第31話

 さて、楽しい休日の後はお仕事だ。アリア姉にもいわれているので依頼クエストを見てみようと朝からギルドへ行く。


 さて、どこがF級依頼クエストだろうかと探し始めてすぐである。


「ヒロ君達!ちょっと受付によってもらえるないでしょうか!」


 なんとアリア姉が受付から大声で呼んでいる。何だろうかと二人でいくと。


「ジーオーに依頼クエストが出ているんです。F級パーティに依頼クエストなんてどうしてと思ったんですが、討伐や護衛クエストじゃないみたいなんです。


 それならとギルドも本人達次第ということで受けているんですが、内容を確認してよかったら受けてもらえないでしょうか。」


 ん?依頼クエストねぇ。ちょっと嫌な予感がする。サムさん関係しか偉い人との繋がりなんかない。もしかして不測の事態でも起きたんだろうか?


 といって、今更どうしようもないしな。まずは確認だな。


 ””依頼クエスト””

 あたらしいボードゲームを開発している商会から、ゲームの才能がある子供がいると知って協力依頼が来ている。


 依頼先はパーティ名ジーオーとする。


依頼内容はあたらしいゲームに関する遊び方やルールに関する規約の制定に協力すること。


 期日は三日。尚その間の食事は保証し、最低三日で直近のクエスト報酬の5日分を保証する。他に貢献があれば都度銀貨1枚を支給する。


 あーこれは間違いなくサムさん関係だ。ただ、囲碁関係ならこちらも悪くない話だしここは乗るしかないな。


 リリーのムチの成果も試してみたかったが、囲碁の普及も進めたいしな。


「リリーこれ受けていいか?よし。うまいもんもくえるかもしれないぜ。


 アリア姉ちゃんこれ受けるよ。あと、ギルドでお金も預かってもらえると聞いたんだけどそうなのか?」


「あら、もうそんなにお金がたまったんですか?・・・。ずいぶん好待遇のクエストね。確かにこれでうまくいけばヒロ君達にしては大金が入ってきますね。


(ゲームってそんなに儲かるのかしら。それにヒロ君達に声がかかるのも不思議ね。)


 この間更新したF級カードをもって窓口へ言ってもらえれば金貨単位で預かることができます。


 銀貨では預かってないから注意してくださいね。これは他の街のギルドでも通用するしくみなんです。。


 冒険者F級からのギルドサービスですね。リリーちゃんはあと少しまってください。


 依頼クエストの受注処理はこれでいいです。えーと、この紙をもってこの地図の商会へいってもらえますか?それで終わったら責任者の人にサインをもらって、またこの窓口へ報告にきてください。それで報酬を渡しますね。


 商会は評判のいいところだからヒロ君達でも問題はないと思います。では、いってらっしゃい。」


 なるほど、クエスト相手の情報ももらえるのか。確かに怪しいところのクエストは怖いな。よく考えてから受けるようにしないと。


 ・・・・・


「ここが依頼先の商会か。」


 めったに来ない商業地区の一等地にその商会があった。俺たちだとちょっと身分違いでビビるところだ。


 ”ユーゲン商会” おや、いい名前だな。なんとなくそう思う。


 かなりビビっているリリーを手をつないで強引に引っ張っていきながら商会へ入っていく。


「こんにちは!冒険者ギルドからクエストの件でお伺いしました!」


 なにせ俺たちはまだ半分子供だ。ちょっと背が低い。声を出さないとカウンターの向こうの人に聞こえないかもしれないと大きな声をだしたら、リリーのHPがまた削れていったみたいで顔色が悪い。


 手をつないでいるんだから大丈夫だと思うんだが・・・。おい、手が冷たくなってきたぞ。こうゆうのでも緊張の度合いがわかるな。」


 全然関係ない事を考えていたら、カウンターの受付嬢?みたいな人が対応してくれた。


「いらっしゃいませ。ユーゲン商会へようこそ。


 かわいい冒険者さんね。要件のわかる書類をお持ちですか?


 はい、そのクエスト受注用紙で大丈夫です。・・・あら、副会頭が担当ですね。今お呼びしますのでお二人はそちらの応接室でおまちいただけますか?


 マリーちょっとお二人を2番の応接室へご案内して。ええ、間違いなく2番よ。


 丁重にね。お飲み物も希望を聞いてお出しして。副会頭のお客様みたいなの。」


 マリーと言われたメイド風の女の人が、ちょっとおどろいた感じをなんとか隠しながら応接室へ案内してくれる。


 応接室は孤児院の俺たちが入るような部屋じゃなかった。多分だけど1番がとても大切なお客様で、2番はその次ってことだろう。


 ビビるわ。リリーの手が震え始めた。おい、まじでHPが心配だな。ローポーションの準備がいるかね。


 なんとか椅子にすわって、飲み物はおまかせで頼んだ。わかるわけがない。果実水とかいってもでてはくるだろうが、部屋の雰囲気からあっているかどうかもわからん。


「あーお待たせしました。当商会で副会頭をやらせてもらっているキーンと申します。」


「よろしくお願いします。冒険者ギルドで依頼クエストを受注したジーオーのヒロです。自分がリーダーをやっています。」


「ふむ。事前にきいていましたが、思ったよりしっかりした方ですね。いえ、さる方よりゲームの器具の作成依頼がありましてね?


 リバーシかと思いましたら、なにやら遊び方が全然違うものが市井で遊ばれていて、どうも貴方様が一番強いとのお話。しかもルールやそのほかの事にくわしく、いろいろお話を聞いてゲームの基盤とルールを確立してほしいといわれて大慌てで対策中なのですよ。


 クエストの依頼はお約束通りお支払いしますが、どうですかな?どのように進めていくのが良いか意見がございますかな?」


 ははぁ、なるほどね。昨日の今日で13路盤と19路盤の作成依頼したみたいだな。

 サムさんかなりはまったとみえる。これはいいね。さて。


「たぶんリバーシより大きいものの依頼を受けているかと思いますが?はい、やっぱりですね。


 こちらとしてはまずどのようなゲームかリバーシの盤を使ってやってもらうのが一番かと思います。しかし、いきなりだと難しいでしょうから、私たち二人でやって見せましょう。」


 俺はキーンさんに簡単にルールを説明したあと、リリーと3子で実際に対戦して見せる。リリーは最近3子で厳しい感じだが、緊張しているみたいでややこちらが有利だった。


 リリー囲碁は己との勝負なんだよ。精進せいよ。


「ほほう。これはこれは。リバーシでこのような遊びが始まっていたとは。なるほど、黒専用と白専用のコマがいるといわれたわけだ。取り込んだ駒が白か黒かわかりにくいと。


 しかもハンデ?というルールがまたいい。ちょっと私もお相手願えませんかね?




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