第11話 メイドの狙い

ルトが居なくなってからすぐにラヴィが部屋の鍵をかけ、話しやすいように整えられた。


「ええ、ラヴィ様の言う通りですよ。本当はもう少しギリギリに言って、間に合わなかったって展開にしたかったんですけどね」

「それはなぜなの?ニコ」

「ラヴィ様なら先に分かってそうですけどね?」

「私はニコの口から聞きたいのよ?いえ、ニコ・フィクロス?。でありながら、フィクロス家のさん?」

「…その名はここに来る前に捨てました。やめてください」

「あら?それは失礼しました、それで、は?」

「少し昔話をさせてください」

「いいわよ?」


「私はルト様に救われたんです。幼い頃のルト様かみさまがあの大雨の日に汚いワタシを見つけてくれたんです。【綺麗きれい】ってとびっきり優しい声で、傘をさしながら、言ってくれたんです。こんなごみのことを。なんて優しいんだって思いましたよ。でもそんな中私をめる罠だったらどうしようとか、私を都合のいいような駒としか考えてない発情期突入中の猿クソ貴族の手先ならどうしようとか!」


「そういうことを考えてしまうくらい腐っているんですよ貴族間あいつらのやりとりっていうのは!自分自身を道具としか思ってない人しか生き残れないんですよ」


「もし、あの時ルト様が見つけてくれていなかったら、どうなっていたのかは今の私には分かりません。過去には行けませんし行ったところで私に運命を変える力はないですから」


「…私はルト様に貴族社会という偽りの顔で創られた世界の中で過ごして欲しくないんですよね、私のクソみたいな人生の歯車を一生懸命動かしてくれたルト様には」


「色んな世界を見て欲しいんです。本に載ってない大地に足を踏み入れたり、色んな経験を積んで欲しかったんです」


「…でも、そんなこと叶いませんでした。この家に生まれてしまった以上は。…来週辺りにオリアナ様が旦那様に学園についての、相談を聞きに来るそうです」


「まあ、ニコ大体のことは把握したわ。おおよそでもあったからね、理解はしやすかったわ。でもね、ニコ。それではルトが学園に行くことが決定してしまうわけよ、止めてないからね」


「だったらもっと工夫しなさいよ。になるとすぐ使んだから」

「はい、すみません気をつけます」


「それで?具体的にどうするつもりだったの?」

「私個人としては、前日とかに連れ出そうかなと思ってましたよ最悪の場合はですが」

「安直ね、そこから始まる物語があると思ってるの?それってルトの為になるの?」

このお方ラヴィ様は同い年位のはずのにニコよりも大人年上に見える。

「私だってルト様の事を思ってますけどあまりに準備期間が短かったんですよ、学園話を聞かされたのもつい先週のことですから」

「あの人の事だからその事までニコには遅れて伝えてそうね間違いないわ」

「あー、やっぱりそうですか。ここの使用人になる時にしてしまったことが間違いだったか。また、利用されちゃってたんですね気づかない内に」

「まあ、【】と呼ばれてたあの人に勝てるわけないわ」


「…使、ね?」


「…まあ、そうですよね。大体の想定はしていたので、覚悟はしてますよ」

「その、で成功出来たらいいわね」


「ラヴィ様は協力してくれないんですか?」

「なんで、わたしが貴女に手を貸さないといけない訳?」

「だって、ラヴィ様の能力転移使えば一瞬で解決じゃないですか」

「…貴女ね、私の能力転移舐め過ぎ。潰すわよ?」

「それなら、抵抗は出来ないですね」

「自分を犠牲に話を作ろうとしないの、止めなさいそれはルトが悲しむわ」

「…たしかに、ルト様は悲しんでくれると思いますが私如きの人生いのち運命みらいが変わるのなら喜んで受け入れますよ、一度死んだ人生いのちですから」

「…はー、どうしてこんな子を拾ってきたのかしらあの子ルトは全く」


「…わかったわ、出来るだけ協力してあげる」

「え!本当ですか?それなら…「ただし、条件を加えます」…はい」


あの子ルトをもっと頼りなさい」


「…はい。」


あの子ルト貴女ニコの事拾ってきてからずーっと心配して私に時々相談してくるの知らないでしょ?」

「…そうだったんですね、そんなことがあったんですね」

「そうよ、貴女ニコに嫉妬しちゃうわあの子ルトにそんなに頼られてるなんて」


「…ん?…頼られてる?今の話ではそんなこと一言も」

ね、聴こえないくらいの音量こえで言ったのに。そんな事どうでもいいのよ一旦」


「それで?このことを踏まえて知って何をするの?」


「そうですね、まずは可能性ルートを増やして行こうと思います後2、3週間程あるはずなので」

「そうね、学園の一般試験は伍星五月の最初にあるはず。その後に学園式の筈だからそんなくらいね」

「まあ、学園に行くのはまぬがれないと思うけどね私は」

「…なんでですか?」

あの子ルト、新しいことに目が無いから」

「…たしかに?」

「まあ、そこら辺もあの子にちゃんと話しなさいよ?」

「はいっ、分かりました。こんな私情わがままに付き合って頂きありがとうございますラヴィ様」

「全然いいわよ、ルトのための行動なら、ね?」

「はい。肝に銘じておきます」

「なら、よろしい。今日はもう遅いから悩まないで早く寝なさい?」

「そうですね、夜更かしは美容びよう天敵てんてきですからねそれでは先に失礼いたしますラヴィ様」

「はい、おやすみ」


2人の話し合いが終わった。


「…あの人がニコとどんなを交わしたのか気になってきたわ」


ラヴィも密かに動く事を決めた












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