第8話 ~打ち明け~
「君、何年生?」
「あ、1年です」
「ふ~ん、そうかぁ」
当時、高校3年生と1年生といえば神と下僕、1年生にとって3年生はそのぐらい遠い、いや、尊い存在である。
「ところでさ、本当は君、僕に何か話したいこと、あるんじゃない?」
うつむき加減でやや恐縮した表情から一変、僕は大きく目を見開いて彼の眼の中心を見つめた。
そう、僕は誰かに話したかった。
感情が見えること。
僕は何もできない、だから、僕は悪くないと言い聞かせていること。
ても、やっぱり、罪悪感が溜まっていること。
人との関わりに中学の時よりむしろ臆病になってしまっていること。
そして、無色な彼なら、何か話ができるかもしれないと思っていること。
彼の問いかけはあまりにもストレートで、下手な自分への言い訳は通用しない。
心の一番深いところを射抜かれた僕の目から、抑えることができない涙が一滴、頬を伝わっていくのが分かった。
僕は、自分の癖、小学生時代の親友との悲しい出来事、鏡のこと、大樹の声、感情の色、これまで一人で抱えてきたすべてを、このまだ出会って間もない年上の彼に打ち明けた。
「へぇ~、君ってユニークだね」
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