか、そんな声が聞こえてきて気が付けば俺は数人の男に囲まれていた。揃いも揃って、俺より背が高いものだから威圧感がもの凄い。何だよ、こいつら・・・。明らかに見た目は陽キャパリピという部類だと思う。
「えーめっちゃ可愛いじゃん。ねえねえ、名前は?学部はどこ??」
彼氏とかいる?と聞かれた辺りで女の子と間違われていることに気付いた。・・・可愛いとか言われても嬉しくない。全く。おかしなもので、嗣にぃから言われる可愛いとは全く違って聞こえた。少し苛々として「可愛くないです」と返したのが余計に悪かったようで、囃し立てられた。
「えー俺、かなり好みだよ。お友達から始めようよ。ナニちゃん?あっちに部室があるから行こう?お茶くらい出すよ」
人の話を聞く気がそいつらにはないようで、俺の腕を引っ張りながらどんどんと歩いて行く。既に、初めにいた場所が遠い。途中途中で「嫌です」と繰り返したが笑うばかりで相手にしてもらえなかった。ここまで強引だとむしろ恐ろしいし、変に力がこもって掴んでくる手は痛い。走って逃げた方がいいかもしれない。うまく行くかどうか分からないが、手を払おうとしたその時。
「俺の連れに何か用かな・・・?」
誰かの手が掴まれた腕が払い、そのまま俺の手を引っ張って、その人の隣へと移動させられる。実に動きに無駄がなく、先ほどまで俺の手を掴んでいたような無遠慮さもない。添えるように俺の二の腕へと手を回してきた。声の主を俺が見上げると、その口が『まかせて』と音無く刻んだ。
「なんだよ、その子、姫の連れ?」
「そう。高校の後輩でね・・・探していたんだ。君たちが見つけてくれたみたいで良かったよ。探す手間が省けたしね。それじゃあ、失礼するよ」
腕全体で俺を軽く押すようにしながら踵を返す。後ろで先ほどのやつらが、あーあー、とか言っている声が聞こえた。助かった・・・と思うけれど・・・。
俺は隣を歩きながら、ちらりと隣の人を見上げる。
怜悧な印象を与える整った顔の人で、線が細い美しい人だ。さらりとした黒髪が、歩くたびに揺れていた。
はじめに俺がいた場所近くまで戻ると、とん、と背中を軽く叩かれて、その人は俺の前へと立つ。
「君、一年生だね?ああいうのはね、はっきりと言わないと・・・いや、はっきりと言ったところで伝わらなかったかもしれないな・・・。ああいう時は全速力で逃げるといい。気をつけないと、連れ込まれたら終わりだよ。変ことにはならないとは思うけれど・・・人間、欲に負けるとわかったものじゃないからね」
ふう、とため息を吐いた。やはり助けてくれたらしい。その人へと慌てて俺は頭を下げる。
「あのっ、すみません。ありがとうございます・・・!俺、吃驚して・・・助かりました」
顔を上げた時のその人は、少しばかり目を見開いたが。なるほど、と一つ頷いた。
「絡まれるのもわかる気がするな。まあ、あまり俺のことは気にしないでいいよ。俺にも下心があったからね。君、歴史とか興味ないかな?」
下心。なんだろうか?見た目だけが全てじゃないけれど、おおよそ先程のような感じでは、この人からはしない。俺が首を傾げると、小脇に抱えていたチラシの束から一枚を引き抜いて、俺へと差し出す。それを受け取って、内容を見るとーー『歴史同好会』と書いてある。
「歴史同好会・・・」
「そう。もし興味があるなら、見にきてみないかい?全然歴史に明るく無くても大丈夫。俺が教えるし。まあ、何せ・・・今の会長は何も知らずに部室で雑誌を読みながら、菓子を貪ってるだけだからね。といっても凄く気の良い人だよ」
どうかな?と今度はその人が首を傾げた。
歴史は嫌いではない。むしろ好きなジャンルだ。こう言う人がメンバーならば、俺も安心してその場に入れる気がした。幾つか覗いたサークルは意識が高すぎるか、先ほどのような陽キャっぽい集まりが多く俺には近寄りがたく辟易していた節もあった。会長がそんな感じであれば緩さもありそうだ。
「えっと・・・見学してみたいです。いいですか?」
俺がそう答えると、その人はにっこりと笑った。笑顔になると途端に幼さが出て、とっつき易い印象に変わる。そのままチラシを渡してきた手を、俺へと手を差し出した。
「勿論、喜んで!俺は三年の谷姫鷹。たには谷の谷。ひめは・・・姫路の姫で、たかは鳥の鷹。君の名前を聞いても?」
谷姫鷹・・・なんだか優雅そうな名前だ。名は体を表す、というがまさにそれっぽい。ああ、そうかさっきのやつが言っていた『姫』は名前から来ていたのか。てっきりあだ名かと思った。俺は手を握り返しながら頭を下げた。
「き・・・春見ゆう、です。はる、は季節の春でみは・・・見物の見にゆうは平仮名です。どうぞよろしくお願いします。えっと・・・谷先輩、でいいですか?」
あっぶね!猛練習した『桐月あさ』、って答えるところだった・・・気をつけねば。
谷先輩は、いいよ、と笑みを浮かべたまま頷いた。
「部室はこの西棟の3階だよ。階段を登ってすぐだからわかりやすいと思う。行こうか」
谷先輩は手を離して歩き出す。俺もそれに続いて歩いた。途中途中でかけられていた勧誘の声も、谷先輩が前にいることでなかった。顔はそれなりに知られているようだった。3階への階段を登った先に灰色のドアが見える。そこに確かに『歴史同好会』とマジックで書かれた紙が貼られている。谷先輩がそのドアを開けると、
「なーなー、ひめーこのクロスワード解けねぇんだけど・・・てあれ?お客さん?」
人の良さそうな顔をしたーー多分この人も分類でいけばハンサムだろうと思うのだが、なにぶん、のんびりさというかそういうものが表に出ているーー男の人がいた。雑誌を指差しながら、その雑誌の周りには菓子の包装紙が散らばっている。
谷先輩は先に一歩中へと入り、その男の人に向かってため息をつく。入って、とドアを開けて俺を招き入れた。
「会員候補ですよ。会長。春見君、こっちのお菓子を食べてるのが会長で小早川さん。あ、戦国武将の小早川秀秋はわかる?あの小早川と同じ字だよ。会長、菓子を食べるのはいいけど・・・袋はゴミ箱にいれてほしいかな・・・」
俺が入ったのを見届けて、谷先輩はドアを閉めてから、会長と呼ばれたその人のもとに行く。幾つか落ちていた袋を拾いゴミ箱へと捨てた。
「あーすまん。後でまとめて拾おうかなって思ってたんだよー。なー、それよりさ、このクロスワード・・・」
「会長。ここクロスワード同好会じゃ、な、い、ん、で!後で教えてあげますから、春見君にここの説明をお願いできますかね?」
「ひぇぇ・・・俺、なんもわからんのに・・・ええとだな。俺は小早川冬馬つって、ええと、さっき姫も言った武将のコバヤカワヒデ・・・なんだっけ?」
「小早川秀秋」
「そうそれ!それと同じ字でさ。冬の馬で冬馬。で、ここは歴史の研究をするところです・・・?あと、槍が投げれます・・・?」
小早川会長が説明をし終えると、何度目かのため息を谷先輩が吐き出した。
「なんでそこで疑問符がつくんですかね?!それに槍投げは会長だけでしょうに・・・」
「ええー・・・だって俺、なーんもわからんし・・・姫が菓子をくれるっつーから・・・あ、でも城とかでかいのを見るの好きなんだよー。とりあえずよろしくな?ええと・・・」
ガタン、と音を立てて小早川会長が立ち上がった。そして驚いてしまう。背を丸めて座っていたのか、立ち上がったその人は随分と背丈の高い人だった。ええ、でっか?!俺は思わず見上げる。嗣にぃよりも結構高い。
「大きいだろ?こう見えて、会長は槍投げの選手でね。公式大会とかにもバンバンと出てる人なんだ。まあ、暇そうだったしうちの会長もしてもらってるんだよ」
「いや、暇なわけでもねーんだけど・・・えっと、名前聞いていいか?自己紹介とか」
「あっ、はい。一年の春見ゆう、です。季節の春に見物の見で・・・」
背の高い会長も、その横にいる谷先輩も、うんうん、と頷きながらしどろもどろな俺の自己紹介を聞いてくれた。その後は会の説明を受けたり、学校のことを聞いたり。途中途中で会長は「姫ーここのワード・・・」とクロスワードの答えを聞いたりしていた。
同好会はたまーにくる幽霊部員を含めて、現在四人らしい。たまに校外に出て、歴史的な資料を見に行ったりする、とのことだった。「幽霊の二人も人の良いやつらだよ」と谷先輩が教えてくれた。
うん、なんか・・・ここならやっていけそうだな、と俺は思いながら午後を過ごした。
※
「へぇ、なるほどね」
夜。既に食事も風呂ーー嗣にぃが帰る前に俺は済ませた・・・!ーーも済ませた後。
リビングにあるソファの上で、今日、学内であったことを俺は嗣にぃへと報告していた。グレー色のガウンを羽織った嗣にぃは横にいて、ゆったりと足を組み俺の話に耳を傾けてくれている。
うん、やっぱり昼間に絡まれた連中より断然格好良い。雲泥の差ですよ。雲泥の!
「で、ゆうくんはその歴史同好会に入るの?」
「たぶ、ん・・・?楽しそうだったよ。・・・駄目?」
俺が首を傾げると嗣にぃは、まさか、と言いながら肩を竦め、俺の頬へと手を伸ばしてきて撫でる。
「人と交流を持つのはとても良いことだよ。見識も広がるし・・・何よりも真面目そうな場所はゆうくんにあってそうだしね。おかしな人物もいなさそうだ。ただ・・・」
「ただ?」
撫でた手が俺の肩から背中に滑って、俺を抱き寄せた。これと言って拒否する理由もその気もない俺は腕に従って、身を寄せる。
「ゆうくんは可愛いから心配だなって。僕のゆうくんに絡んだ連中は許せないなぁ・・・西棟のどの辺?1階なんでしょう?」
「え、待って待って。まだ校内覚えてないよ。それに谷先輩が注意してくれるって言ってたし、大丈夫だよ」
嗣にぃをその場から見上げながら、俺は首を横に振った。
むしろ、その『可愛い』についてよく知りたいわ・・・どこがそうなのか俺にはさっぱりわからないし。分かれば嗣にぃの攻略にも役立つだろうにさ。あさとソックリと言ってもなぁ・・・。てかね。そこよりも『僕の』が一番気になってしまうし、ドキッとしてしまった。それは幼い頃からの知り合いというカテゴリー?だからだろうか?それとも奥さん役だから?・・・そういう意味で、少しでも俺を好きになってくれてるの?一番最後だと嬉しいことこの上ないが、いかんせんそこを問う勇気は俺にはない。
「そう?それにしても・・・」
嗣にぃは引き寄せた俺の身体に手を回し、そのまま俺を自分の膝の上に移動させる。膝の上で俺を横抱きにされる形だ。これ、される度に思うけど重くないのだろうか・・・。そして、俺の首筋に顔を寄せてくる。
「ゆうくんが誰かと仲良くなったりするのは喜ばしいけど・・・僕が色褪せちゃいそうで怖いなぁ・・・捨てないでね?奥さん」
「なんだそれ?変なの・・・・・・っ、ぁ・・・」
嗣にぃの息が肌を掠めるのに、思わず息が詰まってしまった。
しかし、ねーー・・・俺が何年嗣にぃに片思いしてるか知ってますかね?齢18にして実に14年以上だよ。一番初めに好きになったのも嗣にぃだし、今現在もあなたですよ、あなた!今更誰かに心が動くなら、その間に動いてると思う。もー拗らせまくりなわけなんですけどね!!・・・いっそ全部ぶちまけたい。が、怖くてそれもできない。既に一線超えて身体を繋げていると言っても、状況が一般的とはかけ離れすぎていて、告白なんか怖くて出来ない。まだ無理だ。
嗣にぃは、ふふ、と笑ってから唇の下にある俺の皮膚を甘噛みしたり舐めたりと繰り返していた。微かな刺激なのに、「あっ」とか「んっ」とか声が漏れてしまって、非常に恥ずかしい。その上、嗣にぃの手が俺が着ているルームウェアの裾から入り込んで、直に腹や脇腹を撫でる。
「つ、つぐに・・・っ・・・」
「んー?」
俺が名を呼ぶと、嗣にぃはその場から視線だけを上げた。
「あ、の・・・する、の・・・?」
嗣にぃは俺の問いかけに、笑みを深めつつ、甘噛みしたのと同じ場所を吸い上げてくる。弱い快感が走って、俺は、ぶる、と震えてしまった。
これ、うん・・・スイッチが入ってる気もする、な・・・嗣にぃのエロスイッチ・・・。どこで入るんだろう、これも。さっぱりわからない。せめてこれが分かれば、俺からも誘えたりするんじゃないだろうか。そんで、俺にガッツリと嵌って貰って籠絡するのだ!・・・って難関すぎるか。
肌を撫でていた手が腹から少しずつあがり、胸の上をゆっくりと撫でていく。
「ゆうくんは、どうしたい?」
あーーーーーー、聞く方?!問い返される方かーーー!!
そもそも、だ!喋るのは苦手ではないが得意でもない。通常会話でさえそんな感じなのだ、俺はな!下手にあさと長くいたせいで、他人とのコミュニケーションを怠ってきた俺の欠点だ。何せあさとだと、ツーと言えばカーという状態だった。
雰囲気に流されて、嗣にぃが判断してくれないかなー、とか他人任せにしたいところだが、このモードになった嗣にぃは、俺が意見を言わない限りは生殺しにしてくる。確実に。イきそうなところで止めたりを繰り返して、ぐっずぐずに俺をするのだ。・・・そりゃもう、学びましたね。この身体でね。
よかろう。誘ってやろうじゃないか・・・!機会は絶対に逃さない・・・!
俺は服の中にある、嗣にぃの手に、自分の手も同じ場所へと潜りこませて重ねる。
手の甲から握るように指を絡めて、近くにある嗣にぃの目元にそっと口付けた。
「つ、嗣にぃと・・・したい・・・・・・嗣にぃが、たくさん欲しい・・・か、ら・・・」
抱いて、と続けたが最後の方なんか声が出なかった。羞恥で。
お、ああああ・・・恥ずかしいいいいいぃぃぃ・・・!今すぐ逃げ出したい。
けれど。まあ、嗣にぃは俺のそんな情けない返信でも大丈夫だったようで、俺の尻の下にある嗣にぃサンがぎゅんっと元気になった。
俺もさ、大概・・・嗣にぃとのセックスにハマってると思うけど、ほんっと、嗣にぃは絶倫だと思う。今までの彼女ともこんな風だったのだろうか?知りたい反面、聞いたら嫉妬してしまいそうな自分もいる。
嗣にぃは俺の口端にキスをしながら、
「ゆうくん、覚悟してね?」
不敵な笑みを浮かべた。そのまま俺はソファへと押し倒される。
あ。スイッチを押しすぎた・・・かもしれ、ない・・・。
「つ、嗣にぃ、俺も嗣にぃも明日が・・・っ・・・んんっ」
俺が声を出し切る前に、唇は塞がれた。
明日はお互いに仕事もあれば学校もあるので、朝方までは勘弁して欲しい・・・がスイッチが入ってしまった嗣にぃがどこまでセーブしてくれるのかわからない・・・。
桐月久嗣を操縦するのは、まだまだ俺には難しすぎる・・・っ!
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