あの夏の、君と。
至璃依生
あの夏の、君と。
令和4(2022)年5月27日
お題240『青色の恋』-「青色」-1:始まり
一目見て
ゆっくりゆっくり
好きになる
青から赤へ
初めての恋
風の吹く音を耳で聞いていると、その中に、ねぇ、と少女の声が混ざった。その声は、僕を見つけたとばかりに僕を呼んできた。それは空を浮くように上の方から聞こえてきたから、声のした方へ顔を仰げば、そこには思わず眼を細めてしまうほどの、夏空があった。
その夏空を背に、海沿いの堤防の上を歩いていた白いワンピースの彼女が、笑顔で僕を見下ろしていた。
潮風の吹く音と、少しだけの波の音と、彼女の声が重なる。
「夏休み、終わっちゃうねぇ」
§
毎年、僕は「家庭の事情」で夏休みの時期に一人で飛行機に乗り、古民家な祖父母の家に旅行へ行く。海が近いので、その沿岸はよく歩く。内陸に僕の自宅はあるものだから、これだけ地平線が見えるほどの海を見れることは、毎年、唯一の楽しみだった。
ある日、僕が外から祖父母の家に帰ってきたときに、見知らぬ女の子が玄関先に一人で立っていた。
知り合いの子、と僕の帰りを出迎えた祖母から紹介を受けた時、家の中から、談笑の盛り上がりがあった。彼女の家族が遊びに来たらしく、祖母はそのまま和気藹々としている室内へと引っ込んでいった。すると彼女から、自分は連れて来られただけ、お邪魔してますと謝られた。
一目見て、僕は散歩に誘った。それは青い気持ちで誘ったわけではない。
「海が好きでさ。毎日、そこらへん歩いてる」
リビングのほうから、大人達の大きな笑い声が聞こえてきた。
「ゆっくり歩いてりゃ、あっちの話は終わってるだろ」
祖母のがさつな性格ゆえに開きっぱなしにされた玄関の引き戸を尻目に、僕は彼女の表情を伺う。
「良いよ。私も、海のほうが好きだから」
そうして、僕達の散歩の日々が始まった。
散歩に誘った日の終わり際に、二人してまた明日も会おうということになった。一日に、ちょっとした階段がある堤防の前で待ち合わせして、昼間に二、三時間ほど。基本、沿岸を歩くのは殆ど毎日だったものだから、彼女との約束もその分だけ自然と交わされ、今年の夏休みは、彼女と過ごすばかりとなった。
「ねぇ。向こうじゃ、君は何してるの?」
「別に。学校行ってる。僕の場合は、それだけだ」
「友達は?」
「いるよ」
「両親……家族は、どう思う?」
「問題ない。正直、一人で過ごしやすいさ」
「私も」
歩いて、互いに、ぱっと思いついたことを言葉にして会話するのは、二人歩きの初日から始まっていた。
それは僕には嬉しかった。こんな会話は、いつもじゃあり得ない。相手を人間と思うから、心が人として接するようにと反応してしまう。
彼女との話は、誰もいない自分の部屋で、誰にも通じない自分の言葉で話していれば、目に見えない何かがその話をしんと聞いてくれるあの感覚そのもので、とても話しやすかった。目に見えないものは、何でも知ってるし、ちゃんと答えてくれる。話しかけても拒否しないし、自分が言うことも否定しない。されたとしても、そこには人よりも心があった。
言葉にもなってない言葉を言っても正確に汲み取ってくれるし、脈絡のない話し始めにも、いきなり何を、と怪訝な顔をしなかった。
悲しいなと泣いてしまっても、泣いた自分のそのままを見てくれた。辛いなと怒り、当たってしまったとしても、その怒りをちゃんと見てくれていた。
姿も形もない、そこには誰もいない、ここには何もないとする透明な存在の方が、僕の側に居てくれる。逆に「姿も形もない、そこには誰もいない、ここには何も無い」なんて言うものは、総じて皆んな意地が悪かった。
「独り言に、ようやく自分が出てくるんだ」
「いつもは誰かに嘘ついてるの?」
「そうじゃない。僕は家族とか、誰かと話せるくらいには、成長できたからね」
「そんな自分が嫌い?」
「いや、運が良い。曲がりなりにも、この先なんとか生きてけそうだ」
「羨ましいって、私、思ってるのかな?」
「そうなのかもしれないね」
「じゃあ君は生きていくんだねって、言えばいい?」
「――――あぁ。生きていけるらしい」
彼女との散歩は、明日も続いた。
§
夜、縁側でぼーっとしていると、後ろから祖父の声が聞こえた。
「あの子はな。頭が病んじまってるんだとよ」
振り向くつもりはないから、祖父がどのあたりに居るのかが分からない。
でもなんでか、後ろの部屋を通って奥の方、ぎぃぎぃと鳴る古い廊下から眼だけを覗かせて、僕の背中を見ているように思えた。
「まともに外に出ねぇからって、親父さんやお袋さんが連れてきたんだ。なんだお前、連れてったのか」
連れてった。
愉しそうに訊ねてくる祖父に、僕は正直に答えた。
「一緒に散歩だよ。二人で海辺を歩いてきた」
すると、特に何の意味も無い間が空いた。だから僕自身も、こんな一言で話が途絶えるのかよと、正直どうでも良くなった。
「なに?」
こんな間は、潰すに限る。
「何もねぇだろうが」
わざと聞き返して、断言する。そんなもの、僕の主観で良い。
――――。
少し間を置いて、ぎぃ、ぎぃと音がした。その音は、ぎぃぎぃ鳴る度に、廊下の奥へと遠ざかっていった。
知らず、僕は手を握りしめていた。そのことに気づいたら、もっと手を握りしめていた。
あの子はな、頭が病んじまってるんだとよ、連れていったのか。
その三つの単語に、どれほど人の心が入り込める余地があったのか。僕は、今、知ることになった。あの子はな、という言葉の言い方が、一度でも親の立場になった者が子供に言うようなものではなかった。連れてった、という言葉も、祖父という男の性格が良く分かった。
そして、頭が病んじまってる、という話にだって、いったいそれのどこに面白さがあるというのか。
僕が彼女を連れてったとするあの日、玄関先で少しばかり耳にした談笑は、ずっとそんな調子で盛り上がっていた。最初、何の冗談かと思ったが、何も冗談ではなかったのだ。
だから僕は、もう別れ際に約束はしたけれど、それが無くったって、明日も彼女と散歩をすることにした。
明後日も、その次の日も、その次の日も。
僕は、彼女と二人で歩くことを決めた。
§
「だから、一人になれて過ごしやすいの」
しかし、彼女の気持ちは、そんな現状を抱えていながら、その眼でまっすぐに物事を見ていた。昨日の夜、祖父から聞いた言葉を、その真意も含めてわざと話題にしたが、明日であり今日でもある彼女にはとうに過ぎ去ったこととして、もうびくとも通用しなかった。
今日もいつも通り、ただ昨日と比べて風がよく吹く日だったけど、二人並んでの変わらぬ散歩だった。しかし僕が彼女にして嫌な話をしたものだから、吹く風も、流れていく空気も、その話の内容に染まって、嫌なものになっていた。
だがこの時の彼女は、話しかけた隣の僕ではなく、ただ前を見ていた。その横顔に、その細い全身に、向かい風が吹き付ける。その勢いを、彼女は目をそらさず、ずっと真正面から受け止めていた。その表情は
しかし彼女の今の表情は、彼女そのものの表情だった。
他の誰もが持つことができない、彼女だけの顔だった。
そんな顔を、誰かに見せるように、前を向く。
それはまるで、遠くこの道の先を見ているのではなく、自分にとても近いところに居る誰かと、真摯に向き合っている顔だった。
「生まれながらに、私の形はこうだって決まっていたから。だから私は、この私として生きていくの」
また向かい風が吹き、彼女の髪を靡かせて、僕たちの後ろへと吹き抜けていく。そこには過ぎていく過去や僕が作ってしまった嫌な空気という、そういった大きなものも一緒に吹き抜けていく気配があった。
「だから私、ここでもやっぱり怖がられる。今度は、なんでそんな顔しか出来ないんだって」
それは無表情。感情が無い顔と思われる。
どうして怒らない。どうして泣かない。
どうして屈しないと勇気を見せない。どうしてもう良いよと諦めない。
なんで人間のような反応ができない。なんで人間のような反応をしない。
やれよ、普通はできるはずだろ、同じ人間なんだから。
見せろよ、普通は心が折れるだろ、同じ人間なんだから。
なんで、ただそんな表情を作ることさえも出来ないんだ。
それは唐突だった。僕の記憶に、他者である彼女の記憶がフラッシュバックのように映し出された。自分の中に、似通った思い出があったのかもしれない。それが、彼女の一言で紐付けられて想起した。これが共感だというのか、と我ながら驚いた。
「皆と同じ人間なんだから、ってやつか」
だから、もう僕は、心が冷え切ってしまっていた。
「今度、俺の前に連れて来いよ、そいつら」
「え?」
「君の代わりに、俺が顔を歪ませてやる」
「何、言ってるの」
彼女は笑う。
「面白い言い方。急に変なの」
「お望み通りにしてやるって話だ。そんなに怒られたいならブチ切れてやるし、泣けよって煽られたら無様に泣いてやる。そんなに感情豊かじゃないと人間じゃないっていうのなら……だから、もう今の君には関係ない」
「君には関係ないって、私の代わりに、やってくれるんでしょ?」
「そうだ。 言ったろ、僕は誰かと話せるくらいには、成長できたってさ」
「そうだね。よく分かんないけど、君は優しいのかな」
「あぁそうかもな。ただ誰かと話せるようになれただけなのにな」
その日、夜になって、僕は祖父母と話すとき、始めて「俺」と「僕」という自分を同時に使った。
なんだその目は、反抗期か、と茶化されたが、この時僕は、別れ際の彼女の、最後の一言が頭に過っていた。
「えぇと、ありがとう、私の為に?」
彼女は、微笑んでいた。
「――――ううん、どう言えば良いの。たぶんこういう時って、こんな言い方で、合ってる?」
その笑顔は、誰かが気に食わないからおかしいと言ったから、その誰かへの失礼にならないように頑張って覚えたものに違いなかった。
「……間違ってたら、ごめんね」
年下のくせに生意気な、と祖父は嘲笑いながら、のしのしと自分の部屋へ去って行く。祖母は、年頃の盛りだと、大人の笑みで僕を見てきた。
その二人の笑顔より、彼女が頑張って覚えた笑顔のほうが霞んできてしまう自分が嫌になった。いつの日も、綺麗なものよりも、汚いもののほうが記憶に残りやすい。
僕は、絶対に彼女の笑顔を忘れたくなかった。
あんな一所懸命な笑顔が、こんなにも嫌なものに溺れていって、見えなくなってしまうことが堪らなく嫌だった。
§
なんてことない話だよ。
夏休みが終わり頃となり、今日、僕は祖父母の家から地元へ帰る。今朝は、彼女と最後の散歩をし、また来年と約束をした。
ちょっと痛む右手をさすりながら、僕は一人、帰りの飛行機の中、あの家を発つ際に祖母が勝手に聞かせてきた、あの子の少しばかりの生い立ちを思い返していた。
それは、離陸後は空が見えるからと窓際の席を取ったものの、今、その窓から見える空の綺麗な景色であっても、あの嗄れた声がどうにも脳内から消しきれなかったからだ。
なんてことない話だよ。
あそこの娘さんね、小さい頃から勉強も他も何もできないし、すっとろいしで、だから友達もできないしで。先生も全く勉強ができないもんだから、何で出来ないって、痺れ切らしてね。そしたら急に泣いちまったらしいよ、皆の前で。いつもは何考えてんだかって無表情なのにね。そりゃ笑われたりもするさね、いきなり泣くんだもの。昔から泣き虫は生きてけないよ。そんでなによりねぇ、アンタが泣いたって他の皆んなが困るだけって話じゃないの。笑いに変えてくれた子達に感謝よ。ほんと腫れ物よねぇ。
その後に一応検査だかなんだかしたら、あの子は生まれからおかしかったとさ。全体的に能力値が低いんだと。だから会話も変なもんで、受け答えが全然できないから、お勉強どころか、普通の話しすら出来ないんだわウチの娘はって、向こうのご両親と笑い話になっちゃって。ちゃんと自分達に通じる話をしろって躾けても、全然治んないどころか、余計におかしくなっちゃったってね。今じゃご両親の前ではいつも無言か、顔色伺うような、一言二言で終わる何言ってんだかって変な疑問形ばかりで。家族なんだからはっきり喋れって話よねぇ。
それにそもそも人間なんて凸凹して当たり前なんだから、検査して病気、だかが分かったって、言い訳でも作りたいのが見え見えだわねって言ったら、その通りってまた笑えちゃって。あのねぇ、皆んなそれぞれに個性があるんだから、苦労するのが当たり前なのよ。それを自分で治そうとしない甘えが酷いって困ってたわ。あの子はもっと前を向いて、何くそって頑張らなくちゃ。それが普通の人間でしょう。病気に逃げちゃダメよねぇ。ほんと小狡いことを。
あぁ、そういや、あんたもなんだっけ。その、なんとかってやつ?
教えてあげなさいよ、そうすりゃ良かったじゃない。なに、ああいう子は将来、天才だか秀才だかになるんだから、なんか知らないけど、何とかなるんでしょう、あれ。テレビでやってたじゃない。見たわよ、私?
生まれつき頭が良いだとか、そんな子供に支援があるとか、凡人の私より恵まれてるのに、何やってんだかって話よねぇ、全く。精神科ってのも良い商売よ、儲けに儲けてるんでしょうね、羨ましいわぁ――――――、
地元への帰宅の今日。昼過ぎ頃に空港行きへと手配されたタクシーに乗る前に、僕はあの家の窓ガラスを一枚叩き割ってから、そのまま帰路へ着いた。タクシーが来るまでに延々と彼女の遍歴を訊かずとも語り続けてきた祖母は呆然とし、祖父は何してくれてんだと怒り狂ってたが、僕はそれを歪んだ顔で尻目にタクシーに乗り込み、お願いしますと依頼した。運が良いことに、運転手は事なかれ主義だったらしく、言われたとおり、目的地へアクセルを踏んでくれた。
§
「夏休み、終わっちゃうねぇ」
それは、今朝のこと。今日が帰る日だから、朝方に散歩しようと、時間を少し早くずらして落ち合った。
僕が風の吹く音を耳で聞いていると、その中に、ねぇ、と少女の声が混ざった。その声は、僕を見つけたとばかりに僕を呼んできた。それは空を浮くように上の方から聞こえてきたから、声のした方へ顔を仰げば、そこには思わず眼を細めてしまうほどの、夏空があった。
その夏空を背に、海沿いの堤防の上を歩いていた白いワンピースの彼女が、笑顔で僕を見下ろしていた。
潮風の吹く音と、少しだけの波の音に、こんな日々が―――いや、夏休みが終わってしまうと名残惜しそうな彼女の声が重なった。
じゃあ僕も、その潮風の吹く音と、少しだけの波の音に重ねて、彼女と同じくらいの気持ちで応えたい。そんな思いで胸がいっぱいになり、笑顔の彼女に返事をした。
「また来年来るよ。この潮風は気持ち良いし、海も見たいし、この堤防の道もまた歩きたい」
「また来てくれる?」
「来るよ。ちょっと問題あるだろうけど、僕の家族じゃいつものことだしね。色々と話をしてくるさ」
「何の話?」
「こっちの話だ。君には関係ない」
「なにそれ。また関係ないんだね」
「そうだよ。君には関係ない」
滞在最終日。正直、今朝、彼女のもとを訪ねた理由は、ただいつもの散歩の約束を果たしに来ただけ、ではなかった。
また来年でも、今年はこれで終わり。だから最後に「あの子を一目見たかった」という、何とも僕らしくない気持ちで過ごした今朝だった。でも、そんな朝が、僕の日々の一つとして過ぎ去っていったことに、どこか忘れ難いものを感じさせた。
「――――」
良かった。彼女との思い出が、忘れ難いものになったことが。痛む右手を、わざと左手でより痛むくらい握りしめる。綺麗なものよりも、汚いもののほうが記憶に残りやすい。だから、こうやって少し擦りむいた右手の痛みで、目を覚まさせる。すれば、彼女の顔が、こうも何度も思い出せてしまう。今朝会ったばかりの彼女、だけではない。これまでの散歩の日々が、心の中で、また最初から思い返せていた。それは二人して歩幅を合わせて歩くように、ゆっくり、ゆっくりと過ぎていった。
いつも彼女は笑っていた。僕は、あの笑顔が好きだった。元を辿れば悲しい笑顔なのかもしれないけれど、あの子は確かに言った。「私は、この私として生きていく」んだと。だったら、そんなもの好きになる以外ないだろう。人として、あの子は強かったのだから。……それは決して、青い気持ちで好きになったわけではない。人として尊敬するとして、好きになったのだ。恋などでは、全くない。
――――だが、ところでこんな今の僕を誰かが見たら、どう思うのだろうか。
それは唐突だった。なぜか急に、居もしない誰か達の目線を酷く気にしてしまった。誰かとは、不特定多数の誰かだ。そんな誰か達に、まさかこんなことを気にしてしまう自分が居たのか、と自分自身のことなのに大層驚いた。さっきも言ったが、これは確かに恋慕の類いではないというのに。
……しかし、だったらだったで、そんな僕を見ては甘酸っぱい青春なり、男の子の初めての恋だなりと、何なりと嘲笑いながら勝手に僕のことを決め付ければ良いよ、とすぐにさっぱりと気持ちが冷めて、すっぱりとどうでも良くなった。僕の人生上、そんな感じに嘲笑われるのは良く慣れている。いつものこと、と言っても過言じゃない。
あぁ、それで構わない。僕と彼女のことなぞ、恋愛、恋愛と、それはそれで。もしも誰かが面白がったら、そうやってそのまま面白がっていれば良いじゃないか。野次馬として人のゴシップを追ってきゃあきゃあと、喧しく姦しく騒がしく、僕のことを小馬鹿にしながら囃し立てていれば良い――――、
§
――――ふと、目が醒めた。どうやら、いつの間にか眠っていたようだった。
窓から外を見れば、青空だったものが、夕焼け空に変わっていた。
その時、彼女の笑顔が、また頭に思い浮かんだ。
その笑顔の思い出に、最初に抱いた、ある想いがあった。だが、それは名前も付けられないくらい初めての感情だったことに気づいて、しばらくは、後ろに流れていく夕焼け空を眺めていた。
強いて言うならば、僕と彼女が散歩をしているとき、彼女が見せるあの笑顔に向けていた感情が、それに近いかと思った。だけども、それならそれで、その感情もまた、なんという名前なのか、どんなものなのかも説明が出来なかった。
それは、また彼女に会えば分かるだろうか。
また、彼女と一緒に並んで歩けば、分かることができるのだろうか
また来年会おう、という約束をしたことよりも、遙かに昂ぶる、その想い。
こんな、「もう一度、彼女に会いたい」という想いは、まさか誰かに恋したような気持ちなんてものは――――――。
了
あの夏の、君と。 至璃依生 @red_red_77
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