忠告
君は亡霊の存在を信じるかね
なに、特別なものじゃない
歳を取れば、実際多くの人間が取り憑かれることになる
人は別れながら生きていく生き物だ
死別、離別、決別……これらは誰しも避けては通れないものだ
心の中の、失ってしまった人々が居た場所は、やがて底暗い虚無へと成り果てる
それは失われた存在そのものではなく、もはや記憶の断片が寄り集まった──そう、亡霊だよ
ちなみに君にも取り憑いているね
複数の幻影でできあがった、ひどくややこしいのが
亡霊は実体を探し求めている
とはいえ、心の中の亡霊だ
物理的に悪さできるわけじゃない
ただ、奴らは勝手でね。自らの実体として無関係な人間を認識したがるんだ
その実体として選ばれたのが、君が気になって気になって仕方のない彼女というわけだ
君は彼女の表情や仕草に、失った人々の面影を見ているだろう
心の中の亡霊は外への力を持たないが、宿主である君はその影響から逃れられない
現に君は彼女に強く惹かれているじゃないか
いいかね、そいつは恋じゃない
──危険だ。手を引け、今すぐに
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