第26話

 今日もいつものクエストだが。


「ヒロ、順調すぎるような?」


 そのとおり、レベルアップが半端なかったので、多分ランク1つ分くらい実力が上がってる。もはやホーンラビットは経験値の獲物だ。


「ま、しょうがないだろ。下積みの期間でスキルの練習しとけば次が楽だぞ。」


 というわけで、遠慮なくクエストを処理している。アリア姉に何かを感づかれているが、だからどうする必要もないだろ。というか、どうしようもない。むしろ早くランク上げないと無駄な時間になりそうな。


 まだ初心者年齢だし、実力をつけて稼ぐだけだな。


 お昼はいつもの様に飯を食いながら囲碁指導と対局(囲碁を打つことだな。)


「り、理屈の部分と、感じ方の部分?不思議なゲームだね?」


 おーリリーはいいこといった。3重花丸だ。


「わかるか?リリーはえらいな。なでなで・・・。」


「え、そうかな?えへへ・・・。」


 いや、これは指導者がいいんだろうな。感覚っていうと、なに非論理的な理屈をいってんだ?と聞こえるだろうがそうじゃない。


 他のボードゲームでもいえるが、局所で使う技と、大局を見る目が勝負を分ける実力だ。


 それで、囲碁の場合大局(全体のすう勢)はほぼ模様に見える。おそらく最新プロブラムならデータにできるかもだし、実際やれてはいるんだが。


 それにしても一手の結果でコロッと変わるすう勢を、数値化するのには落とし穴がありすぎる。


 一般に模様って言葉が通用するように、盤全体を模様としてみる目がわかりやすいんだ。


 囲碁の実力が付き始めて、リリーとの置き碁はあっという間に3子になった。やれやれ、このあたりからが普通の置き碁だぜ。まだ先は長いがな。


 9路盤で5子とか、何ゲーム?これ?って感じだった。


 ・・・・・


  ※本日の成果

 報酬 20,000G(アリア姉が難しい顔で同僚をよんだ。あれ?)

 孤児院へ 0G 

 残り 50,000G(4,000リリーへ他飯代)

 G級 変化なし(二人共)


「ヒロ君。」


「は、はい・・・。」


「ちょっとそこで待ってね。あ、ギルドカードはちょっと預かりますから帰っちゃだめですよ?」


「は、はい・・・。」


 さすがにG級にしては稼ぎすぎだ。別に悪い事してるわけじゃないんだがどうも嫌な流れだな。


 アリア姉が後ろへ下がって誰かと話をしていたと思ったら、眼鏡のおさげの女性職員がやってきた。かなり幼く見えるが、何故か体形はかなり大人だ。


 おー!と感心してたら、横にいたリリーが背中をたたく。


「痛っ。なんだよリリー。」


「ヒロのエッチ。」


「な、なんのことだ。」


 じーっとリリーにジト目でみられて目をそらす。

 しょうがないだろ。男の本能だってば。


「あらあら、二人共相変わらず仲いいわね。ちょっとヒロ君そこでじっとしててくださいね。


 ・・・はい、もういいですよ。


 どう、サリー?」


「レベル13ですね。ほんとに半月前にGランクになったばかりですか?しかもその時は間違いなくレベル1ですよね?ありえない。


 1日1レベル?いや、それはないにしても、どこかでやらかしてますね。


女の子のほうは一桁で普通。いえ、半月だと高めではありますが。なんとか?かなり優秀ですが、まあ、なんとか?」


「レベル13!あーもー。ヒロ君。ギルドマスターの許可はとれてます。君は今日からFランクですね。パーティとしてもFランクを認めるからクエストも1クラス上にいっていいですよ。


 できればこうゆうことは相談してくださいね。悪いようにはしないので。」


「げっ、鑑定持ち職員連れてくるとは。たはは。いや、でもアリア姉ちゃん。


 相談するって思いつかねぇよ。・・・いや、そんな目でみられても・・・ねぇ?」


「ヒロ君。絶対何かあったでしょ。そしてそれを報告していない。いえ、悪い事ばかりじゃなくて、本来初心者がいるステージで、強い魔物が出たりすると大問題なのですよ?


 多分だけど、そうゆう魔物を倒したとかそうゆう事があったと思われるの?


 他の初心者冒険者だっているんですよ?できれば・・・。あー難しい顔していますね。


 訳ありですか?・・・。わかりました黙っていますけど、貸しですよ?いいですね?


 サリーありがと。又たのむかもだけど、よろしくね。」


 前から思ってたけど、アリア姉って無茶苦茶洞察力ありすぎるって。


 初心者窓口担当って、もしかして仮の役職なのか、初心者を保護する為に実力がある職員を配置してるかだな。


「ふー。さて、ヒロ君。リリーちゃん。パーティとしてFランク昇格おめでとうございます。


 ここから重要な話をするからよく聞いてくださいね。


 冒険者ギルドではFランクやFランクバーティから正式にギルドの冒険者です。


 Gランクはお客様というか、普通の対応ではなく様子見的な対応しか許可がないのよ。


 二人のパーティはこの冒険者ギルドで正式にパーティとして認められます。今後は依頼クエストも含めて、色々お願いしますね。それに、そうしないとランクアップも難しくなります。


 冒険者ギルドは、色々な対応ができる冒険者を優遇します。特典は多分想像しているよりあると思いますよ。ただし、悪い事すればかなりの罰則もあります。


 パーティ名も決まったら教えてください。


 え、何故かって?パーティ名がないと指名クエストが発注できないから規約なのですよ。


 あとで変えてもいいですから、とにかく次回までに決めておいてください。いいですね?


 さて、FランクなのでEランクの常設クエストが可能ですし、依頼クエストも同様です。


 ぜひお願いしますね。なにせ、か、し、がありますからね?(にこっ)」


 アリア姉は美人だが、やり手だ。当分勝てる気がしないし、悪い扱いをしないっていう信頼もできつつあるけどね。


 依頼クエストも考慮していくか。持ちつ持たれつってやつだ。








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