第19話

 お楽しみの休日だ。貧乏人にしては懐があったかい俺達は、まずは出店をひやかす。


「おじさん。いつもの肉串2本たのむ。」


 最初に食べた肉串は感動したからか、定番から外さない。実際うまいしな。


「お、ヒロにリリーか。無事に冒険者やれてて何よりだ。このあいだ孤児院の別の若いやつが来てたけど、見なくなったな?知ってるのか?無事ならいいが。」


 多分ハリーとケンかな。


「孤児院の冒険者なら知ってるやつは皆無事だぜ。ただ、伸び悩んでるやつはいるから稼げないとかはあるだろ。


 ・・・ありがと、はい鉄貨2枚っと。相変わらずうまそうだな。


 顔に似合わずいい仕事するぜ。ほら、こっちはリリーの分だ。」


「うるせー顔は余計だ。男は顔じゃないんだぜ。実際俺のかあちゃんは結構美人だぜ。


 そもそもお前人の事言えねえだろ。この凡顔。」


「へ、お、男は顔じゃないんだよ。な、なぁリリーそうだよな?な?」


 ちくしょうブーメランが返ってきやがった。


「おじさんいつもおいしい肉串ありがと。ヒロはまぁ・・・一部の人に人気ありますよ。」


 少し顔を赤くしながらリリーがいう。照れてるのか嘘をつくのが恥ずかしいのか俺にはわからん。


 一部ってなんだよ。マニアかよ。おれは珍獣か?とか思ったがそこまでいわれたわけじゃないな。こ、ここは冷静にと。


「美人の奥さんもいいが、どうせ尻に敷かれてるんだろ。幸せなのか?あーん?


 え、幸せなのか?そうなのか。よ、よかったな。」


 おまえホントに新人冒険者か?年食ってるといわれるだろ?とか言われながらも笑いながら分かれる。


 こうゆう掛け合いも楽しいもんだ。・・・。ちょっと心に傷が残ったような気もするが。


 さて、次は何を買うかなと歩いていると、パンを売ってるところが目についた。


 どうやら俺たちが食べている固いパン以外にもたくさん種類があるようだ。気になったのでみてみると、やわらかいパン、木の実がまぜてあるパン、ジャムらしきものがはいっているパンがある。


 今日はパンをお試しだ。おれは木の実パン、リリーはジャムパンていうのを買ってみる。どれも100Gだ。あれだね、計算が楽でいいね(笑)


 最後に果実水を買っていつもの噴水広場の芝生へ


「ヒロこのジャムって多分リンゴかな?おいしいよ。ちょっと食べてみる?」


 なるほど、二人でシェアすれば味見ができていいな。代わりに木の実パンを少し分けて交換する。


「おーリンゴジャムって初めて食べたが甘酸っぱくていいな。パンもやわらかいな。いつもの固パンの歯ごたえがなくて、あっという間になくなるけどな(笑)」


「そうだね(笑)。木の実パンておもったよりおいしい。パンが柔らかくておいしいよね。木の実のカリカリってのがあくせんと?なのかな。おもしろくてもぐもぐしてても飽きないね。」


 リリーは俺と会話が増えて、俺の前世の語彙の影響がでているようだ。どうもよくわからない難しいことを喋る変わり者として定評があったらしい。あーそうかもな。


 ・・・・・


 さて、飯を食べたら又出店をひやかしてまわる。ここらの出店はかなり数がでていて、回りきれるもんじゃない。常に新しい発見があって面白い。


「そこのお兄ちゃん。最近はやりのボードゲームはどうだ。みんなハマる事間違いないぞ。今ならセットで3000G(三千円)だよ。」


 ボードゲームときいて、思わずそちらの見るとこれは・・・。


(リバーシだな。やっぱりだれか持ち込んだな。)


「へー変わった物があるな。これって平民でもはやってるの?」


「お、興味あるかい。目が高いねぇ。いいか、これは隣国のさる貴族様が考案してあっという間に広まった大人気ゲームだ。隣国ではかなり前から有名だったらしいが、最近になってこの国の貴族様にも広まったそうだ。


 貴族の間では大会もはじまったらしいぞ。


 ルールは簡単、ハマる事間違いなしだせ。実際平民でも少し金に余裕があるやつは広がり始めたしな。


 早めに慣れて強くなっとけば彼女にいいとこ見せられるよ。」


 彼女といわれてリリーが焦っていたが、それより気になる事がある。


 その貴族かどうかわからんが、そのつながりで転生者か転移者がいたってことだ。時系列的に少し前なら同じ時代を生きてるかどうか気になるな。


 もし俺が囲碁を流行らせたら・・・。いや、ばれないかもしれないな。囲碁はマイナーなゲームになってしまったから、前世の世界の人間だとしてもばれないかもな。


 むしろばれてほしい気分になったが、とりあえず保留だな。


 さてリバーシ興味あるけど、武器防具じゃないからどうするかな。

 

 その前に盤の大きさを確認しとく。特に端が狭いと俺は使えない。ふむ。なんとかだな。やっぱり広くは作ってないが、切りつめてもいない。ギリギリ使えそうだ。


 そういえばリリーの小遣いがわかりにくいな。よし、個人分と分けるか。


 俺はリリーに金の配分を提案して納得してもらった。リリーは小遣いがあると聞いて遠慮していたが、おれもリバーシを買いにくいので納得してもらった。


 パーティ資金と自分の分でおよそで8割俺。2割リリーだ。ま、とりあえずやってみる。


 なんだかんだいって、リリーは嬉しそうに自分の小遣いでほしいものを探し始めた。


 いままで気が付いてやれずにすまん。


 ※本日の成果(九日目)

 報酬 0G(休日なのさ。)

 孤児院へ 0G 

 残り 14,000G(リリーにとりあえず4000分けて以後は別会計

 リバーシは購入した。リリーにルールを教えて一緒に遊んだ。)

 G級 変化なし(二人共)


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