第14章
第39話
徹君は陸斗の顔をじっと見つめている。
陸斗は徹君の顔を凝視している。
な、なんか…気まずい雰囲気だな。
よわった、と思い 私は焦った。
(親父には先に釘を刺しておいたけど、徹とは口裏合わせてなかったからな。クソ、瀬里香の馬鹿! 余計なこと聞きやがって)
陸斗は不機嫌極まりない顔つきになった。
「俺、大学に行きたいとは思いませんでした」
徹君が穏やかな口調で、私にそう言った。
「母がいた頃は父と一緒に店をやっていたから、もしその状況が続いていたら考えなくもなかったかもしれませんが。母が亡くなって、父が1人でやっていくのは大変だろうと思ってたので、家業を手伝おうと決めたんです。やってみると案外楽しいですし、この仕事」
「そっか。なら良かったね。
徹君には合ってたんだね」
陸斗はホッとした。
言わずとも空気を読んでくれていて安心した。
「瀬里香さん…今 幸せですか?」
今度は徹君の唐突な、且つ意外な質問に 私も陸斗も唖然とした。
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