第13話 人の過去
「・・・ぃって」
「…あ、やっと起きました?」
横を見ると何故かニコとシャルが座っていた。
「ここは?」
見たこともない部屋だった
「ここは、
「最初呼ばれて行こうとした時、心配だったんで一応部屋を空けて行ったんですけど遅れて着いてニコさんの顔の色見たら無くなってましたよ、ほぼ無色でルト様の隣にいたんですよ。一旦放心状態になっている
「ああ、助かるよ。それで僕ってどれくらい気失ってた?」
「分からないですけど、見つけた時からは1時間ほど経っていますよ。あと一応クレア様からの伝言で「
って!そんなの無理だろ!とも思ったが弱音を吐くなとも言われるのでグッと堪える事にした。
「ああ、言いそうな事だちゃんと伝わったよ。ありがとう、シャル。…それで隣は?」
「忘れてました。ニコさーん、ルト様起きましたよーってやっても動かないんですけどね?」
「・・なんで?って言っても僕のせいなんだろうね心当たりしかないし」
「そうなんですね?なら早く正気に戻してくださいよ。この状態で運ぶの辛かったんですから。このままなら特別手当貰いますよ?」
「存分に貰っといてくれ。ニコ~、大丈夫〜?」
まず、適当な言葉をかけてみる
「ダメじゃないですか?」
「ダメか、前はこれで行けたんだけどな」
「耐性ついちゃってるじゃないですか声掛けの」
「そんな事より僕に対する耐性つけて欲しいけどね。時々あるんだよこの状態」
「そうなんですね、
「・・・多分?」
「まあ、十中八九ルト様のことなんでしょうけど。いつもこんな感じじゃないですし、私たちが失敗しても顔色一つ変えずに修正するニコさんがここまでとは」
「そんなに、優秀なのか。僕から見たら仕事はするけど不真面目にしか見えないのに」
「まあ、見え方は色々ありますし。それより早く治して下さい?この人、この後
「そうか、なら一旦シャルは出てってもらってもいい?今ニコと僕とシャルだけだよね?この部屋」
「はい、まだ時間では無いので周りの部屋にも
そう言いながらシャルは部屋を出ていった。
「ニコ〜、今は僕しか居ないよ?」ゴソゴソ動くニコが「…バレました?」と、片目を開けた。
「何年いると思ってるのさ、流石に分かるよ。ちなみにシャルも気づいていたよ」
「まあ、あの子は分かるでしょう。そのように
「そうなのか、
「バカにしてますね?ルト様」
「どう捉えてもいいよ。それより用事あるんだろ?早くしないと行けないんじゃないの?」
「ルト様より優先する事なんて私にはございませんよ」
「冗談はよせ、ニコ。早く行ってあげな代わりにシャルが怒られたらどうするの?」
「大丈夫ですよ、あの子強いですし」
「言い訳するんじゃありません。早く行きなさい」
「…ルト様がそう言うならそうするしかありませんね」
「分かったならよろしい、僕は自室に戻っておくよ。また、夕食時に」
「ええ、分かりました。シャル!」
「はい、なんでしょう」外に出ていたはずのシャルがいつの間にか部屋にいた。
「ルト様をお願いね」
「承知致しました」軽い会話をしてニコはどこかへ行った。
「それでは、自室までご案内致します念の為確認なのですが歩けますか?」
「ああ、ありがとう。歩けるよ大丈夫」
「そうですか、それなら良かったです。私にはニコんの様に振る舞うことは出来ないですから」
アレは確かに特殊だろうなと僕でも思う。
「意外と近いんだね、ここまで」
「そうですね、旦那様のお考えだと思います。いざとなった時にすぐ動けるようにだとか色々な工夫がされてるのだと思いますよ」
「なるほど、知らなかったや」
「まあ、無理もないでしょう。用事があっても私たちはすぐ近くに居て聞くことが出来るので」
「それもそうか、シャルはここに来て楽しい?」
「・・そうですねー、ここに来てからは充実した日々を過ごさせてもらってますよ」
「それなら良かった、でも僕はシャルの昔を知らないんだよね。誰かに拾ってもらったの?」
「私の昔は知らなくていいですよ、大した内容でも無いですし知っていて得することは何も無いですから」
「そうかな?人との付き合いでその人の過去を知ることって大切だと思ってた」
「時には知らない方がその人にとって幸せかもしれませんよ?ルト様にも知られたくない過去はあるでしょう?」
「あるな、やめとこうこの話は。終わり」
「まあ、そんなもんですよ。次は夕食時にお呼びいたしますねでは、また後ほど」
「うん、ありがとう」
この後はいつも通りの報告会と姉さんの駄々こねがあったくらいだった。
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