物語の世界設定


そこは、魔素という物質が存在する世界。

その世界のすべてのものに魔素は含まれ、魔素は世界を循環している。

大地を流れる魔素は龍脈と呼ばれ、各所から噴出泉のように湧き出て空気中を漂い、いずれ地表から地中に浸透し龍脈に戻っていく。


動物は空気や水、食物から魔素を取り込み、植物は地中や葉から魔素を得る。

そして自身の生命活動でも魔素を発生させる。

すべての生き物が、魔素によって体組織が強化されている世界なのだ。


植物は魔素によって成長が促進され、早く、大きく育つ。

そのため、この惑星にある大地の大半は広大な森になっている。

例外は、海、灼熱の砂漠や火山地帯、極寒の地くらい。


そして一部の意志ある生物は、体内の魔素を使って様々な現象を引き起こすことができる。

いわゆる、魔法が使えるのだ。


一見いいことずくめの魔素だが、困った一面もある。

生物の思念によって変化するため、変質も起きやすい。


水が欲しくて魔素を水に変える場合、固有魔素という体内の魔素だけを使うと、ごく少量の水しか生成できない。

だが、固有魔素を触媒として使い、空気中を漂う自由魔素を使って水にすれば、何倍もの水が手に入る。

しかしその際、変換途中で放棄されてしまった自由魔素が、変質しかけたまま残ってしまう。

この変質魔素が厄介な問題を引き起こすのだ。


変換効率が悪くて魔法発動時に発生した変質魔素程度なら、体内に入っても徐々に固有魔素化されるので問題は無い。

だが、変質魔素同志は引き合う性質があるため、地表で寄り集まってどんどん濃縮されていく。


塊となった変質魔素は通常魔素と同様に地中に戻り、龍脈を流れながら他の変質魔素塊と合体して、さらに大きくなっていく。

そして大きくて高濃度な変質魔素塊となって、やがて魔素泉から噴出する。


放出された変質魔素塊は正常な魔素のように空中に拡散されること無く、魔素泉の近場に落下。

付近にいた動物は自身では処理しきれぬほどの高濃度の変質魔素を浴び、体組織が変容して理性を失った魔物と化してしまうのだ。


魔物化すると体内に変質魔素の核である魔核が出来、他者を食らって魔素を吸収しつつ、身体全体を魔素の塊に変えてしまう。

取り込んだ魔素で身体を維持しながら、取り込んだ魔素を徐々に変質させて魔核は成長し、やがては手が付けられないほどの強者になるのだ。


この厄介者の魔物にも、ふたつだけ利用価値がある。

魔物を討伐すると、正常な魔素の塊である身体は魔核を残して霧散してしまう。

この時近くにいた人間は、一度に大量放出された正常な魔素を浴び、細胞の魔素保有容量が拡張される。


魔素保有容量が拡張されれば、身体能力が魔素によって強化され、魔法の使用回数も増える。

いわゆるレベルアップが起きるのだ。


そしてレベルアップを繰り返していくと、魔素による身体の構成率が上がり、どんどん長寿化していく。

さらにレベルアップを繰り返すと、身体は完全な魔素構成となり、妖精種へと進化する。

魔物と妖精種の違いは、行動が魔核に支配されるか脳で制御されるかの違いだ。


もうひとつは、魔物討伐時に残る魔核が、魔道具という便利アイテムのエネルギー源になるということ。


魔道具は、水や火、光や冷気、回転の動力など、様々な効果を発生させることができる超便利アイテム。

トイレの汚水までその場で分解出来てしまうので、一部は地球より進んだ技術かもしれない。

魔核は、人の生活に密着した魔道具のエネルギー源なのだ。



この世界は、魔物や魔法、魔道具以外にも、かなりファンタジーな要素がある世界。

寿命何百年かの人間(半妖精)はいるし、大小さまざまな種の妖精もいる。

動物だけでなく、草木の妖精までいるのだ。

そして空には、浮島が浮遊していたりする。


この物語は、そんなファンタジー世界に転生してしまった、ひとりの幼女(?)の物語である。

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