第18話

 次の日、教会から二人出かけるときにケンだけが声をかけてきた。


「ヒロ。昨日はすまん。リリーもごめんな。」


 ケンはさすがに悪かったと思っているようだ。しかし、悪いのはハリーだ。


「おまえより謝らないといけないやつがいるだろう。どうしてるんだ。」


 バツの悪そうな顔をして、ケンが言いよどむ。


「うーん。昨日もいろいろいったけど、人の言うことを聞かないのはあいつの一番悪いところだな。


 他の仕事もそうだけど、冒険者で独りよがりだと命の危険だぞ?」


「やっぱりそうなのかな。スライムを倒して稼げるだけでも俺たちには儲かった気がするけど、教会を出ていけるほどじゃない。いつかはもっと強い魔物を倒さないといけないんだろうなって思ってたんだ。


 スライムを舐めてたけど実際ハリーが火傷をして、スライムでこれならどうなるんだろうって結構焦ってたんだ俺たち。


 冒険者って怪我もすれば、下手すりゃ死んじまうってな。


 ヒロは昔から判断で迷わないな。威張らないやつだとは思ってたけど、お前実力あるな。ハリーを投げるとは思わなかったよ。頭は元々よかったしな。


 迷惑かけてて言いにくいんだが、アドバイスとかないか?」


 うん。ケンはやっぱり冷静に見れてるな。最初からそういえばアドバイスくらいはできるのに。


「・・・。おまえら武器は木の枝だろ。俺達には他にないしな。いいか?


 ケンにむいているのは壁だ。攻撃もいいけど、まず壁を作れるように枝でも棒でも組んで盾を作れ。盾は工夫してスライムの攻撃が防げるように小枝でも葉っぱでも使って密にしろ。手袋もできれば用意しとけ。


 ハリーは攻撃に向いてるはずだ。だけど、最初から突っ込むんじゃなくて、お前が止めている状態で攻撃させろ。


 いいか、正面から突っ込んで囲まれるんじゃなくて、相手を止めてお前らで囲むんだ。そしたら相手が複数でも行けるはずだ。


 うまくいけるようになったら、その次にホーンラビットだ。いきなりいくなよ。


 ま、おれの言うことが全部正しいわけじゃない。一緒に冒険やってないしな。


 でも、そうゆう特技を生かして、役割をもって、戦いも工夫していけ。


 攻撃と守りの両方工夫しろよ。適当にやってんじゃねえ。


 まさか、二人同時に攻撃に夢中で気が付いたら囲まれてたじゃないだろな?」


 苦笑いして少し考えたケンは、なるほどなといって御礼をいって去っていった。


「は、ハリーはヒロの言うことを聞くかな?」


「いや、たぶん聞かないだろ。ケンは俺からのアドバイスだって言わないかもな。」


 ま、ケンならうまくやりそうだ。そういえば投石とか槍(長い棒)もありだな?ま、それは今いわなくてもいいか。


 ・・・・・


 さて、いつもの東の森の浅いところ。ホーンラビットがでるあたりに二人でいる。


 魔力という制限があるので、討伐だけでなく魔物と戦ったり、薬草を採取したりしている。


 今日は別の作業もやってみよう。


「ソリ?なにそれ。に、荷車や馬車は見たことあるけど。」


 このあたりの森はさほど傾斜は厳しくない。とはいえ、道がないのに車輪が回るわけがない。


 その点ソリの形なら雪がなくてもそれなりに運搬力がある。


 下駄の足ようなものは本当は鉄とかがいいんだろうが、手に入るはずがない。


 しかし、うちには植物魔法のリリーがいる。二本の丸太に枝を渡して組むだけでそれなりに使える。ロープは定番のツタだ。


 人がのるのは厳しいだろうが、万が一けが人搬送とかになっても場所によっては使える。つまり場所によっては使いにくい。だが、しかし。フッフッフッ。


 俺たちには背負子1号と2号がある。


 そうだ。合体技だ。


(何故かリリーが困った子供を見るような雰囲気だ。女心はわからんが、男のロマンも伝わらんなぁ。)


 普段は背負子だ。


 で、大物とか荷物が多かったり、いざという時の大量輸送が可能になる!


 ま、背負子をくっつけてソリとしても使えるようにするだけだけどな。


 でもあえていおう! ((合体)ソリー1号!)と。


 片手をあげて、伝説のポーズを決めた俺は満足だった。




(ヒロは頭いいんだけど、幼いとこあるんだよね。頭の良さは大人顔負けだと思うのだけど、なんだろうね。


 ほんと子供のままみたい。困ったものねぇ。ふふ。)


 何故かほっこりとしているリリーであった。


 ※本日の成果(八日目)

 報酬 6000G(当分このままかな。)

 孤児院へ 0G 

 残り 22,000G(△¥1000円買い食い増えました。朝晩2回。 育ち盛り)二人分

 G級 変化なし(二人共)



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