第34話
「ちょっとお母さんの様子、見てこようかな。心配だから…」
「そっとしておいてあげたほうがいいんじゃない? 今、よく眠ってるっていうし」
私が立ち上がると陸斗がそう言ったので、また椅子に座った。
なんか 落ち着かない。
「ね、午後から何する?」
「ん、俺 引っ越したばかりの荷物を片付けがてら、ちょっと今のうちにお義父さんの仕事を手伝うための勉強でもしとこうかなと思ってる」
「熱心だね。折角の休みなんだから、ゆっくりすればいいのに」
「いや、足引っ張りたくないから。
…瀬里香、1人で時間潰せる?」
「潰せるよ。子供じゃないんだから」
陸斗は笑いながら椅子から立ち上がると、ぽんと私の頭を軽く叩き 流し台に食器を運んだ。
「ご馳走さま。おいしかったよ」
そう言って陸斗は自分の部屋へ行った。
部屋に入ると、陸斗はふと緑が気になった。
スマホから、緑のLINEを開く。
暫く連絡してこないで と緑から言われていたが、そろそろいいんじゃないか…と思う。
既読スルーされるかもしれないし、最悪、ブロックされているかもしれない。…でも…
LINEを開いたまま、陸斗は躊躇っていた。
瀬里香は流し台で食器を洗っていた。
「ふうっ…」
顔を上げると、ふと目に留まった窓の外に、
何か人影のようなものが見えた気がした。
… お盆休みと知らずに来た患者さんかな?
私は気になって食器を洗う手を止め、ドアから出て行き 玄関へと向かった。
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