第16章

第45話

ふと目覚めて窓に目を向けると、カーテンが閉まっていて、部屋にはルームライトの薄灯だけが点いていた。



デジタル時計を見ると、19時46分。

…思いの外 よく眠ってしまったみたいだ。



横を見ると、陸斗はいない。



ドアの開く音がして、部屋に入ってきた陸斗と目が合った。



「あ、ごめん。 起こしたんじゃない?」


そう言いながら、陸斗はレジ袋をテーブルの上に置いた。




「私、結構眠ってしまってたんだね」



「疲れたんだよ。ゆっくりすればいいじゃん。近くのコンビニで適当に夕飯買って来たんだけど、こんなんでいいのかな」


陸斗はレジ袋の中からおにぎり何個かとホットスナック、ペットボトルのお茶を取り出した。



「あと ほら、プリンとか食べやすいんじゃない? それと、明日の朝食用にサンドイッチだろ… コーヒーは部屋で沸かせるみたいだし」



私はまた、陸斗がポケットに突っ込んだ朝食券のことを思い出して 不快な気持ちが蘇った。



熱く抱き合ったあの幸せな時間が、まるで幻だったかに思える。




「なんか食べる?」


「私、まだあんまりお腹が空いてなくて」


「じゃ、俺 適当に食べるね。 お先にぃ」


そう言って、陸斗はフライドチキンをがぶりと齧った。




なんだか…居づらい。




「私、ちょっとシャワーを浴びてくるね」


私はベッドから出て、浴室に向かった。




「ゆっくりしてきていいよ〜。

あ、浴槽にお湯を溜めて入ってもいいからね」




陸斗の声を背中で聞きながら、私は浴室のドアを閉めた。



「はぁっ」


溜息をつき、ふと自分の顔を鏡に映す。



冴えない顔だ。



どうしてだろう…今までみたいに甘い時間を過ごした後も、前のように自然に振る舞えない。



ガウンを脱ぎ、浴槽に入ってシャワーの蛇口をひねると、熱めのお湯を顔にあてた。

拭いきれない不安や、嫌な予感を流すように。




シャワーを浴び終えた私は、大きめのバスタオルに濡れ髪を染み込ませ、それを体に巻き付け ると そっと浴室のドアを開けた。



背中を向けた陸斗がベッドの上に座っている。




誰かにメールをしている。

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