第23話
取り敢えず小島には話せた。
口止めした以上、緑にバレることはないだろう…
陸斗はそう信じるしかなかった。
小島は話を聞いて、ナース達の好感度を下げないためにだろうか…くらいに思っていた。
ー夜ー
小島は今夜、当直だった。
緑も夜勤に入っていた。
珍しく、今夜の病棟は静かだ。
緑は椅子に座り、誰も見ていないのを確認し、徐ろに白衣のポケットからスマホを取り出して
陸斗からのLINEが入っていないかをチェックした。
「陣ノさん、ごめん、これちょっと手伝ってくれる?」
「あ、はい」
婦長から声をかけられ、緑は慌てて立ち上がった。
椅子から立ち上がる時、緑はうっかりスマホを机の上に置いてしまった。
スマホは緑の白衣に触れ、その弾みで床に落ちた。
それに気付いた小島が緑のスマホを拾って机の上に戻そうとした時、陸斗と緑のトーク画面が目に留まった。
陸斗はマンションのキッチンに立ち、そこから部屋の中を見回した。
(面倒臭いけど、そろそろ整理していくか)
陸斗はリビングに行き、広げて置いてあった段ボール箱を畳み始めた。
ー翌朝ー
何度も連打するインターホンの音で、陸斗は目が覚めた。
眠い目を擦りながら目覚まし時計を手に取る。
(まだ5時過ぎじゃねーか)
空は明るいが、起きるにはまだ早い時間だ。
陸斗がだるそうに玄関へ行き ドアを開けると、
凄まじい形相の緑が、陸斗を睨みつけていた。
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