第17話
さて今日もクエストにでるかってところで、孤児院のハリーとケンに会う。
「おいヒロ。おまえたち随分調子いいみたいじゃないか。ちょっとそれ貸してくれよ。仲間だからいいだろ。リリーとか冒険者向いてないんだから無駄だしな。」
あれれ。ハリーってこんなに乱暴な事をいうやつだったっけ。
どうやら俺達の防具をみていっているらしい。
困惑していると、ケンが横から口を出す。
「おいハリー、そんな無茶言うなよ。
ヒロ悪いな。ハリーはスライムに負けたことで気が立っているんだ。
おれもリリーが冒険者向いているとは思わないが、いきなり勝手に借りるとかはないよな。」
うーむ。ハリーは俺にマウント取ってるつもりだし、リリーがとにかく弱いと思っているみたいで、気に入らないようだな。
それにしても、ケンも冒険者になったんだな。肉体強化だったっけ?いいんじゃないかな。ケンは微妙な発言だが、リリーを見損なっているようだな。
しかし。この二人は頭悪そうだな。そっちは心配しなくていいのかね?
弱いやつが順調に冒険者やれるわけないだろうに。
よくみるとリリーが怯えている。ああそうか、ハリーは乱暴な物言いが多いやつだから見た目以上に怖がってるんだな。なら、少し強めにいきますかと。
「はじめにいっとく。リリーは大切な仲間だがお前たちは違う。喧嘩したいとは思わんが、仲間とか友達とかってのは、相手を怖がらせるやつがいうと嘘っぱちだ。
今日から俺も友達じゃないから、親しく声かけるな。」
ハリーは顔を真っ赤にして怒り始めた。
「なんだと、ヒロのくせに。おまえ生意気だぞ。」
殴りかかってきたので、躱して袖をつかみ、襟をとりながら袖釣り込み腰をかける。
一応大けがしないように、引手はちゃんと引いて痛みを軽くしてやる。
あれ?そういえば前世では柔道やってたっけ。大して強くもなかったが、身体が覚えてるもんだな。
「ぐぼっ。ぐっ、よ、よくもやったな。」
柔道に加えてなにせこちらはレベルが上がっている。おそらく総合的な肉体戦闘能力では負けてないだろう。
「頭冷やせよ。冒険者が教会でなぐりかかってくるとかどうなんだ。とにかくリリーを馬鹿にするやつは許さん。
こういえばわかるか?ハリーのくせに生意気だ。(くっ)
・・・人に言われて嫌な事を自分で言ってると気がつけ。バカ野郎。
いっとくが俺達はもうレベル2だ。勝てると思うなよ。
行くぞ、リリー。」
普段は喧嘩しなかった俺だが、ここは遠慮はしない。剣術スキルも優秀だが、おれのスキルも負けていない。(ほんとは肉体的ステータスだとまだ負けているだろうが)
なんなら、植物魔法スキルだって負けていない。
今までは色々おさえていたが、俺達も大人の仲間入りをするんだ。
いいやつとは仲良くするが、人を怯えさせても我を通すような奴は知らん。勝手にやってくれ。
ケンは俺が怒ったところを初めてみたんだろう、驚いた顔で戸惑っていた。
ハリーと組んでいられる時点で、あいつとも距離をとるかな。治るといいけどな。
孤児院の仲間といっても上下関係みたいなものはある。
ハリーやケンは上だと思われていた。俺は当然日和見だったから、下だと思われていた。どっちでもいいからひよっていただけだがな。
暴言で酷いのは止めてたけど、わがままを弱いやつにぶつけるやつは気に入らない。
子供のうちはかわいいもんだと思ってみていられるところもあったが、大人になってまでやるもんじゃない。
・・・・・
「ああ、驚かせたか?悪いなリリー、ちょっと我慢できなくてな。」
リリーがだまって森へ行く道をあるいていたので怖がっているのかと思って声をかけた。
「う、ううん違うの。た、たしかにハリーは怖いけど。か、庇ってくれてありがと。
えへへ。うん、ちょっと嬉しかったのと。喧嘩して離れていく子もいるんだなーって思ったんだ。私達そこまで仲が悪くなかったのにね。
小さい時は、早く大人になれたらって思ってたけど、大人っていい事ばっかりじゃないんだねって。」
なるほどな。子供の喧嘩は大したことないからな。でも、冒険者になったやつが同じだとおもってたらダメだろ。
魔物を倒せる力をもっていて、女の子を脅かすなよ。
「ああそうだな。ハリーも頭冷やせば違うかもだけど、どうなるかは彼奴次第だな。
うん、仲間ができたり不仲になったり。子供でも喧嘩はあるけど、仲直りができる。
大人はなかなか仲直りはできないかもな。まだ俺達は大人半分だけどな。」
ちょっとやりすぎたのかね?しかし、俺が間違ってるとも思えんな。
そういえば囲碁はバランスだとか自分で言っていた気がするが、戦うべきところは戦うってのはバランスのうちだぜ。いや、ほんとだって。
結局生き方って、囲碁に限らず出てくるもんだって思ってる。優しいだけじゃだめだって俺が思ってるってことだな。
・・・・・
今日から普段も出店で買い食いも始めた。元々最低限の食事だったからいくらでも食えるが、食べ物だけは安いので助かってる。今のペースだと遠慮する必要もない。
二人は定番の肉串に果実水と今日はキッシュ。キッシュはお腹にたまっていい感じだ。卵料理だっけ?うまいなぁ。
「おいしい。中のジャガイモもほくほくしておいいし、野菜と具が色々あってうれしい。」
リリーは幸せそうに食べてる。うん、うまいものを仲間と食べるのはほんとにいいな。俺達でも買える食事ってのはほんと有難い。きっと植物魔法や農業、畜産系のスキルのおかげだろう。
植物魔法もそのために使うのが正統ではあるんだろうな。こうして恩恵があるし。
リリーは何で冒険者やってるのかな?
そりゃ農家にいい就職先は難しいだろうけど、我慢するってこともありだよな?
今は順調で楽しいし、こっちで良かったとは思うけど、そりゃ最初は悩んだろうな。
※本日の成果(七日目)
報酬 6000G(このステージだとこんなものか。)
孤児院へ 0G
残り 17,000G(△¥600円買い食い)二人分
G級 変化なし(二人共)
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