第13話 side:U 欲情の果てと混乱と

すま・・・?うん・・・?なんて・・・?

す・・・墨俣?墨俣一夜城?城がどうし・・・んなわけあるかい!流石にこの状態で城の話なんかしねーわ!

ねえ、てか、もう色々とまずいじゃん、これ。

目の前で繰り広げられる事態はとんでもないものだ。

何せ、まあ、俺の股の間には嗣にぃの立派なものが・・・俺のものと密着している。

キスは気持ちいいし、触られれば変な声しか出ないし・・・。

どんなに仲が良かろうとディープキスなんてしないだろうし、今されていることもしないなんて、分かってる。でも、拒めない・・・のは、状況に乗っかっている俺がいるからだ。

まずい、とは思う。倫理的にどうなの?これ、とか。

でも・・・嗣にぃとキスしたり、それ以上のことをすることなんて今後ないと思う。

この一年を過ぎた後は。

嗣にぃがこういうことをするのは、傷心からトチ狂ってるんだろうなーと思うけど・・・。


「ゆうくん?」


抱え上げられている膝に嗣にぃの唇が触れる。

あー!これ!返事しなきゃ駄目ですか、そうですか・・・!言わせるの好きなやつ?!あんまりこういうこと、知識ないけどさぁ!友人の持っていたエロ本で見た気がする・・・!うううううう・・・言う方の身にもなってほしい・・・!

くっそ・・・どうせあれだろ。詳しくは知らないけど・・・、


「い、いやらしい・・・こ、と・・・?」


大きい声なんかで言えるものでもなく、小さな声で答えた。

うう・・・耳が、熱い!絶対に赤くなっている。

嗣にぃは俺の返答に、押し黙り、俺を見た。

俺を見るその視線の目つきが違う。いつもは優しい目つきなのに、今は獣のような獰猛さが垣間見える。嗣にぃもまた、俺と一緒で興奮しているのだと、わかる。

あさとは身体のつくりなんてまるで違う俺だがーーいや胸元は似ているかもな。あさも目玉焼きみたいな胸だしーー、そんな俺に、何がどうなってか知らないが興奮をしてくれる嗣にぃが、嬉しくもある。

そんなことをぼんやりと考えていると、途端に嗣にぃの腰が動いた。

俺のものと嗣にぃのものが擦れ合い、その感触に息が詰まる。


「ひんっ・・・あ、あっ・・・やぁ、うごいたらっ・・・」

「はは、ゆうくん本当に・・・天然小悪魔だ、ね・・・っ」


自分の手でするよりも強い刺激に俺の声が上擦る。

俺の腿の間で動く嗣にぃのあれが熱い。バキバキに固くて太くて脈打っていて。

こういうとき、自分の感触だけでなく、相手の熱もよくわかるのだと初めて知った。

自分のもの以外を見たことがなくて、俺は熱に浮かされながらも、擦り合わされるそれをじっと見る。

なんだこれ。なんだこれ・・・、なんだこれ・・・!

何回も何回も擦れて俺のものも熱く、また固くなっていた。

どちらともない先走りが、混じり合い、纏わり付いてぬらぬらとしている。


「あ、あ、あっ・・・つぐにぃ、つぐにぃ・・・っ」

「ゆうくん、真っ赤だね・・・可愛い・・・。ねぇ、男同士だとセックスの時、どこを使うか知ってる?」


嗣にぃは一度腰を止めて、俺の顔を覗いてくる。

な、なんちゅうこと聞いてくるのだ・・・この男は・・・!

いや、興味がなかったわけではない。だって俺が好きなのは男である嗣にぃなので。でも、自宅で調べられるはずもなく、かといって学校でも無理だし、スマホも無理なのだ。あさが勝手に見たりもするし。結果、ネットカフェくらいでしかそういうことは調べられないという環境だったのだが、それだけにネットカフェに行くのも気が引けて、情報を掴まないまま今に至る。

ただ男と女の違いはわかる、ので・・・穴なんて、そりゃ一つしかないわけで・・・。

これ、答えなきゃいけないやつかな?!ほんっとさぁ!

うん、無理。無理。無理!俺は色んな意味を含めて、首を横に振る。


「本当に?ええー・・・それはまた、可愛すぎるなぁ・・・。男同士だとね、ここを使うんだけど・・・」


嗣にぃの手が動いて、俺の尻の方に下ろされたと思えば、指先が窄まりにーー尻の、穴に触れた。

ちょっ?!ちょーーーー?!?!?!


「・・・あっ?!や、やだっ・・・!嗣にぃ、やだっ」


風呂に入ったので汚くはないだろうが、そんな場所に触れられたことなんて当たり前だが、ない。せいぜい小さな頃に座薬を使った時くらいだ。その時だって、小さいながらに抵抗はあったわけで・・・。

手を伸ばして、嗣にぃの手を止めようとしたが、よりにもよって嗣にぃのもう一方の手が俺のものと嗣にぃのものとを握り込んだ。どくん、と大きな快感が背中に走って身体が大きく震える。


「今日はね、何も用意がないからね・・・しないけど、少しずつ、慣らしていこうね・・・?」

「ん、んっ・・・あ・・・、なら、ならす・・・?」


嗣にぃの指がぐるりと、穴の淵を撫でる。

擽ったいよう、そうでないような、判別がつかない。


「そう。慣らさないと、入らないし、ね」


そう言うと、嗣にぃは握り込んだ手の中から自分のものだけを抜いて、指のある場所へとーー俺の尻の穴へと近付け、その先っぽで窄まりを突っついた。

入れる、入れるって、これをか。この大きいのを?!無理だろう?!俺の身体、壊れないか、それはさぁ!

てか、そこまでしちゃったら、もう本当にそれはーー。


「あっ、やっ・・・だめっ、そんなおおきいの、むりだから、ぁっ・・・!」

「・・・っ・・・」


そうしている間も、嗣にぃの手は俺のものをゆるゆると動かすものだから、声も途切れ途切れになってしまう。

ああ、もう、どろどろだ、俺は。熱いし、気持ちいいし、意味がわからないし。

ただ、嗣にぃが俺と・・・セ、セックスしたがってるのは、してもいいと思っているのは・・・嫌でもわかる。だって、こんな状況だ。

いいのかなしちゃって。あさは・・・もう、嗣にぃと結婚することはないだろうけど・・・。


「ゆうくん、本当にさぁ・・・ああ、もう・・・!ちょっと、ごめんね」

「あっ、ちょっ・・・!」


嗣にぃは言うなり、一度俺の全てから手を離す。そして俺の腰と手を掴んで引き、ぐるりと回した。俺はベッドの上で腹這いになる。


「嗣にぃ?!やっ・・・!」


今度は腰を上げさせられ、足はピッタリと閉じさせられた。これはその・・・春先に猫がよくしてるような・・・ちょおおおおおおおおおおおお?!はっず!はっずぃ!いろいろとモロ見えじゃないか?!ずっとそうではあったけれども・・・!

抗議しようとし、嗣にぃを振り返ったのだが、それよりも嗣にぃの動きが早く。硬いものが尻の穴の上を通って、肉の隙間に捩じ込まれた。


「ひうっ・・・っ・・・っ」


竿の裏側と、嗣にぃの硬いものが、また擦れあう。姿勢のせいか、擦れ合う力が強くて、刺激が先ほどよりも強烈に感じた。加えて、臀部に嗣にぃの腰が打ち付けられ、そこからパンパンと音が聞こえる。

これって、これって・・・っ!


「ん、なんだか・・・セックス、してるみたいだね?」


嗣にぃが、俺の思っていることを、後ろで言った。


「や、やだっ・・・ん、っあ、あっ・・・!」


言われると余計意識してしまう。擦れ合いが重なるたびに、腹の奥はじくじくと熱くなるし、音だっていやらしすぎて耳がおかしくなりそうだ。

俺は何度も首を振って、とにかく意識を散らそうと頑張る。しかし、嗣にぃときたら、それさえも許さないかのように、俺に覆い被さってくる。

背中の上にも身体の熱を感じ、堪らない。


「嫌、じゃないよね?ほら、全身で僕を受け入れてるよ。ゆうくんの全身が、僕を好きって言ってる」


耳元に顔が寄って、呟く。

何言ってんだ、この男!それとも俺の気持ちがバレてんの?!

こういうことしてる時点で俺も嗣にぃも大概だけどさ・・・!

言ってやりたいことはあるものの、口から出るのは情けなく発情した獣みたいな喘ぎ声だけだ。

俺の頸に嗣にぃが噛み付いた。


「ふあっ・・・!ちがっ・・・!あ、あ、っ・・・ふぅっ・・・」


びりっと、何かが首から背中に走る。痛みなのか快感なのか、よくわからない。その感触は背中だけでは押し止まらず、股間にまで走った。

まずいまずいまずい・・・!一度達したら、普通は長く保ちそうなものなのに、興奮しすぎているせいか、俺はもうイきそうだ。

そんな俺の様子に気付いたのか、嗣にいは背中で、ふふ、と笑う。

腰にあった手が、股間に回されて俺のものが握り込まれ、びくん、と肩が跳ねてしまう。


「ゆうくん・・・好きっていってごらん」

「・・・っ、んあっ、あ・・・っ、やぁっ・・・やだ・・・っ」


この声を認めたら、もう戻れない気がして、俺は弱く首を振り続けた。

誰が言うか!ばーかばーか!絶対に言わない・・・!好きだけど、言わない!

嗣にぃは、頑なだなぁ、なんて言いながら今度は俺の耳を舐める。

その間も忙しなく嗣にぃの手は俺のものを扱き、腰もゆっくりと動いていた。


「くふ、・・・んっ・・・も、やめっ・・・んっ」


漏れ出る声がどうしようもないほど欲に塗れていて、恥ずかしくて堪らない。唇を強く噛んで、声を殺す。


「ああ、駄目だよ。唇が傷付いてしまう。ほら・・・声を出して」


俺の背中を撫で上げながら、手が口元に来て唇をなぞり、咥内に入り込んだ。息を吸うときに緩んだ歯の間に指先が入り込む。


「あふっ・・・っ・・・ひゃ、あぁ・・・っ」


舌の上を指がぬるぬると動き回る。

これやだ、今だって俺は随分と興奮しているのに、咥内への刺激に余計に変な気になる・・・!

噛み付くわけにもいかず、俺の口は空いてしまい、結局声が漏れ出るばかりだ。

蠢く指先に舌は翻弄され、嗣にぃの腰も激しく動き出す。

そうされると、陰嚢の裏側や竿の裏側も激しく擦られることになり、既に達そう俺は喘ぎ続けるしかなかった。


「ひっ・・・あ、あ、あ、あ、あっ・・・!!」

「いいよ、ゆうくん、イって」


いよいよ達しそうになり、俺の声が小刻みに揺れ、嗣にいの指が握り込んでいた俺のものの鈴口を指先で強く押した。ぐ、っと射精感がせりあがり、


「あ、ああああああっ・・・・・・!」


頭が真っ白になり、びゅる、と俺の性液が漏れ出て嗣にいの指先を汚す。

もー・・・、だめだ・・・・・・。

出した途端に、急速に意識が霞がかる。


「ゆうくん・・・」


背中で嗣にぃが俺の名前を呼んだが、俺はそれに応えることもないままシーツの上に雪崩れ込む。意識を手放す寸前、太腿や臀部に生暖かい何かをかけられるのを感じたが、俺はそのまま意識を手放したのだった。

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