第31話 プシキャット

「おっ! 宝箱がポップアップした」


スライム津波のスライムたちが全てドロップアイテムに変わり、静寂が訪れ……いや、子供たちの大歓声の大騒ぎの中、出現した宝箱に近づいた。子供たちも俺を押し退けて宝箱に殺到する。おおおっ、すごい勢いだ。やるな、子供たちよ。元気でよろしい!


子供達は宝箱に殺到するも、さすがに俺を差し置いて宝箱を開ける気はないらしく、大声で俺を呼んで急かした。


「よ~し、宝箱を開けるぞ~」


もったいぶらずに宝箱を開ける。後ろから覗き込んだ子供達が、拍子抜けたような、がっかりしたような空気を出した。


宝箱の中には、ビー玉が1個、転がってただけだったのだ。


たかがビー玉。だが、それを見たミミが大声をあげた。


「プシキャット!」


プシキャットこねこ?」


「宝石のキャッツアイの一種で、見る人にまるで子猫を愛でるような感情をもたらすダンジョン特産の魔法の宝石です~。買い取り価格が300万円を下らないと言われているマニア垂涎の宝石です~。私も1個持ってますよ~、『タママ』って名前までつけてます~」


「こんなビー玉が300万!?」


「コアなファンが多数いらっしゃるのです~。通称『猫好きクラブ』です~」


「へ~」


俺はビー玉を……プシキャットを指先でつまんで目の前に持ってきて覗き込んでみた。


ぱっと見は、宝石のキャッツアイを模して作られたチープなガラス玉のように見える。


だが、めまぐるしく色彩が変化して見ていてとても楽しい。そして、とても可愛らしい。何と言うか、これは萌えというのだろうか。愛しい気持ちが心の中から溢れ出して止まらない。人間を魅了する魔性のビー玉だ。


ふと周りを見ると、子供達が俺たちから距離をとって、こちらをじーっと見ている。


「どうした? お前ら」


子供達を代表して、孔雀が答えた。


「荷運びがドロップアイテムに許可なく触れるのは、絶対にやっちゃいけないことなんだ」


しっかりしてんな。


「見るか?」


俺がプシキャットを子供たちに向けると、子供達は両手を振って拒絶の態度を示した。


「「「「「宝物を見せびらかさないで! どうしても欲しくなるから!」」」」」


俺は、ミミにもいさめられた。


「ヒロさん~、それはご法度ですよ~」


「はい、すんません」


俺は、素直に頭を下げた。


俺は子供たちと協力して、ドロップアイテムの山を袋詰めにした。俺も、アイテムボックスをフル稼働してドロップアイテムを集めた。さて、いくらの儲けになることやら。ワクワク。


──────────

【あとがき】

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最近は、短くてスマンっす。ちと、執筆に疲れてしまって。次回は復活するといいな~。

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リストラされた50歳チビデブハゲのおっさんダンジョンに潜る ところ天@pontakiche @pontakiche

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