第33話
「さて、ジーオーのお二人。今日もよろしくお願いします。
しかし、最初はどうゆう意味のパーティ名かと思いましたが、ゲームからつけているとは。しかも強い(ゲームは)いや、おもしろいネーミングですね。いや、素晴らしいと思いますよ。」
早速ネーミングをほめてくれる。やはり商売人というのは、相手を褒めて油断させるのが上手なようだ。
「ほめていただいてありがとうございます。何、自分たちはまだまだ子供ですから適当に付けた名前ですよ。ほめていただくほどの事はありません。」
二人共ふふふとか、はははとかほの暗い笑いを浮かべる。相手の本音なんざ見え見えだってことだ。
当然リリーはついていけない。
「さて、ヒロ君に聞いたといわれる別の盤と駒が試作品として上がってきたようです。
先ずはこれを試してみないと、ルールやキュウが適切か判断できませんからな。
一つお願いしますぞ?」
さすがに建前とは言え、仕事はちゃんとやるようだ。
「わかりました。まず9*9のリバーシの大きさを入門用として使用します。
これで上級を打つのは適切ではなくなるんですよ。そこで、まず、この大きさを9ロ盤と命名します。
次に入門のキュウですが、初心者を50キュウとし、30キュウまでをこの盤メインで使用がよいでしょう。
現在、キーンさんとリリーが丁度次の段階へ行くあたりだろうと思っています。。
次の段階は13*13の盤で、13ロ盤と命名します。
この盤でのキュウは20から30のクラスの人が良いでしょう。
そんなすぐにやりたそうな目で見てもダメです。やってもいいですが、後にしましょう。
さて、本来の想定している大きさが19*19の19ロ盤です。
これは19キュウの人から使用できるとします。理由はあるんですよ?
現在この盤を使用できるのは自分だけです。・・・ですから、ちゃんと理由はあるんですって。そんなやりたそうな目で見ないでください。
まずは13ロ盤を試してみましょう。この場合のハンデは1キュウに対して2つと半分でしょう。
キーンさんが24キュウとして、自分が2キュウ。するとハンデは9くらいですから9子ですね。まずは初めてみましょう。」
「ほう。少し大きくなっただけのような気がしましたが、これは実際かなり違いますな。少々あなどっていました。しかし、ハンデが9ですか?さすがに調整が必要かと思いますが、確かに遊ばないうちには意見もできませんな。
それではよろしくお願いしますぞ。」
・・・。
「ば、ばかな。9ロ盤で4子で戦えるようになったというのに、広くなっただけで9子おいて負けるだと。信じられない。
・・・あ、いや、これは失礼。少々取り乱しました。
何、しばらく繰り返せば適正なルールがわかるでしょう。ヒロ君を信用しないわけではないですが、責任者として納得と理解は必要ですからな。」
・・・。・・・。
「いや、これはすごい。最初は戸惑っただけかと思いましたが、確かに適正な勝負になっている。なんとか勝てるかどうかというのがよくわかります。
うーむ。しかし、19ロ盤がまだ早いというのはどうゆう意味ですかな?
さすがに試してみないうちに納得はできませんぞ?」
囲碁にハマったやつの気持ちはわかるけどね。理由はあるんだってば。
「はは、いや9ロ盤と13ロ盤は必要な技術の数が違うのです。技術の数ですか?
説明をきいているかどうかですが、自分の2キュウというのもこれを前提にしたつもりです。
そして19ロ盤でも必要な技術が増えます。いや、少々変化するといった方が適切ですね。しかし、しらない技術が必要になります。
先ずはやってみましょう。
19ロの場合、ハンデは1キュウ1子です。キーンさんとは22子のハンデとなります。
実際に22子おいてみる。
「いや、流石にこれは。多分戦いにいけば負けるかもしれませんが、戦わなければ勝負になりませんな?」
さすがである。一目でバランスの悪さを見抜いた。
「その通りです。ハンデのカバーはあまりキュウ差があると適切ではなくなります。
13ロでも、ある程度慣れてくるとおそらく自分はハンデ通りでも勝ちにくくなるでしょう。」
「なるほど。しかしそれなら同じ実力同士。例えば私とリリーさんで打てば19ロでも成立するという事になりませんか?」
やはりキーンさんは頭がいい。
「はい。それは可能だと思います。では実際にキーンさんとリリーで試してみてください。」
・・・。
「うむ。面白いは面白いですが、どうも運の要素が強い感じがしますね。
それはそれで充分面白いのですが、少しもてあます感じはあります。
13路盤だと、多分慣れそうな予感はありますが、特に19ロ盤だとそのように感じます。だらだらと時間がかかりすぎる感じも、盤が大きいのも時と場合を限定しそうですね。これを購入する市井のものは少なくなるでしょうな。
なんと。19ロ盤で正式なものは、時間制限をつけると。それもまた斬新。
時間の制限がわかる・・・砂時計のようなものか、これは審判のような存在が必要になると。
いや、よく考えてある。ヒロ君のセンスには脱帽するしかないですね。そのルールでいきましょう。
しかし、強くならないと19ロ盤で遊べないとして、ヒロ君は今相手がいないということになりますな?これは実にかわいそうな状況です。
どうですかな。別途料金をだしますから技術指導などいかかですか?」
これは魅力的な提案だが、本来の目的とはずれてしまう。
俺の囲碁スキルは、囲碁の普及がメインの目的ではない。
たしか女神様のお告げがあったように、おれはこのスキルを使いこなさないといけないのだろう。無視するのは怖すぎる。
このハマり具合でいけば俺は権力者に囲われても不思議がない。スキルの上達などいつになるか分かったものではない。
「キーンさんも話が上手ですね。うっかりだまされそうで怖いです。
さて、今回のクエストは何でしたかね?現場でのクエスト追加もいいですが、取り込まれそうなら今後はこの手のクエストはなしですかね?」
「あー参りました。腹芸はなしにしましょう。いや、ヒロ君にそっぽを向かれると正直こちらが困ります。
今回のクエストの範囲で良いのでよろしくお願いしますよ。
いや、そのお年で侮れませんな。いや、お世辞ではないですぞ。」
結局同じような流れで三日目も終わり、ルールや規定の改善はなく、ほとんど囲碁を打って終わったクエストだった。
いいのかね(笑)
※本日の成果
報酬 500,000G(いやー大商会太っ腹。)
孤児院へ 1,000G(リリーと相談して。さすがにね。)
残り 544,000G(100,000Gリリーへ。)
F級 ヒロ
G級 リリー
「あら。・・・。ちょっと待ってリリーちゃん。依頼クエストの評価がすごくよかったみたいで、昇級単位がたまっているの。おめでとう、今日からFクラスよ。」
リリー G級→F級 (リリーは早速金貨を預けた(笑))
※ 第一章9路盤編終了
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