第7話 最後の砦

深夜のジャポネ中央地区。

国の中枢とも言える施設の前で、ヴィラン連合は静かに身を潜めていた。

目の前に広がるのは、無数の監視カメラと最新鋭のセキュリティが張り巡らされた建物だった。

その中央には、プロメテウス計画の中枢「中央コア」が存在している。


玲司「これが最後の戦いだ。ここを制圧し、中央コアを破壊する」


玲司の声は冷静そのものだったが、言葉に宿る力は明確だった。

全員が深く頷き、それぞれの役割に向けて動き出す。


千夏はノートPCを抱え、建物外周に設置された端末に接続する。

セキュリティの解除を開始するが、これまで以上に複雑な仕組みに苦戦していた。


千夏「さすがに今回はキツイ…でも、やらないと」


無線越しに真希の声が聞こえてくる。


真希「千夏、あんたならできるって信じてるよ。ちょっと爆発音で気を紛らわせてあげようか?」


千夏「それ、逆効果だからやめて」


冷や汗をかきながらも、千夏は端末の解除に集中する。


一方、大和は建物の正面で囮役として動き出していた。

今回の囮はこれまで以上に重要で、警備ヒーローたちの注意を完全に引きつけなければならない。


大和「よし、やるぞ…!」


彼はわざと派手な音を立て、建物の正面に配置された警備ヒーローたちを挑発する。


大和「おーい、こっちだ!ほら、捕まえられるもんなら捕まえてみろよ!」


その言葉に、数名の警備ヒーローが動き出した。

彼らは厳しい目つきで大和に向かってくる。


警備ヒーローA「侵入者を発見!排除する!」


その頃、蓮は施設の影を縫うように動いていた。

彼の目標は建物内部の補助セキュリティを無効化することだ。


蓮「千夏、進捗はどうだ?」


千夏「あと少し…っていうか、こんな複雑なセキュリティ作るなんて、性格悪すぎ!」


蓮「それを言うなら俺たちもだろう」


蓮は淡々と動き続け、狭い隙間を通り抜けていく。

その集中力が、連合の作戦を支えていた。


施設内部の異変に気づいた中央コアの指揮官、白のヒーローが動き出した。

彼は冷徹な目で監視モニターを見つめ、静かに口を開く。


白のヒーロー「くだらない反抗だな。だが、ここで全てを終わらせる」


彼の命令を受け、施設内のヒーローたちが次々と配置につく。

ヴィラン連合は、最強のヒーローと真正面から対峙する運命にあった。


大和は追い詰められながらも、警備ヒーローたちを建物から引き離すことに成功していた。

だが、その背後に迫る白い影に気づく。


大和「まさか…お前が来るのかよ!」


振り返ると、そこには白のヒーローが立っていた。

その冷たい目は、大和を完全に標的として捉えていた。


白のヒーロー「無力なお前ごときが、ここまで計画を邪魔するとはな。

だが、もうこれ以上は許さない」


大和「いやいや、俺一人が邪魔してるんじゃないし!」


大和は必死に言い訳を試みるが、その目は戦いから逃げる気持ちを許さない白のヒーローに射抜かれる。


その頃、玲司は蓮と共に建物内部に潜入していた。

彼らは中央コアへのルートを確保し、最深部に迫っていた。


玲司「ここが最後の関門だ。突破するぞ」


蓮「了解」


2人が静かに進む中、施設全体に警報が鳴り響いた。

それは千夏がハッキングに成功した合図だった。


千夏「やった…これで内部のセキュリティは完全に無効化したわ!」


真希「いいね!次は私の爆発の出番ってところかな!」


中央コアにたどり着いた玲司と蓮は、そこに立つ一人の人物に遭遇する。

それはプロメテウス計画の真の責任者であり、政府直属の指揮官だった。


指揮官「ついにここまで来たか。だが、計画を阻止することはできない」


玲司「黙れ。この腐った計画に未来はない」


蓮は迷いなく行動し、指揮官に向かって影を操る技を放つ。

激しい戦闘が始まり、施設全体が揺れる中、最終決戦の火蓋が切られる。


外では、大和が白のヒーローに追い詰められていた。

それでも、彼は時間稼ぎを諦めず、必死に相手を翻弄していた。


大和「まだ終わりじゃねえんだよ!」


白のヒーロー「無駄だ。お前ごときが何をしても、この流れは変えられない」


だが、大和の行動は確実に仲間たちの成功に繋がりつつあった。

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