第2話 12歳の美少女

アイドルを決意してから一年経った。


私はアイドルを目指そうと思ったが、どうやらこの世界アイドルっていう概念すら存在しないようだった。

確かに半世紀以上前から女が少ない世界なのだからアイドルも生まれないのかと腑に落ちた。


聞く話によると女性と話したまま亡くなってしまう男性も一定数いるのだ。

そして女性は、外に出るという事が極めて少ないようだった。そりゃ100人に一人とかしか生まれないのだ。少し歩けば飢えた野獣しかいないのだ。無理もないだろう。


私がアイドルをすると決意してから頑張ったものは、歌と踊りの練習だった。

前世の男だったときはゲームと勉強しかしていなかったので、運動するのは新鮮だったが、この身体見た目だけでなく運動神経も凄いのだ。

遠隔授業だというのに、講師に教えて貰った動きが直ぐに身に着くのだ。


「というか遠隔ですか……。そういえば前世でVtuberや女配信者が売れていましたね。この世界ではどうなのでしょう?」


私はこの世界の情報収集をしていたが、男の配信者が殆どであった。

だが、世界中で見られている配信者になると、やはり女性が占めていた。仕方ないよね……気持ちわかるよ。


確かトップの女性が私の6個上だが、かなりの美少女だったという記憶があった。


「あれほどの美少女なら、前世でも稀に見るというレベルですね。というか……世界的な女優より顔いいんですね……」


女性側がやや男性恐怖症気味な世界であるから、意外と不自然でもないのかもしれない。

というか私の考えがまだ前世の知識に囚われているのかもしれない……。


「デビューするなら15歳くらいがベストですかね」


義務教育を終えたあたりでデビューしたいなという気持ちであった。

この世界の女もそうだが義務教育(15歳)を終えるまで労働する事が一切出来なかった。

健康的な肉体を育てることこそ重要という考えが世界的な認識なのだ。



****


また数年が経ち私も中学生の年齢になっていた。

相変らず男性と隔離された生活を送っていた。通う学校も女子校であり、日本中から集められているから、それなりのマンモス校だった。

西日本と東日本で二か所しかなくて、私は東日本の学校だ。


この身体も女らしく丸みを帯びてきた。

胸の発育的に私はそれなりに大きくなるというデータが出ていたので、貧乳にはならないだろうと思っていた。


朝から図書館で一人勉強をしていると声を掛けられた。


「おはよう、彩!相変わらず可愛いね」


「あら華じゃないですか。おはよう!」


この世界の女は、親がいないため自分で名前を付けるという不思議な文化があった。私は、小鳥遊彩という名前を自分で付けた。前世で好きな女の子の名前から取った。


この世界は前世と違って飛び級システムがあるため、今の私は12歳だが既に大学生の授業を受けていた。


「ほんと可愛いだけじゃなくて、頭もいいなんてね!女に生まれて、そこまで勉強頑張ってる子なんて珍しいよね」


「フフッ、私は勉強が好きですからね。それに、やりたい事もありますので……」


「やりたい事って?」


「ひ・み・つ です♪」


「あ~私にだけ教えてよ~」


「ダメでーす。15歳になったら教えてあげますよ」


「あと3年も待たされるの!!」


くすくすと笑いながら私と華は会話していた。


華は幼いころからの仲良しで所謂幼馴染というやつだ。もちろん恋愛感情というより性的欲求の方が強いが、華に対してそういう欲求が強い。


女子同士で長くいるから、そういう行為も頻繁に行われているし国も認めていた。我慢するせいで健康に阻害されるのは、よくないという考えだろう。


もちろん男としたい女の子もいるので、リストから好きな男をいくらでも選べるから相手に困ることはない。

華も15歳になれば、男と性行為が出来るから楽しみだと常々言っていた。


「彩も学校で虐められないように頑張りなさいね。可愛いから中学生から大変よ」


「うぅ先輩たちに襲われないように頑張るよ……」


「あ、可愛い子いたら教えて下さいね!」


「彩!また、自分からヤりにくんでしょ!絶対教えないからっ!」


そう言って少しむくれた表情で、離れていった。


「あらあら、嫉妬心かしら。可愛いところもあるもんですね」


女が女を襲うレイプというのが学校では時折起き、私も何度かされたことがあった。だが……かなり嬉しかったのは内緒だ。





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