第3話 ~厄介な人たち~
義務教育を終えるとき、学業という一つの物差しで、十数年分の人生の実績が図られる。
そして、あたかもその先のうん十年という未来が確定したかのように、自分も他人も錯覚する。
そこに沢山の妬みや腐り卑しみが生まれ、自分自身で自分の心を蝕んでしまう。
でも、人は成長する。
その、たかだか十数年の人生の中で小さな挫折や成功を繰り返し、妬まずに敬うことを覚え、腐らずに自らの励みとし、卑しまずに思いやることを覚える。
自身の個性を自覚し、受け入れた人は、他人の違いを認められるようになる。
そして、人々が脈々と作り上げてきた社会という大きな潮流を目の前にして、時に従い、時に抗いながら、幼い頃の夢は形を変えて、遠い未来よりも、自分ができる少し先の未来を描くようになる。
人はそれを、大人になったというのかもしれない。
でも、残念ながら、大人になり切れず厄介な感情に支配された人生を歩もうとしてしまう人たちもいる。
朝、駅前の公園には散歩の途中に立ち寄るいつも顔ぶれが同じのお年寄り達がいる。
そして、ベンチに腰掛け不健康自慢や近所の噂話で余生を費やしている。
耳が遠いせいなのだろう、遠くからでも聞こえるような声でしゃべるので、会話の中身が筒抜けである。
高校に通い始めた頃、通学時間が長いので、学校に少し長居したりすると駅に着くころにはもうあたりは暗くなっている。
その時間、お年寄りに代わって公園には厄介な人たちが集まっていることがある。
彼らはド派手に装飾されたオートバイを公園内に停めて、朝、おじいちゃん、おばあちゃんたちがくつろいでるベンチに数人座り、またそれを取り囲むように煙草をふかして何人かがしゃがみこんでいる。
事件に巻き込まれそうなので、彼らに目を向けることはしない。
きっと濃い青や赤の色が見えることは想像に難くない。
彼らが公園を占拠しているときは、少し遠回りだけど公園をぐるっと回って駐輪場にいくことにしている。
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