第2話 一人旅ってどうなの?

旅行が趣味という自称のもと、とにかく非日常感を味わうことが大好きな私ですが

コロナ禍や自身の病気、失業などが重なり海外旅行なんてものは夢のまた夢。

近年は生きるだけで精一杯な生活をしていました。


しかし時間は解決してくれると言いますが

生活が手一杯になってから四、五年程経過した頃、

全ての問題はリカバリーされ、遂に海外旅行に手を伸ばせる時が来ました。


今回は海外に一カ月程度一人で旅をする、ということは漠然と決まっていました。

それに至るまでも少しお話しさせてください。


私は一人での旅行と誰かと一緒の旅行とで目的を明確に分けていて

『一人の時はとにかく現地をどれだけ身近に感じることができるか』

ということに注力します。


地元の人たちの生活や文化、メンタリティ、人間関係、言語。

それらを知るには一人であることは優位に働きます。


話しかけられやすい、話しかけた時に距離を取られにくい、

困った時に手を差し伸べられやすいなど。


たまたまの好意を当たり前のことのように羅列するなという思いもしますが

経験上、私にとっては事実だと思っています。


一方、誰かと一緒の旅行はというと場所は付随したもので

『その誰かと何かを楽しむためにその場所をチョイスする』

という意識に変わります。


どちらも非日常を楽しむ手段ですが目的が違いますよね。


そして私にとって一人旅はインプットの旅で

自分自身のエネルギーや活力、興味や目標などが生まれる旅になります。


それには酷く体力とお金を要するので発起するまでに長い時間を要するのですが

大きく成長するタイミングであると自負しています。


よくインドに行って人生観変わった!という言葉を鼻で笑う人を見ますが

その言葉をシンプルに組み替えるとしたら以下文になるのではないでしょうか。


『今いる世界以外を知ろうとして行動に移し、実際に何かを感じて、

今までの自分を振り返ってみる、そして次の行動に移す』


仕事でうんざりする程聞くPDCA(Plan Do Check Action)と同じですよね。

何故、会社はPDCAを求めるのでしょう?


ということでAIにサクッと聞いてみました。

"業務改善や品質向上、目標達成などに活用されるフレームワーク"

だそうです。


言葉の表面だけ受け取ると

「とある場所に行っただけで人生観が変わるなんて簡単な人ですね。」

なんて思ってしまいますが、実は隠れたフレームワークが合ったりします。


そしてもし同じような言葉を私にかける人がいるのならば、

「行動に移さず、鼻をほじってる人には分からないだろう。」

と返すでしょう。


もちろん鼻をほじるなんて比喩です。


「とても退屈な時間を過ごしているように見える、

言葉の裏にある背景を考えようともしないあなたには分からないだろうし、

この言葉の意味さえも理解できないだろうね。」


というありったけの嫌味となります。


ああ、私は何という人間なんでしょうね。


話が逸れましたが一人旅に今回フォーカスを置いたのは

自分が成長したいという願望のもとでした。

そしてそのためには短くても一カ月は必要だと考えました。


これまでに海外の一人旅を二回実行し、

いずれも一カ月半程度の時間を要したのです。

そのため今回も迷うことなく一カ月という期間を設定しました。


では概要が決まったところで家族や友人に周知します。


しかし周りの目は若い頃のように

一人旅というのは心配だけれど、挑戦してみるのはいいことだ!やってみな!

という熱い応援ではなく


一人旅なんて、まだやるつもり?これで最後だよね?

という暗黙の了解が付いていました。


タイミングが悪く、なんて言ったら彼が可哀想ですが

行こうと思っていた時期にプロポーズを受けて

私だけの話でなく、周りの目を気にしなくてはならなくなっていたんですね。


と言うわけで私の最後の独身一人旅は

周囲の心配や若干引かれながらも強行されました。


ここで諦めないところが自分らしくて呆れますね。




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変わっていると言われる人から見た世界 ケムリ @contigo

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