第20話

 さてそろそろ慣れてきた冒険者クエスト。


 順調に討伐と採取を繰り返す。


「ま、また負けた。」


 最近はパンに具を挟んだバゲットサンドみたいなものを朝買ってきている。

一日3食にしたんだ。気が付いた時の買い食いもそのままだ(笑)。

クエストやってて腹が減るし、身体の成長の事もある。


 以前買った腰袋に入れて持ってこれるのもいい。帰りは魔石をいれられて便利だ。


 水分はひょうたんのような植物?を利用した水筒をもっている。これは安いので元々利用してたが、お昼ご飯を食べる風習は一般的ではない。特に孤児院では。


 とにかく、お昼を食べる時は少し開けた場所に岩場があり、岩場の上に少し見晴らしのいい場所があり休憩に使っている。魔物もほとんど来ない場所だし、きても今の俺達なら瞬殺だ。


 食事だけでもいいのだが、リバーシを持ち込んで遊び始めた。安いリバーシだから小さかったのも丁度いい。そうだな、15センチ×15センチ位だ。

 これで3000G(三千円)てのは高すぎる気がするが、安い食べ物以外だと基本金がかかる。工業化されているわけじゃないから全部手作業だしな。


 それで遊びは始めたが、INTの差か経験値の差なのかリリーは勝てない。最初は面白がっていたが負けてばかりで楽しいわけがない。


 そうだな?少し早いと思うがやってみるか?


「リリーちょっと違う遊びでやってみるか。その遊びならこの盤でもできるし、ハンデをつけられる。ハンデ?弱い方が有利になるルールだな。」


 とにかく娯楽のない世界だ。リバーシで負けながらも楽しんでいたが(悔しがっていた?)やはり勝ったり負けたりが一番だ。


 俺がリバーシを買ったのはリバーシで遊ぶのもありだが、これを使って囲碁も遊べるからだ。


 ただし、リバーシは枠の中にコマを置くが、囲碁は枠の交差点に置く。


 知らないとちょっと気が付かないだろ?前世では百均のリバーシでお世話になった記憶があったからな。


 囲碁ってのは基本19路盤が基本で数千年って歴史があるもののその敷居は高い。

 将棋やチェスだって似たようなものだろう。


 チェスは知らないが将棋にはハンデの付け方がある。コマ落ちってやつだ。

 強い人がコマを減らしていって棋力を調整するって訳だ。


 そして囲碁にもこのハンデの付け方がある。


 棋力に応じて黒(弱い方ね)に最初から石を置かせて始める。


 つまり白は数手パスするようなもんだ。囲碁は黒が先手と決まっているが、このハンデを利用する時には白から始める。置き石があるから白先手というのも変だがそうなる。


 囲碁の棋力は25とも30級ともいわれる初心者級位からはじまる。


 この初心者と俺が対戦する時には初心者級位にあわせて置き石を置くわけだが、俺の前世の級位(段ではない・・・。( ノД`)シクシク…)は2級くらいだろう。見栄をはっても初段とはいいにくい。


 いいんだよ。言っとくけど上級でもかなり強いぞ。自分でいってて悲しいけどな。


 そういえば柔道も1級だったな。黒帯つけたかったなぁ。


 おっと、話を戻して級位が1つ違うと正式な盤(19*19)の19路盤だと1つ置き石を増やせる。例外はあるんだが基本これだ。わかりやすい。


 しかし、小さい9路盤でこれだと9*9の81個しか置けない盤で30手くらい白がパスすることになる。これではさすがに勝負にならないので6級差くらいで1つ置き石とする。


 リリーと俺なら4-5個だな。


 さてルールはそんなに難しくない。リリーに説明して始めてみる。


 アタリにシチョウも教えるが、スキルを使う時に口に出して言っていたわけじゃないのでスキルとの関連はまだ気が付いていない。


「う、うん、今のところ勝ってるみたい。・・・あれ、あれれ?


 あーたくさん取られちゃった。でもまだ大丈夫?


 あれ?あー負けちゃった。」


 なんとかルールを覚えたので始めてみると、とにかく最初はハンデがあるので黒圧倒的に勝勢だ。これは置き碁といわれるハンデ戦を白で戦った事がないと難しさはわからない。


 これじゃ黒の勝ちは絶対に見えるからな。とくに1つや2つの置き碁でもかなり厳しく見えるのに、9路盤で置き石5個とかふざけるなってレベルだ。


 と、こ、ろ、が、だ。


「なんで、えー、ど、どうして負けちゃうの?」


 と、始めたばかりの初心者ではまず勝てない。しかし、途中は間違いなく勝っている状況を経験するので、くやしいより先に白が怖くなる。いや、ほんと。


 そして萎縮するんだ。一手一手に効率が良いだけじゃなく、囲碁は陣取りでもあるが石取りの戦いでもある。一手で勢いがひっくり返る。

 自分の力が出せなくなる。あるいは出せなくする心理戦でもある。このあたりはどんな勝負でも同じだろう。


 ただ、ハンデ戦での心理戦ってのは囲碁を含めて何でもあるもんじゃない。

 自分の心を鍛えないといけないんだって思わせる。いや、マジで。


 初心者と上級者がほぼ対等に遊べるってのは面白いぜ。


 さすがに負け続けも初心者には厳しいので、置き石を増やしていく。


 6つ。うわ、これで勝負になるのか?・・・。なんとか勝ち。


 7つ。・・・。


「や、やったー。ヒロに勝った。勝ったよ。」


 はいはい、良かったですね。く、悔しくなんかないよ。


 9路盤で7つとか、42級差だぜ。そういえば囲碁初心者は50級だっていう話もきいたことあるな。


 実は気になっていたコマ?囲碁だと石というが、数が足りないかもと思ったがなんとかなった。ルール的には足りない可能性あるんだよな。追加で買っておくかな。


 ※本日の成果(10日目)

 報酬 7000G(少し増えたかな。)

 孤児院へ 0G 

 残り 18,000G(△リリーへ1400と飯代)

 G級 変化なし(二人共)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る