男女比100:1の世界に転生した”私”の物語

@sige02

第1話プロローグ

男女比100:1。

これもう人類終わりだろ?と疑問に思う割合だ。


前世で男であり、しかも男女比が普通の世界から転生してきたときには困惑したものだった。だが、これだけの男女比が開くと女子というだけで何かと優遇されるものだ。


転生後にこの世界の歴史を調べてみると半世紀前から女子の出生率が下がる一方ということだった。

そこで世界中の国同士が協力し、革新的な技術が生まれた。

それは、『機械による代理母の懐胎方法』である。

つまり体外受精をして子宮に戻さずに、特殊な機械によって懐妊させるのだ。

これにより女性は妊娠せずに子供を増やすことが出来るので、回転率が上がり人口減少に歯止めをかけられた。

もちろん、倫理的な問題を唱える人々も多かったが解決策が他になかったため、否応なしに受け入れられた。

しかし現在でも女性の数は減少中であり、なんとか減少ペースを抑えているのが現状だった。



「これが、この世界の歴史ですか……」


そう呟いたソプラノ声の美しい少女は……、はい私です。

生まれて数年しか経ってないが、将来的に美少女なのは確実という容姿をしていた。

なんなら声も可愛かった。

こんな美幼女を前世で見たことないし、これが『転生特典』と俺は理解した。


というか女子に生まれたと言うだけで明らかに別格の待遇を受けていた。


「こんなに広い部屋に、豪華な食事まで……」


これが将来的にずっと手厚いサポートが貰えるというのだから凄いなと思った。

定期的に振り込まれる多額の年金……老後じゃなくて生まれた瞬間から貰える。これって年金なのか?と前世の知識から思ったが。

そして私の身の世話をするハウスキーパー(ロボット)。

どうやら男女比が開きすぎたせいで、私と男が接触すると襲われる危険性が高まるためだとか。

日常生活で女子を見かけることも無く、恋愛も出来ないのだから初めて見た女の子が目の前にいたら襲いたい気持ちも前世の俺なら理解出来た。


「仕事と言えば、将来的に行われる卵子の提供位ですか……」


これは女性に生まれた者の必須義務であった。

もちろん。男性とのセックスも許可されているが、国への報告が必要になる。これは受精卵を取り出して機械で懐妊させるためだ。


前世の知識から勉強というのが一切不要な私は暇を持て余していた。

これでも難関大学に行っていたのだから、小学生の低学年くらいなら流石に余裕だった。


「テレビでも点けますか……」


私はテレビを点けてみた。

相変らず男が多いなぁと思った。

そして、この国唯一の女性アナウンサーが現れた。

正直に言って、見た目は良くない……というか、はっきり言って不細工であった。それに不摂生な身体付きをしていた。だが、こんな容姿でもこの世界では数少ない女性だ。

芸能界ではトップ5に入るほどの人気だ。

一位の女優の人も前世で見た顔の中で言えば、中の上といったところだ。


「ん~これで私がテレビに出たら……はっ!!」


私はビリビリと全身に電流が流れたような感覚がした。

まさに、これだ!という確信めいたものだった。


「でも正直女優になって、男と触れ合いたくないですし……」


前世でも男な私の恋愛対象はもちろん女だ。

そして、この世界の女優が演技するのは恋愛ものばかりで、それには出たくなかった。


「え……ならアイドルしかないですよね。うん!私なら絶対いけます!」


生まれて8年。

私の将来の仕事が決まった瞬間であった。


「とりあえず、世界中で頂点のアイドルを目指すことにしますか!」


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