第7章

第18話

気がつくと、ベッドの中にいた。


朝の光が、ホテルの部屋の窓からうっすらと差し込んでいる。



緑がふと横を見ると、陸斗が眠っている。


緑は焦って布団を捲った。

下着だけは身に付けている。


どうやってここに辿り着いたかは覚えていないが、確かにこの部屋で陸斗と抱き合い、貪るようにキスをしたのは うっすら記憶している。



陸斗が目を覚まし 緑に、

「おはよう」と言った。


「あ、私…」


「昨夜は…素敵だったよ」


(思ってた通り、緑はベッドでも極上だった。

すっかりハマったよ。絶対に、離したくない。)


陸斗はそう思った。



恥ずかしさで思わず俯く緑の背中を、陸斗は後ろから抱き締めた。



「まさか…こんなふうになるなんて…」


緑は動揺を隠せなかった。



「緑、って呼んでいい? ずっと…好きだったんだ。だから、遊びとかじゃないよ。

…緑は俺のこと、どう思ってる?」



「どうって…」


またこの目。透き通った、どこか憂いのある…



正直言って、陸斗のこの目がずっと頭から離れずにいた。どこにいても、何をしていても。

いつしか 陸斗に心を奪われていたのは確かだ。


「私も…」


言いかけた緑の唇を、陸斗は自分の唇で塞いだ。



そして2人はまた、シーツの波へと崩れ落ちた。

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