第44話

「何言ってんだよ。

そんなことしてるわけないじゃん!」


陸斗…分かりやすく動揺してる…。



「じゃあなぜ、私を抱かなくなったの?」



「それは…お腹に赤ちゃんもいるし、今がいちばん大事な時だと…」



「そんなの気にするタイプじゃないじゃん、陸斗って! 女ができたからでしょ!? もしかして私と結婚したのも、お父さんのクリニックを乗っ取りたかったから。…そうじゃない?」



どうしよう…言い出したら止まらなくなった。



「瀬里香、 どうしたんだよ」



(そうか…そういや瀬里香にはここのところ エッチしてやってなかったからな。いくら妊娠してるとは言え 女盛りなんだから、そりゃ欲求不満にもなるわな)



陸斗は私のブラウスのボタンを外していった。



「やだ、やめてよ。私が言ったから、なんだか仕方なくするみたいに……んっ、んっ…」


陸斗の唇が 私の唇を塞いだ。




「違うよ。愛してるから、欲しくなっただけ」



目の前の、この端正な顔立ちを見ると やっぱり 私…




久しぶりに陸斗に抱かれた。


正直、ずっと求めていた。


私は 何に苛立ったんだろう。


抱いてくれなかったから? 冷たく感じたから?


どこか拒みながら 激しく求めてしまう矛盾さ。


いちばん近い存在なのに、陸斗がどこかに行ってしまいそうで怖い。



どこにも行かせない。


誰にも 渡さない。


陸斗は、私のダンナさんなんだから。




激しく絡み合い 果てた後、私達はそのまま

心地良い眠りについていた。


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