第23話

 さて、今日は休日だ。やっぱりいいもんだね。


「ヒロ、今日はどうするの?」


「お?リリー休みは一人で遊んでもいいが一緒にいくか?」


「え、一緒がいいよ。ひ、一人は怖いよ。」


 なるほど。このあたりも気が利かないってことだな。


「そりゃそうだな。遠慮なくいってくれて助かるよ。すこし鈍感なところあるみたいなんだ。これからも頼むな?ん、何、その困ったような顔?」


(ヒロ。少しじゃないと思うよ。)


「ううん、何でもない。じゃ一緒にいこ♪」


 ・・・・・


「おじさん、今日も・・・あれ、おじさんじゃない?」


「あら、もしかして生意気な孤児院の冒険者の子ってあんたかい?今日は買い出しと仕込みの日でね。あたしが番をやってんのさ。


 いつも買ってくれてありがとね。今日も買っていくんだろ。」


(あれ、おじさんが見栄を張ってると思ったが、思ったより美人だな。ちょっときつそうだが。)


「あ、ああ。うん、2本頼むよ。しかし、おじさんにはもったいない奥さんだな。てっきり目が曇ってるのかとおもってたぜ。って、いたっ、な、なんだよ。」


 リリーに頭をはたかれた。この辺りは遠慮なくなってきたな。


「あはは、うれしいこと言ってくれるじゃない。あいつとは幼馴染でねぇ。土下座して結婚してくれとかいうから、仕方なくだよ。ま、悪い旦那じゃないから後悔はしてないけどね。はい2本ね。・・・はい、鉄貨2枚確かに。えーと、うん、リリーちゃんていうんだね。そっちがヒロ君ね。


 なるほどねぇ。ちょっと面白そうな子だね。(リリーちゃんも頑張りなよ。)」


「え、は、はい。えーと。(わ、わかります?)」


「あはは。(女なら誰だってわかるよ。いい目してると思うよ。


 まだ二人共幼いけど関係ないよ。取られないように)がんばりなよ。」


「はぃぃ・・・。」


 何か小さい声で女同士の会話をしている。こうゆう時は放置だ。放置。


 君子危うきに近寄らずだっけ?そういえば、男が女の危うきに近づかないようにってことは、男子に対する警告だったのかもなぁ。あれ。


 え、君子て男とは限らんの?


 さて、定番の肉串をゲットの後はと。あれなんかどうかね。


「おいも?ほ、細く切って油で揚げてるのかな。」


 これは懐かしフライドポテトっぽいな。塩の他に何か振りかけてあるが海苔塩みたいなもんか。今日はこれと果実水だ。


 そういえばビールっぽいあれはなんだろ。酒だとは思うが。エール?違いが判らん?


 さすがに10歳では異世界でも飲みたいとは思わん。


 コーラないかねぇ。期待したいところだな。


 さていつもの噴水広場の芝生へ。広くてみんなの憩いの場所だ。馬車なんかは近くに寄れないようになっているので街中の公園みたいなもんだな。


「このおいもおいしー?なんで。えー止まらないね。」


 ふふふ。ポテトシリーズの要(シリーズってなんだろな(笑))フライドポテトにまいったか。わっはっは。


 さて、肉串とポテトを食べながら今日は囲碁で遊ぶ。


 9路盤で6子置(石の数え方ね。なんで子なんだろな)も厳しくなったので、5子にしてもらった。


「うーん、し、白ってバラバラに打ってて弱そうなのに、知らない間に強くなってる。うーん?どうしてなのヒロ?」


 はっ。俺としたことが重大な事を忘れていた。


 囲碁のルールしか教えてないやん。指導しろよ、指導。


「リリーすまん。ちょっと囲碁が強くなる方法を説明?で俺が先生やってもいいか?


 このままでもいいけど、強くなりたいなら教えるがどうだ?」


 リリーは喜んで


「え、わ、私に教えてくれるの。もちろんだよ。でも、ヒロはどうしてそんなこと知ってるの。いきなりとっても強いし。変だねー?」


 あれ、そういえば普通に考えたら不思議だな?どう説明するかな。よしっ


「おれのスキルが異世界のゲームが元だっていっただろ。そのゲームに近いのがこの遊び方だ。だからルールもわかるし、最初から強い。


 え、前に知らないといってたって?


 そりゃ黙っとくよ。あそこは冒険者ギルドで、売ればお金になるかもしれない情報を、ばれるかもしれないのにただで教える必要はないだろ?」


 少し強引だが、スキルの名前をだせば、そんなものかなと思えるものだ。そもそもスキルが不自然の塊みたいなもんだしな。


 さて、リリーと置き碁を打つのも楽しいが、教えるのもやりがいがある。


 俺達はポテトをつまみながら囲碁指導を始めた。


「な、なるほど。石を一手づつ伸ばすんじゃなくて、頑張って広く打ってたのね。


 でも、慣れないと切られちゃうと。うーん?あ、でもなんとなく考え方がわかるわ。」


 俺は基本形の、一間、二間、ケイマ等を教える。


 大したもんじゃないが、石の置き方のいろはだ。まぁ9路盤で大ケイマとか違う気がするから後だ。


 次に場所の価値だ。土地の値段みたいなものかね。


 一番は隅、次が辺、最後が中央だ。


 といって特に9路盤だとそうばかりも言ってられない直ぐに戦いになるからな。一応基本だ。


 隅が中央広場前の土地だとすると、辺は普通の住宅街。中央は山林とまではいかないが、価値が下がるとされている。


 しかし、その山林から手を付ける面白い打ち方もある。ど真ん中にある点、天の元とかいて天元に初手を打つ。


 おれは変わり者だったから、黒番なら好んでうっていたがな。まぁ、負ける負ける(笑)代わりに大勝ちすることもあるんだぜ。はっはっは。


 あー9路盤でも一応天元はあるけどな。あれを天元とはいわない。というか言いたくない。


 土地の価値の考え方はこうだ。


 盤の四辺は無条件で使える。つまり隅は2辺囲えば自分の領土だ。


 辺は3辺囲わないといけない。中央は4辺だ。


 囲碁は一手づつ交互に打つから、そんなに囲っている暇がない。


 な、中央は土地安いだろ。戦いがなければ悪い位置なんだよ。なければな(笑)



  ※本日の成果(13日目)

 報酬 0G(休みはいいねぇ。これはしょうがない。)

 孤児院へ 0G 

 残り 27,000G(△1,000御飯代ね)

 G級 変化なし(二人共)


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