アンロック・リアルム ---解放されし異世界---

魔石収集家

第1話 異世界との融合

異世界との融合


その日、世界は一変した。

青空を引き裂くように出現した巨大な裂け目。

その向こうには、異世界のような風景が広がり、重力を無視して浮かぶ塔や、見たこともない生物が蠢いていた。

突如として始まった非日常。人々は何が起きているのかも分からず、ただ恐怖に飲み込まれていく。


大地は大学からの帰り道だった。

街中が警報の音で満たされ、スマートフォンには「避難してください」の文字が繰り返し表示されている。

しかし、現実感のない状況に、誰もがただ立ち尽くしていた。


大地「何だこれ…夢か?」


そうつぶやいた瞬間、建物の壁を突き破って現れたのは、巨大な四足歩行の生物だった。

黒い甲殻に覆われた体躯は見るからに硬そうで、赤い目は獲物を狙うように光っている。

咆哮と共に、周囲のガラスが粉々に砕け散った。

その音に、大地はようやく足を動かした。


大地「逃げなきゃ!」


全速力で走り出すが、どこへ向かえば安全なのか分からない。

街全体が混乱と破壊に包まれていた。

さらに奥の通りからは、別のモンスターが現れ、道を塞ぐように暴れている。

その光景に大地は立ち止まってしまった。


大地「嘘だろ…こんなの、どうしろってんだ…」


次の瞬間、背後から巨大な咆哮が響いた。

振り向くと、先ほどのモンスターが大地を目がけて一直線に迫ってきている。

足がすくみ、体が動かない。

恐怖が全身を支配し、絶望的な思いが脳裏を駆け巡る。


その時だった。

光の中から、一人の少女が現れた。

銀色の髪が風になびき、まるでその場に降り立った天使のような佇まいだった。

彼女は大地の前に立ちはだかり、冷静な声で言った。


レイナ「動かないで。ここは私に任せて」


その言葉に、不思議と安心感が湧いた。

彼女は片手を掲げると、眩い光が集まり始める。

光が形を変え、剣のような武器がその手に現れた。


モンスターが襲いかかろうとする刹那、彼女は一瞬の隙も見せずに剣を振るった。

鋭い光の刃が、モンスターを一刀両断する。

轟音と共に、倒れ込むモンスター。


大地はその光景を呆然と見つめた。

信じられない。これが現実なのか。


大地「す、すごい…」


彼女は剣を収めると、大地に向き直り、静かに言った。


レイナ「あなた、宮本大地ね?私には分かる。あなたが『選ばれた者』だということ」


大地「選ばれた…?どういうことだよ」


レイナ「話している時間はないわ。この世界を救うには、特別な力が必要なの。

そして、その力を受け継ぐのはあなた」


その言葉に、大地は何も返せなかった。

突然現れた少女に告げられた自分の使命。

彼女の言葉の重みが、胸にのしかかる。


レイナ「ここから逃げるつもりなら、今すぐに言って。

でも、もし戦う気があるなら、この力を受け取って」


大地「戦う…?俺が?こんなの、無理に決まってるだろ!」


大地は叫ぶように否定した。

だが、彼女の瞳は揺るがなかった。


レイナ「あなたが立ち上がらなければ、この世界は滅びる。それだけの話よ」


彼女はそう言うと、手を大地の胸元にかざした。

その瞬間、再び眩い光が彼の体を包み込む。

熱が胸の奥から広がり、全身に何かが流れ込んでくる感覚があった。


光が収まると、大地の右手には奇妙な形をした武器が握られていた。

鋭い刃が幾何学模様を刻み、青白く輝いている。

それは、異世界の力を宿す武器「キー・アーム」だった。


大地「これ…なんだよ…」


レイナ「それが、あなたに与えられた力。

その武器を使いこなすことで、この世界を守ることができるわ」


しかし、大地にはまだその力を使う覚悟がなかった。

目の前の武器が、自分のものだとは到底思えなかった。


その時、再びモンスターの咆哮が響く。

別のモンスターがこちらに迫ってきていた。


レイナ「さあ、大地。あなたがどうするか見せて」


大地は迷い、震えながらも、武器を構えた。

異世界との戦いが、今始まろうとしていた――。

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