すっかりおばはん
有桜彩生
お礼を言ってもらう
駅前に行くと高確率でちらし入りのティッシュを配っていることが多い。
それを必ずもらう。
【ありがとう!】とうれしそうな表情でもらうからだろうか。
最近は顔を覚えられてしまったのか、毎回2個渡してもらえる。
ティッシュだけでなく単にチラシの時もある。
それでも【ありがとう】と言ってもらう。
ただそのまま説明してどっかに連れて行こうとするときもある。
そういうときは
「ごめんね。この後交番の方に行くんでそれ終わってからでいい?」
と伝えると顔を引きつりながら諦めてくれる。
嘘をついているわけではなく、実際交番の近くのお店に行くから後ろ暗いところはない。
なぜホイホイもらうのかというと
昔チラシを配るバイトをしていたことがあり、そのしんどさを知っているからというのが大きい。
ゴミを見るような視線で拒否(割と若い男女)
ぶつくさ文句を言って拒否(ほぼおっさん)
もらうけれど1m先で路上に捨てる(圧倒的男性)
こんな対応をされてばかりされていると自分の人の心が壊れていく。
そして機械的にさっさっと渡すだけになる。
けれどたまに普通に受け取ってかばんに入れてくれる人もいれば、小さい子が目をきらきらさせてもらってくれることもあった。
そしておばちゃん。
「ありがとう!ティッシュ助かるわー!」
「なんのチラシ?行くかわからんけどもらっとくわ」
と喜んでもらってくれる。
もちろんすべてのおばちゃんがもらってくれるわけではないけれど、300配ると2~3人くらいはそういうおばちゃんがいた。
そういうおばちゃんがいたから500~1000のチラシを配り終えることができたと言っても過言ではない。
なので今はもらうときにちょっとでも配る人の気晴らしになったらいいなという気持ちで受けとってる。
なお、このやり取りを風俗店のチラシ入りティッシュでもやったところ
同行していた友人(関西初上陸)が見て
「お店は行かないって言ってティッシュをもらうって…」
なんか悶えてたけれど、知らんがな。
相手がどうぞって言ってくれたからもらっうのは日常なんだけど。
ちょっとイラっとしたけれど、顔には出さずにっこり笑って
「これがおばはんという生き方なんです」
すっかりおばはん 有桜彩生 @uohsaohh
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。すっかりおばはんの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
黙れ毒親。最新/うさぎは誇り高き戦闘民族
★39 エッセイ・ノンフィクション 連載中 47話
物語を書き遂げるためにどうしよう最新/はりか
★21 エッセイ・ノンフィクション 連載中 58話
匿名短文みんなのアイドル企画 感想最新/遊月奈喩多
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 4話
うにゅほとの生活最新/八白 嘘
★10 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1,087話
六〇〇字のあとさき最新/森下 巻々
★32 エッセイ・ノンフィクション 連載中 70話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます