第6話 プロメテウス計画の真相

廃工場の会議室にホログラムが浮かび上がり、その光が薄暗い空間を照らしていた。

先の作戦で奪取したデータを千夏が解析し、その結果を連合全員に報告していた。


千夏「これがプロメテウス計画の全体像よ」


ホログラムには複雑な構造が描かれ、各施設が計画にどう関与しているかを示していた。


千夏「簡単に言うと、プロメテウス計画は3つの段階に分かれてる。

第一段階はヒーローの強化技術の開発。

第二段階が、強化されたヒーローを量産するためのインフラ整備。

そして第三段階…これが最も恐ろしい部分」


大和「第三段階って、何なんだよ」


千夏は言葉を飲み込み、一瞬視線を伏せた。

玲司が代わりに説明を続ける。


玲司「第三段階――それは、反抗する全ての市民を排除するための人間兵器の投入だ」


その言葉に、全員が息を呑んだ。


真希「人間兵器…?それってつまり、普通の人間を武器として使うってこと?」


玲司「そうだ。計画の最終目標は、ジャポネ政府に逆らうすべての存在を根絶やしにすることにある。

そのために、市民を強制的に改造し、完全に制御可能な戦闘兵器として利用する」


大和「そんなの…正気の沙汰じゃない!」


玲司は冷静な目で大和を見つめた。


玲司「これがヒーロー社会の裏側だ。『正義』の名の下に、人々の自由と命が奪われる」


千夏「そして、もう一つ分かったことがある。この計画には最初から試験台がいたのよ」


蓮「試験台…?」


千夏はホログラムを操作し、一つのファイルを開いた。

そこには、一連のデータとともに、ある人物の名前が記されていた。


千夏「その名前は…『玲司』よ」


全員の視線が玲司に集まる。

しかし、玲司は微動だにせず、静かに口を開いた。


玲司「ああ、俺がその試験台だ。ジャポネ政府が最初に強化ヒーローを作る際、彼らは俺を選んだ」


大和「な、何でそんなこと…?」


玲司「俺はかつて、ジャポネのエリートヒーローだった。

だが、政府は俺をさらに強化し、理想の兵器として作り替えようとした。

その計画の一環として、俺は自分の意思を奪われる寸前まで追い込まれた」


彼の言葉に、全員が絶句した。


玲司「だが、俺は逃げた。そして、この連合を作り上げたんだ」


大和は玲司の語る真実に衝撃を受けながらも、疑問を抱いていた。


大和「でも、なんでそんなリスクを冒してまで俺たちを助けるんだ?

お前がここで生きていく理由って何なんだよ?」


玲司は静かに目を閉じ、一瞬考えた後に答えた。


玲司「俺がここにいる理由はただ一つ――この腐ったヒーロー社会を破壊し、自由を取り戻すことだ」


その言葉には揺るぎない決意が込められていた。


真希「で、次はどうするの?どうやってその最終段階を止めるわけ?」


玲司「プロメテウス計画の中心である『中央コア』を破壊する。それが唯一の方法だ」


千夏「中央コアは、ジャポネ政府の最深部にある。セキュリティもヒーローの配備も、これまで以上に厳しいわ」


蓮「つまり、全員が力を合わせてもギリギリということだな」


玲司「そうだ。だが、やらなければならない。これは俺たちだけでなく、この国全体の未来に関わることだ」


その夜、大和は一人、廃工場の外で空を見上げていた。

胸に湧き上がる不安と、自分が果たしてこの戦いに貢献できるのかという疑問が渦巻いていた。


「俺に、何ができる…?」


そんな大和の隣に、真希が現れた。彼女は笑顔を浮かべ、軽い調子で話しかける。


真希「また悩んでるの?」


大和「だって…俺がいくら頑張ったって、大した力にはならないだろ」


真希「そんなことないよ。大和くんのやり方はあんたらしいし、誰も真似できない」


その言葉に、大和は少しだけ肩の力を抜いた。


翌朝、ヴィラン連合は最終決戦に向けて準備を始めた。

玲司は全員に向けて言葉を送る。


玲司「これが最後の戦いになる。全員が全力を尽くし、生き延びろ。

俺たちがこの戦いに勝つことで、この国の未来が変わる」


彼らの目には、それぞれの覚悟が映し出されていた。

最終決戦に向け、彼らは動き出す――。

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