第2話 覚醒の力
モンスターの咆哮が響く中、大地の心臓は激しく脈打っていた。
右手に握られたキー・アームは異様な重みを感じさせ、手汗で滑りそうになる。
目の前には鋭い牙をむき出しにしたモンスター。
その動きは重そうに見えたが、一歩一歩が地面を揺るがし、迫力は圧倒的だった。
レイナ「恐れないで。この武器はあなたの意思に応じて力を引き出す」
大地「言われても、どうやって使えばいいんだよ!」
レイナ「考えるより先に動いて。あなたが選ばれた理由を信じて」
彼女の声には、強い確信がこもっていた。
だが、目の前の恐怖が大地を縛り付ける。
モンスターの鋭い爪が振り下ろされ、大地は慌てて身を引いた。
その一撃は地面を裂き、瓦礫が飛び散る。
大地「こんなの無理だ!俺には戦えない…!」
彼は後退しながら叫んだ。
だが、その時、モンスターの赤い目が彼をロックオンした。
その咆哮に、大地は耳を押さえながら尻もちをついてしまう。
レイナ「立ちなさい大地!敵は待ってくれない」
彼女の言葉に、大地は震える足を押さえつけて立ち上がった。
恐怖を振り払おうと、右手のキー・アームを握り直す。
その刃が淡い光を放ち始めた。
大地「動け…!俺の体!」
彼は叫びながら、武器を振り上げた。
その瞬間、刃から光の波動が放たれ、目の前のモンスターに直撃した。
モンスターは一瞬よろめいたが、ダメージは浅い。
大地「効いてない…のか?」
レイナ「力を引き出せていないのよ。もっと自分を信じて!」
モンスターは再び前進し、大地に牙を剥き出しにして襲いかかる。
その速度に驚き、大地は咄嗟に横へ転がり込んだ。
それでも爪が彼の肩をかすめ、鋭い痛みが走る。
大地「…こんな戦い方無理だって!」
その時、後ろから駆け寄ってきた少女の声が響いた。
美咲「大地!」
振り向くと、幼馴染の美咲が立っていた。
その手には、小さな盾のような形状の異世界の武具が握られている。
紋様が淡い緑色に輝き、彼女の全身を包むように光っていた。
大地「美咲!?なんでお前がここに…?」
美咲「分からない。でも、気づいたらこの力が現れて…あんたを助けなきゃって思ったんだ」
彼女は武具を構え、大地を守るように前へ出た。
モンスターが美咲に向けて爪を振り下ろす。
だが、その一撃は彼女の盾に阻まれ、光が弾けるように反射した。
美咲「今よ、大地!」
彼女の声に、大地は再び武器を構えた。
恐怖の中にあった自分が、彼女の言葉で一歩前へ踏み出した。
キー・アームが強く輝き、その刃に光のエネルギーが凝縮される。
彼は全力で武器を振り下ろした。
光の刃がモンスターを直撃し、轟音と共にその巨体を真っ二つに切り裂いた。
モンスターは断末魔の咆哮を上げ、倒れ込んだ。
その姿が地面に溶けるように消えていく。
大地は肩で息をしながら、キー・アームを見つめた。
手が震え、体中が疲労に襲われていたが、確かに勝利したという実感があった。
美咲「やったね、大地…!」
彼女は笑顔を浮かべ、駆け寄ってきた。
だが、レイナは表情を変えず、冷静な口調で言った。
レイナ「これで一つの脅威を乗り越えたに過ぎない。次はもっと強い敵が来るわ」
大地「もっと…強い…?」
レイナ「ヴァレリアの尖兵は、こんなものじゃない。
彼らを止めなければ、この街だけじゃなく、世界全体が危険に晒される」
美咲「ヴァレリアって何?」
レイナは静かに説明を始めた。
異世界の反乱勢力「ヴァレリア」が、異世界と地球を完全に融合させようとしていること。
その目的は、両方の世界を支配するための力を手に入れることだという。
大地「そんなの…どうやって止めるんだよ」
レイナ「まずは、彼らの侵攻を阻止する方法を探さなければならない。
私たちはそのための仲間を集め、力を磨いていく必要がある」
彼女の言葉に、大地と美咲は互いに視線を交わした。
異世界の脅威に立ち向かうため、自分たちが何をすべきかが少しずつ見え始める
大地「分かったよ。俺も戦う。美咲と一緒に…お前を手伝うよ」
その決意を胸に、三人は次の目的地へ向けて歩み出す。
異世界と地球の狭間で、彼らの戦いが本格的に始まったのだった。
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