第15章

第42話

「自分の家に久しぶりに帰ってるのにさ、ひとことも喋らないなんておかしいよ。殆ど私1人で話してたじゃん。家族にも 何か冷たかったし」



私は前を向いたまま愚痴を零した。



「あー、いつもあんな感じなんだよ」



「家族を大切にできない人は、好きじゃない」



「どうした、瀬里香。いつもの瀬里香らしくないな。これから行くリゾートホテル、おしゃれだぞ。食事も美味しそうだし…楽しみだな!」




「……」


私は黙ったまま返事をしなかった。




陸斗は瀬里香の手の上に自分の手を重ね、

「ごめんな…気を遣わせてしまって。これからは気をつけるよ。だから、機嫌直して」

と言って宥めた。


心では、めんどくせー女だな! と思いながら。




陸斗の運転する車が海岸線に差し掛かった。


澄み切ったコバルトブルーの海が眩しい。



「さ、もうすぐ着くよ」



瀬里香はずっと冴えない表情だった。






その頃、緑はスーツケースの中に荷物を詰めていた。

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