第34話 第二章 13路盤編

「さて、どうだったキーン。」


 ここはガルディの屋敷である。夜にもかかわらず三人の男たちが歓談している。


「いやはやたまげましたな。ヒロ君というのですが、あのゲームの天才といっても過言ではありませんな。


 さすがに話が信じられないと思ったので色々調査したところ、どうやら彼のスキルはこのゲームに由来するらしく、女神様から与えられた異色の恩恵の可能性がございます。


 冒険者ギルドでゲームの遊び方は知らないと答えたらしいのですが、実際に彼を見てわかりました。知っていて、儲からないうえに危険かもしれない状況では情報を公開しなかったのでしょう。


 これはやはり女神様に与えられたゲームだと思われます。


 また、そのようにいわれても納得の実力と、なんといっても面白さ。いや、リバーシも悪くはないですが、ハマり具合は断然こちらでしょう。


 問題といえば敷居が少々高いところでしょうか?しかし、それも長所を考えると貴族の方や、知識階級の方には絶対うけるでしょう。」


「たしかに自分もヒロと勝負をしたが、あいつはあのゲームの天才だぜ。しかし、あれだけの実力でまだ頂の麓に達していない状況とは、女神様達のおられる頂とはずいぶん高いもんだな。」


「ふむ、それは興味深いが。肝心のあたらしい大きさの盤での遊び方やルールはどうなったのかの。」


 実際にヒロと対戦した二人は、どうしても熱くなってしまうようだが、そもそもはガルディのいうとおりであった。


「これは失礼しました。結論から申し上げますと、13*13の盤を13ロ盤と名付け、19*19の盤を19ロ盤としました。


 これに伴い9*9の盤を9ロ盤とします。


 さて、ロとはなんのことかと聞いたら、路のことを表す女神様の言葉のようですので、以降9路盤とします。他もこれにならって決定させていただきます。


 これらは入門用、中級用、上級用と必要な技術がふえ、遊ぶのは可能ではありますが、級が適正でない場合、正直面白さが減ってしまうようですな。」


「何、キーンお主もうそれで遊んだのか?」


「はは、なにせ調査が依頼内容ですからな。当然でございます。」


「む、そうであったな。しかし、何故かくやしいの。いや、上級用だと面白さが減ると申したな?なぜそうなるのかの。」


「はい、実は私も閣下と同様の疑問をもっていたのですが、実際遊んでみるとどうも運の要素が大きいものに変わってしまい、違和感が強いのです。その他にも若干気になる点も増えました。


 13路盤だとなんとか面白いし、特に問題はないのですが、私共の実力ではたしかに上級の盤は遊びにくいと思いましたね。」


 そこでキーンはヒロに教えてもらった適正級位、キュウは級でつうじるのだが、ダンは段となり新語だ。いろいろと女神様御威光グッジョブ。


「なるほど。しかし、そうなるとヒロはとんでもない実力だの。ひとつ技術指導をお願いしてみるかのう。」


 だれしも考えることは同じようだ。


「閣下。実は私もそのように考えて打診してみたのです。しかし、どうも取り込まれる未来がみえたようで、避けられてしまいました。


 深く探求はしませんでしたが、彼は冒険者を続けることに何らかの意味をもっているようで、女神様由来の特別スキルである事を考えると無理強いもできません。


 そのあたりもよくお考え下さい。」


「うーむ。さすがに女神様と喧嘩はしたくないぞ。わかった。そもそも権力者とは距離をおきたがっているとは聞いていたが、そういう理由かもしれないしの。


 サムもそのあたりは注意して接触してくれ。」


「はっ。了解です。しかし30級から13路盤解禁ということですか。キーンは13路盤の許可をもらったということだし、早速ご指導願うかな。」


「あ、ずるいぞサム。わしが先だ!」


 ・・・。男たちの夜は、今日も長くなりそうである。







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