気分

ヤマシタ アキヒロ

第1話

  気分



気分とは不思議なものである

その振り幅の大きさといったら

まるで

ハ〇ジの乗るブランコに等しい


あるときは

どこまで走っても

疲れることを知らない

機関車のように


またあるときは

立ち上がることさえ

億劫な

年老いたキリンのように


あるときは

スキップしながら

キャンディ〇ャンディを歌う

少女のように


またあるときは

宵待草のやるせなさ

今宵は月も出ぬそうな

と呟くサラリーマンのように


われわれは時として

気分を

自らの意志そのもののように

思いがちである


トンデモナイ

気分は言わば「暴君」である

われわれの魂の舵取りを

決して任せてはならない


別の例えで言えば

気分は「幼児」である

誰が自分の車のハンドルを

幼児に握らせるだろうか


直観を頼りに

突っ走ってきたわれわれは

そろそろ魂の置き処を

定めようではないか


幼児は運転台から下ろし

チャイルドシ―トに座らせ

後部座席で

機嫌を取るのが上策である


            (了)

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気分 ヤマシタ アキヒロ @09063499480

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