第2話 会いたい

 あの唇の感触が忘れられない。


 何度も思い出しては鮮明な高揚が蘇る。


 早く、早く会いたい。

 そんな想いが先へ先へと足を運ぶ。昨日までの雨が嘘だったかの様に照りつける太陽も、背中を押して手伝ってくれる。


 あの後、当たり前だけれど紗依の風邪が移り、体調を崩してしまった。2日ぶり。その長い時間を少しでも埋められるように急ぐ。実際は、私がどれだけ急いだところで紗依の方が遅いから意味はないのだけれども。


 教室につき、席につく。課題を提出することも忘れて、出入り口を一心に見つめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る