第38話

「ふぅーっ、食べた 食べた。お腹いっぱい」


私にしたらよく食べた。


お義父さんの焼いたお好み焼きが 凄く美味しかったっていうのもあるけど。



徹君、空っぽのお皿を見て唖然としてる。



「やだ、なんか恥ずかしい。あんまり美味しくって、つい」



「いや、よかったです。たくさん食べて貰えて

…体が細いから、食も細いのかなって勝手に思っちゃってて…」



「2人分だからね」



「えっ?」


徹君は目を丸くした。



「ヘヘッ、 実は 赤ちゃんがいるの、お腹に」



「えっ、そうなんすか! 」

徹君は、さらに目を丸くした。


「あー、こんな時に親父…」




「いいよ いいよ。何れわかるし。お義父さん 張り切ってくださってたから、疲れたと思う」




お義父さんは飲め飲めと言って出してくれたビールを殆ど自分が空けちゃって、眠くなってしまい 部屋で横になっていた。



…陸斗は相変わらず、ずっと無言だ。



「父も歳なのか、最近 疲れやすいみたいで」



「でも、徹君がいてくれてるから お義父さんも心強いだろうね。 エライよ、徹君。

…大学には、行きたいって思わなかったの?」



その瞬間、なぜか場の空気が変わった。



それまで無表情だった陸斗の血相が変わり、なぜか私を睨みつけた。



えっ? …私、なんかマズイこと言った?

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