第20話 戦闘は目と目が合ったら始まりです


「僕に常識を語らせるとは、いい度胸だね。

この状況くらい僕にだって分かりますよ。

要するに術者おやだまを倒せばいいんですよね?

そうと決まれば早めにこの現象を引き起こしている術者に会いに行こうよ」


「え、なんでそういう結論になったの?」

「実技試験の得点上がるかもしれないでしょ!早く行こ!」

「え、ちょっと待ってよ~。(諦めようこの子は、私だけでも出来そうな打開策を一旦考えることにしましょ)」


「いや、私はいやよ??見てわかる程に実力差が滲み出ている特殊な魔法使いが確定している所に突っ込んで行く程挑戦者精神を持ち合わせていないの」

「…諦めるんだ。ッハー、そこまでの人って事ね」

『あーあ、残念。視るからに期待値は凄かったんだけどな。根性無しか、クレア先生に一日中殺されかけてみてくれ』

「なら、いいよ僕だけで行くから。えーっとここら辺なら暗いかな」

「ちょっ、何してるの!」

「少し黙っててくれる?うるさいんだけど」


【闇魔法・変幻せよ・人影ひとかげ


「…ッハ!よし。任せた分身1号」

「これは、なに?」

「僕の影。そいつと居て、大抵の事は護ってくれるよ。よーし!見に行ってこよ」

「え、ちょっとルト〜!戻ってきてぇー!喋らないやつは怖いわよ!真っ黒だし」




・・・下からなにか聞こえたがどうせ、フロースが叫んでいるだけなので無視した。

「それより、誰なんだろう氷魔術を使うなんて凄いな

応用魔術ディスタンは熟練の魔術師でも身につけさせることは難しいって聞いてたけどあれは生まれ持った体質だな、威力が段違いすぎるだろあの高さから落として形が残ってるってなんだよ、当たれば死人出るぞ」

さてさて、試験官ならぶっ飛ばすけど同じ受験者だった時がどうしようか。どうにかなるか、時に身を委ねよう。


「よし最上階ついたー、そこそこ時間使っちまったな。さてさて、氷使いさんはいるかな~?」

って、そうだよねいないよね。は~、戻るしかないか。


「はぁーあ、せっかくやる気出たのにもういいや」

長い螺旋階段を滑るように降りていった。



「上るの時間かかったのに降りるのは早いなやっぱり。

あ、フロースさんだ。まだこの階にいたんだ。この実技試験つまんなくなったわ」

「あのあの、帰ってきて早々何を言ってる?」

「もう帰ってもいいかな?不合格でも合格でもなんでもいいから」

「いや、親御さんが一生懸命稼いでくれたお金で来てるのにそれは無いでしょ、頑張りなさいよ出来が悪かったとしても」


「えー、そんなー。氷魔術使い居なかったんだよな」

「なんでそんなに応用魔術ディスタン使いを探してるの?」

「だって、応用魔術ディスタンは1度発動するとそれ以外の魔法・魔術系統使えなくなるじゃん。何かを極めてるってことじゃん。すっごくね?」

「確かに。でも魔術を使える人ってジョブで使えるか左右されるわよ?」

「そうなんだよね、魔術ってそこが残念でさ。使える人と使えない人っていう差が生まれるんだよね。実力に差がそれで付くとは思わないけど。少なくとも僕はね」

「じゃあ、ルトはこの学園に応用魔術ディスタンの使いに会いに来たの?」

「ううん?違うよ何となく。強いて言うなら行け、って言われたから来た。でも、まだ知らないことが沢山あるっぽいから楽しいよ」


「ところで話に出てたから聞くけど、フロースさんは?なんで来たの?ココに」

「私は、に会いに来たの。ココに居るって噂を聞いて」

「へー、誰かは聞いちゃダメ?」

「別に構わないわ、聞かれて困ることではないから。そのある人っていうのは、転移する者トラベラー様の事です!私は昔助けて貰ったことがあって、それ以来ずっとファンなんですけど会う機会なんてないので、やっと掴んだ情報がここの学園に滞在っていう情報だけでここまで来ました。」

「…ああ、そうか。頑張って合格して感謝言える日が来るといいな?」


「はい!そのためにもまずは合格しなければ!それより、転移する者トラベラー様もルトくんの対象に入るんじゃないですか?あのお方の転移魔術も応用魔術の1つですよね?」

「…あ、いや。転移は大丈夫かな?…うん。まだね、まだ早いと思うんだ段階的なモノを挟みたいからさ、さすがの僕も転移する者トラベラーに挑むのは怖いよー?多分ね」


「ええ、そういう考えも一応出来るのね。ますますよく分からない人だわ」


「それはそうと、フロースさん経過時間は後どれくらい?」

「そうねー、後15分ってところかな?結構経ったわね」

「そうか、なら大人しく待つ他ないな」

「普通は逃げたりするんじゃないの?現に脱落者が何人も出てるってアナウンスされてることだし」

「なんで、避ける必要も無いあの有象無象の攻撃で脱落者が出てるん?しいて言うなら最初の氷だけでしょ。手応えあったの」

「いや、確かに普通は最初の氷魔術で脱落してるわよ。あの時に一気に減って後は疎らに脱落って感じね体感は」

「ふーん、そう」

「ところで私はいつまであなたの影と手を繋いでいないといけないの?」

「ん?試験終了までだよ?後その影攻撃されると直ぐに僕の元に戻って隣から消えるから気をつけてね」

「え、そんなの聞いてなかったけど?」

「うん、だから今言ってみた」

「・・・あんた、それフラグって言うのよ?」

「いやいや、いくら何でもそれ…っは?」


突然魔力の塊が可視化された状態でルトの方へ飛んで来た。


「…っべ、なんだあの速さ」

「おいおい、そこのお2人さんよ〜?呑気に話なんてしてて良いのかよ?脱落しちゃうぜぇ?」

「なによ急に、危ないじゃない!当たってたらどうするのよ」

「無駄口叩いてんじゃねーぞ!オンナ!防御か反撃か選ばせてやるよ」


「ちょっと、ルトあの人何?!」

「さー?でもオレたちを威嚇するには十分な攻撃だったよ。当たってたら一発退場だったかも」

「んな…、じゃあ早く逃げましょうよ!残り時間も少ないんだし」

「いいや、せっかくのチャンスだ。闘いたい」

「なに、バカなことを言ってるの!私の合否もかかってるのよ!」

「勝てば合格だろ、安心して負けないよ。純粋な魔力対決なら尚更ね」

試しに、オレも撃ってみたが相手の前で曲がった。

「お、曲がったな今」

「何のんきなこと言ってるの!・・・もう知らない!勝手にすれば。影くんと一緒に行くわよ!」

そう言ったフロースが後ろにある階段を駆け上がって行った。


「おいおい、ペアと離れちゃいけませんって最初に言われたよな?そんなんで脱落ふごうかくか?」

「いや、ペアとどこでもいいから触れてろって話だったろ。影もオレの1部だろうが、よく考えてから発言しろよ?石頭ばか

「そんなに煽って大丈夫か?・・・ケガするぜ?」

「早くかかってこい、君の力見せてみろよ」

「お前、闘いになった瞬間に口調変わり過ぎなんだよ!なめてんのか?」


言い終わるとお互い同時に魔力を溜め始め、次の瞬間には闘う場所がちょうどお互いの真ん中になっていた。


「・・てめぇ、やれる口だなぁ?どこでその技術わざを教わったんだ?畑仕事いなかか?田舎野郎クソやろう

「おっとっと、人を見た目で判断するのは良くないと思いますよ?そういう所でモテない男って認定くべつされるんですから」

「…っふ、舐めた口利きやがって。その口黙らせてやるよ」

試験官らしき人が後ろに飛び、ルトとの距離をとって魔術を発動させる。


・空気を飛ばせ・大気砲】


「お?初めて見る魔術だ。当たったら痛いのかな?」

「…っは、当たってみたらいいんじゃねえか?お前をここから飛ばす勢いを込めてるけどな、おっら!くらえや!」


「そうか、なら受けてやる」

「・・・ふーん、こんな感じか。流石応用魔術って感じだな。もういいや君の実力は分かった、何も得るもの無さそうだから早く他の魔術も見せろよ」


「すーっはぁ。ははそんな、大口叩いてんじゃねーよ。負けた時が恥ずかしいぜ?まあ、安心しろよオレ様に負けても黙っといてやるからよ」


「ハハッ息上がりすぎだろお前、そんな慌ててオレの周りまわんなよ」

「っすーは、酸素は大事だぜ?脳を働かせる力になるからな」



「残り時間5分切ってるし、もう君に興味無いから逃げさせてあげるよ」


「は?何俺様から逃げられると思ってんだよ?俺様はお前なんて逃がさねぇぞ」

「なんで、オレが君から逃げる前提なんだよ。特別な魔術が使えるからってイキがってんじゃねぇぞ?子供か、君は」


「お前、誰にそんな態度とってんだ!もう、実技試験なんて関係ねぇ!ぶっ殺してやる」

「オレのセリフだよそれは。飛ばしてやるよ君ごと」


【風魔法・敵を貫け・一走刃しんそく


【大気魔術・捻り潰せ・気切断ざん


同時に発動させた。学園試験中のこの2人。

勝敗や如何に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る