第3話 地下ニ潜ム者
とある噂がまことしやかに流れていた。
それは下水道の点検作業を行っていた3人の職員が原因不明の失踪を遂げてしまったというもの。開いたマンホールから聞こえたのは獣の様な咆哮の音と何かを引き摺る様な音。
会社側が戻らない作業員を心配したのか警察を呼んで問題のマンホール内部を調査したが見つからず、落ちていたのは職場で使われているヘルメットだけだった。
それから更に数日後、今度はズタズタに引き裂かれたベストがバラバラの場所で見つかる。名札には[斉藤]と書かれていた。行方不明になった作業員は彼以外にも[小川]、[井ノ上]の併せて3名。この話は公にされる事はなく、ましてやニュースで放映される事はなかった。
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入学式から1ヶ月が過ぎた。
総士の担任は大津円香という女性教師が担当する事になり、放課後にはクラスの女子生徒の一部がまどちゃん先生と呼んでキャイキャイしているのは日常茶飯事と化していた。
「相変わらず人気だよな、大津先生。俺も女子だったら頭撫でて欲しいよ。」
帰り支度をする総士の右横で話し掛けて来たのは丸いレンズのメガネを掛けたボブカットの少年。彼の名は
「そうか?俺は別に…。」
「総士は解ってないなぁ、あのスラっとした背丈とクールビューティな感じが良いのに。まさに女版イケメンだぜ?」
「へぇー色々詳しいんだな、丈瑠。」
「そりゃあ何てったって俺は大津先生のファンクラブ会員だからな!!これは内緒にしてくれよ?バレたら色々大変だから…!お前にもこれやる、だから大津先生の良さを知ってくれ!」
そう言って手渡されたのはチェキと呼ばれる写真でそこには髪を結ぶ円香の姿が写っていた。
「……これ盗撮じゃねーの?」
「失敬な、これはれっきとした普通の写真だ!!それより、お前の方はどうなんだ?ほら…何だっけ2年生の──」
「鈴村先輩の事?別に何とも思ってねぇよ。
それにあの人結構変わってるぞ?」
丈瑠と話しながら総士は立ち上がると教室を出て2人は並んで廊下を左へ歩き出した。
「変わってる?」
「ま、まぁ説明しにくいんだけど…兎に角色々変わってるっぽいんだよなあの人。」
彼がそう話すと此処最近起きた出来事を思い出していた。ついこの間見た時はブツブツ言いながら書物を中庭のベンチで読み、またある時は「ちょっと散歩に付き合って欲しい」と言われて付き合った結果、路地にあるマンホールを次々コンコンと小突いて回ってみたり。
どれから話せば良いのか解らなかった。
「そういや部活動は決めたか?俺はパソコン部にしようと思ってるけど。」
「部活ぅ?俺は帰宅部で良いよ。運動とかする気無いし…やるとしたらコンビニのバイトかな。」
「コンビニのバイトねぇ…。」
「そっ。ウチはケチだから小遣い少ねぇんだよ、毎月2000円でそれで遣り繰りしろって言われてもムリだよムリ。」
何だかんだ言いながら歩いていると
前から来た学生に呼び止められ、足を止める。
目の前に居たのは黒い髪をボブカットにした総士より年齢が1つ上の少年だった。左胸に付けた名札には櫻井と書かれている。
「キミが…杉本総士君?」
「そうですけど?」
「良かった、探してたんだよ。鈴村さんに呼んで来て欲しいって頼まれてて。」
「うげッ…マジすか…。」
丈瑠は「先に帰るよ」と言い残して総士を置いて立ち去ってしまう。総士は櫻井という上級生の少年と共に並んで廊下を歩いて行く。
「僕は
「…杉本総士ッス。それで何処行くんスか?」
「図書館、そこで鈴村さんが待ってる。」
「図書館?何でまた…。」
暫く歩いた後、図書館へ入ると理人を先頭にし奥の方へ連れて行かれる。中にはまだ生徒がチラホラ残っていて中には談笑したり、本を読んだり、勉強していたりと様々だった。
そんな光景を見ながら総士が連れて行かれた先の表札には[図書準備室]という札が有る場所。
理人の手でドアが開かれ、中へ入るとそこには見覚えのある姿が2人。そして赤い髪をした
強そうな少女が居た。
「連れて来たよ鈴村さん。」
「ご苦労様、櫻井君。いやぁすまなかったね…臨時で相談が入ってしまって。」
詩乃が軽く平謝りすると彼女の左横に居た赤髪の少女が口を開いた。
「ったく…あまりヒトの彼氏をパシんなっつーの!それで此奴が例の1年か?」
「そっ。彼が杉本総士君、この間の事件の関係者だよ。そしてウチの新入部員さ!」
詩乃がパイプ椅子から立ち上がると1枚の用紙を右手に持って総士の元へ。それを彼の前へ差し出すとニコニコと笑っていた。
「しッ、新入部員!?俺何も聞いてな──ッ!?」
更に入部届けが彼の眼前へと迫る。
そして詩乃はニコニコと微笑んだまま威圧して来た。
「入ってくれるよね?」
総士がチラリと理人と少女を見たが断るのは無理だという顔して見返して来る。
それからやや強引にサインさせられてしまい、彼は晴れて読書同好会のメンバーとなった。
それから横に並んだ長机を囲む形で腰掛けると自己紹介が軽く行われ、2年生で副部長の日向朱里、部長の鈴村詩乃、書記兼詩乃の助手である櫻井理人、そして民間人初の祓い師である奏多明日香。そして詩乃の御遣いから帰って来たばかりの神代涼華が顔を見せた。
「以上が我々読書同好会のメンバーで、サブメンバーには櫻井君のクラスメイトの志島美穂さんが居る。杉本君は覚えておくようにね。」
「うっす……。」
女子4人に男子は自分を入れて2人。
傍から見ればどう見ても男女比が可笑しい。
仮に自分が居なければ此処はさながらハーレムといっても良いだろう。突発的に始まった新入部員歓迎会の様子を見渡してみるとテーブルに置かれた菓子類を開けて勝手に食べ始める詩乃、傍らで彼女に突っかかる明日香、それを宥める理人。程々にしなさいよと離れから声を掛ける朱里と、離れた位置で黙って座っているだけの涼華。普段からこんな形なのかと思うと些か大変な気がする。
総士はふと近くに居た涼華に視線を向けると見つめていた。
「…何だ?」
視線に気付いた彼女が振り返って首を傾げる。
白い肌に白髪、赤目というのはアニメや漫画でしか見た事がない。
「えっと…神代さんもその…祓い師なんスか?」
「…違う。」
「違う?じゃあ俺と同じ唯の人間…?」
「…それも違う。」
「じゃあ一体……。」
「…私は
「へ、へぇ…。」
また聞いた事のない単語が飛び出して来た。
サバトというのは何かを意味する言葉なのだろうか。全く持って総士には理解出来なかった。
すると詩乃が突然2回手を叩いて鳴らし、賑やかな雰囲気を打ち消すと彼女が話し出した。
「楽しい歓迎会は一旦お開きにして…そろそろ本題に入ろうか。下水道で内部を調査していた人がまた消える事件が起きた。今月だけで最初の3人、続いて2人…それから後に3人と2人、合わせて既に10人消えてる。」
「下水道で人が…そんな事有り得るんスか?」
総士が口を開くと詩乃が振り向いて頷く。
「ズタズタに引き裂かれた作業服…それから下水道の壁面に有ったという爪痕。多分、相当ヤバいのがそこに住み着いている可能性がある。」
「テレビのニュースで見たよ。どうせまた何処かの悪霊の仕業だろ?」
明日香が足を組むと詩乃の方を見ながらため息をつくと紙コップに入ったジュースを飲んだ。
「それを確かめるのが私達の役目、私の見立てだと怪異…の類いかもしれない。」
「そこだけ何で濁すんだよ。」
「確証が持てないからさ。そこで!涼華と明日香に今回の件を任せようと思う。私は相談の依頼が幾つか来てるから動けないんでね。杉本君は櫻井君達と一緒に向かって欲しい。」
「はぁ!?何であたしなんだよ、つーか下水道入れってか!?ったく…滅茶苦茶言いやがって!そもそも何処から入りゃいいんだよ!!」
その場に立ち上がった明日香が詩乃へ反論、それを見ながら詩乃は彼女を宥めつつ再び話し出した。
「落ち着け、目星なら付いてる。北見高等学校を出て左へ向かった先…そこにあるM橋の下から通って行けば中に入れる!!」
「M橋の下ぁ?よく見つけたな、そんな所。
それで…どーすんだよ?ぶっ倒しゃ良いのか?」
「そこの判断は2人に任せる。念の為に下水道の壁面にトラップを仕掛けておいた、それを上手く使って欲しい。それから今日はこれで解散…報告は明日聞くよ。」
詩乃は起動方法を2人に教え、それから理人の元へ来ると彼へこう話し始めた。
「杉本君には私達が裏でどんな事をしているのか実際に見て貰う必要がある…彼も上手く鍛えれば櫻井君並に活躍してくれそうだしね。」
「ははは…鈴村さんらしいや。それよりどうして下水道の化け物退治なんか引き受けたのさ?」
「…言っておくが私じゃなくて引き受けたのは円香姉さんだ。どうにも下水道管理局のお偉いさんが態々私の実家に来たらしくてね、それで話を聞いた祓い師を通じて姉さんの元に正式に依頼として来たのさ。」
「な、成程…。」
「まぁ、大方謝礼金目当てだろうけどね。ウチも今は円香姉さんの給料と黄泉姉さんのバイト代で賄えてるけど蓋を開けてみると実際は家賃や光熱費の値上がりのせいでカツカツで金欠なんだよ。そこに私の学費と携帯代とかも重なるから余計に家計が火の車になってる。」
「でも鈴村さんが直接やらないと意味が無いんじゃ?」
「…痛い所突くね、キミも。けど明日香達の功績はそのまま姉さんの元に伝わるからプラマイゼロだよ。昔から言うだろ?部下の手柄は上司の手柄ってねー。じゃあ宜しく!それから、いつものリュックを忘れずにね。」
詩乃が彼の肩を叩いて見送ると明日香を先頭に
外へと出て行った。
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北見高等学校を出てから4人が向かったのは詩乃が話していたM橋。そこのコンクリートで出来た階段を降りて橋の下を通って行く。
「この先は真っ暗だな…理人、懐中電灯とか有るか?」
「ちょっと待って…はい。」
理人がリュックサックから銀色の筒形をしたペンライトを取り出すと受け取った明日香が前方を照らして暗い中を進む。
明日香、涼華、理人、総士の順でゆっくりと中を歩いて行くのだが直ぐ右側には水が流れていて、異臭と生暖かい空気が漂っている事もあり余計に気味が悪い。
「くっさ…マジでこんな所にバケモノ居るのかよ……最悪だぜ。」
「…こういう所にも奴等は居るものだ。根城にしていても可笑しくはないだろう。それより早く進め、後ろが詰まっているぞ。」
「解ってるよ…ったく。」
暫く進むと突然水音が響き渡り、同時に何かの呻き声の様な物も聞こえて来た。反響しているせいか余計に気味が悪い。ビビった総士が涼華の制服のスカートを掴んでしまうと彼女が僅かによろめく。振り返った彼女が彼の方をじっと見つめていた。
「ッ…何処を掴んでいる。」
「ご、ごめんなさい…つい…。」
そして総士の足先に有った小石が跳ね、それが水の中へ落下し音を立てる。すると何かが大きな呻き声を上げた直後に此方へ一直線に向かって来るのを感じ、前の2人が身構えた。
「来やがった!?」
「…理人、彼を頼む。」
そっと総士を突き放した涼華は水の浅い方へ飛び降りて右手の人差し指と中指以外を内側へ折り畳むと左へ向ける。
明日香もまたその場で左手首の時計へ触れ、涼華も指を右側へ振り払うと2人は同時に姿を変えた。
「──
「──霊装展開。」
涼華は白と赤を基調としたフード付きの巫女装束へ、明日香の方は両手に黒のオープンフィンガーグローブを装着すると音の正体が明らかとなる。現れたのは肌が白い二足歩行のトカゲの様な生物で長い尾を持って黄色い目が爛々と輝いている。
その身体は爬虫類の様な鱗状の肌をしていた。
「何じゃありゃあ!?」
「…どう見ても鰐だ。」
涼華は白い仮面を顔へ付け、右手へ大鎌の獄鎌を呼び出すとそれを一回転させて相手へ差し向ける。同時に鎌の刃の付け根にある鈴が鳴り響いた。
「ワニだかトカゲだか知らねぇが…兎に角、あたしがぶっ飛ばしてやる!」
そう叫ぶと明日香が右手に刀を呼び出して立っていた。しかし懐中電灯を左手に持った状態で立っていると彼女は声を上げる。
「って…おい!あたしは立ってるだけか!?」
「…お前が祓具を使えば誰が照らす。」
「裁徒だろ、何か持ってねぇのかよ?」
「…ない。」
首を横に振った直後、地面を右足で蹴って涼華がワニへ襲い掛かる。獄鎌の柄を短めに持つと同時に飛び上がって空中で身体を左側へ捻って勢いを付けた末に刃を振り下ろした。
だがワニは後退しそれを躱すと右腕を振り下ろして着地後の涼華を狙って来たのだ。
「グァアアアァッ!! 」
「何…ッ!?」
咄嗟に爪による薙ぎ払いを鎌の刃で弾いて受け流すと今度は喰らい付こうと顔を突き出して来る。涼華の正面へ肉薄する構図となると彼女は咄嗟に左手で懐から細長い刃物を数本取り出すとそれを投擲、放たれたそれがワニの左胸、頭部や右太腿へ突き刺さる直前で尾による薙ぎ払いにより全て弾き落とされてしまった。
「…手練か。それに此処はお前の縄張り…自由に動けるのは当然の事。」
「グルルルル…ッ!!」
「…だが私も狩る者、故にお前を野放しにする気はない。貴様が喰らった人間の命…その代償を知るがいいッ──!!」
深呼吸して駆け出すとワニが突進を繰り出して涼華へ襲い来る。彼女が構えて迎え撃とうとした時にそのまま、それをまともに受けてしまった。
巨体から繰り出される突進をマトモに受けてしまえば骨が折れてしまうのは明白だろう。
それを見ていた明日香が思わず声を上げてライトを照らしてみるが涼華の姿は何処にも無かった。
「かッ、神代ぉおッ!?嘘だろ…マジかよ…。」
ワニが周囲を見回し、狙いを明日香達へ変更し睨み付ける。理人と総士は離れの後方に居るが
敵の視界には捉えられていた。
「くそッ!!やってやる、アイツらに手出しさせっかよ!!」
懐中電灯を足元へ置いた明日香が刀を水平にしてから鞘引きし抜刀しそれを構える。
お互いに睨み合っていた時、ワニが何かに気づいて後方を振り向くとその直後に白色の閃光が左脇腹と右肩を抉る様に突き抜けたのだ。
耳をつんざく様な悲鳴を上げて身体からボタボタと赤い血液を滴らせていく。
「グギャアアアアアァッ──!?」
「な、何だ!?何がッ…!!」
明日香が耳を抑えて視線を向けるとワニの奥の方に人影が薄らと見え、目を凝らしてみると
涼華がその場に立っていた。
「…詩乃のトラップが役に立った。序でに教えてやる…お前が殺したのは私の残像だ。」
「グルル…ッ…!!」
身構えていたワニは涼華と対峙する事を避け、脇腹を抑えたまま壁を抉り取って破片を粉塵と共に投げ付けて逃げ去る。振り返った涼華は無言でその後を追って下水道の奥へと走って行く。
「アイツ…お前ら、追うぞ!」
「わ、解った!行こう総士君!」
「ええ!?俺も行くんスか!?」
理人と総士も明日香の後を追って下水道の更に奥へと走って向かった。
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広い空間へと逃げたワニは受けた傷から生じる痛みを堪えながら見回した後、更に歩みを進めていると背後から聞こえたのは鈴の音色。空間にそれが突然響き渡ると足を止めて周囲を見回し始める。そしてその音が止んだ瞬間、頭上から何かが一直線に落下して来ると同時に左腕が肩から削ぎ落とされた。悲鳴を上げた直後に傷口から血液が噴き出し、辺りを深紅に染めていく。左腕は下で痙攣し震えていた。
「ギャアアアアアアァッ──!?」
「…此処がお前の果てる地、そして私が貴様を裁く地だ。」
涼華がその場に立ち上がってワニを見据える。
対する相手は失った左腕に構わず涼華へ喰らい付く為に顎を開いて噛み付こうと幾度も襲うが全て躱されてしまい、尻尾による薙ぎ払いを放ったが飛び上がって躱されてしまった。
「…無駄だ、動きは全て見切っている。」
後退した涼華は床を獄鎌の柄で突くとトラップを作動させ、ワニの周囲へ結界を張り巡らせて閉じ込めたのだ。彼女は身構えると同時に刃を差し向けて駆け出して結界の中へ突入する。
それはほんの一瞬で彼女が擦れ違った瞬間に獄鎌により相手の肉体がバラバラに斬り裂かれてしまった。
「…終いだ。」
獄鎌を下ろし、足音に気付いて振り向くと明日香達が来ていて涼華の方を見ていた。彼女は獄鎌を手にしたまま戻って来るが明日香に詰め寄られる。
「お前、あたしの手柄取っただろ!?さっさと自分だけでケリつけやがって!!」
「…何の事だ。」
「惚けんなっつーの!あたしただライト持ってただけじゃねぇか!!」
「…ぎゃあぎゃあ騒ぐな、耳が痛い。」
スタスタと涼華が歩いているその後ろで
納得行かない明日香が理人と総士に抑えられながら騒いでいた。
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あれから4人は橋の前で解散し、総士は1人で
夜の路地を歩いていた。間隔が開いた形で設置された街灯に照らされながら今日あった事を振り返りつつ進んで行く。
「下水道のヤバい奴がまさかのワニだったとは…てか、話しても誰も信じてくれねぇだろうなぁ。丈瑠は信じるだろうけど…。」
家へと続く道を只管歩いていると路地の左側を歩く人影を見つける。街灯に照らされたその容姿はまだ幼さの残る整った顔立ちに対して腰まで伸びた黒い長髪、左右に赤いリボンを付けた少女で首から下はスカート付きの深緑色の学制服、そして胸元には赤色のリボンを付けている。左右の足は太腿の半分を覆う黒のニーソックスに足元は茶色いローファーを履いていた。
擦れ違う時に彼女の持つ黒い瞳と総士の目が合うとそのまま何事もなくお互いに歩いて行く。
「すげぇ綺麗な子じゃん…まぁ黄泉さんには勝てないけど。また会いたいなぁ、黄泉さん。」
そんな事を思いながら彼は家への道を歩いて行くのだが、総士を見た少女は足を止めて振り返った。
「あの制服、北見高等学校の……じゃあお姉ちゃんと一緒。」
ポツリと呟くと彼女の右肩に白い狐の様な生き物が居て共にその姿を見た後に立ち去った。
少女幻想怪奇録-第二章- 秋乃楓 @Kaede-Akino
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