第11話
俺達は教えてもらった武器・防具屋へ向かっている。ローポーションならそこでも手に入ると聞いたので、まとめて買い物予定だ。
「ヒロ。さ、さっきは黒ちゃん達の技を全部使わなかったのはどうして?
も、もしかしたらもっと銀貨もらえたかもしれないよ?」
うむ。当然の質問だ。なにせ先日まで小遣いすら持っていなかった超貧乏孤児院の住人だ。
銀貨(一万円)が増えるという可能性に気が付かないはずがない。
「リリー、これは一緒に冒険やっている仲間だからいうぞ。いいか、二人だけの秘密だぞ?」
なぜかリリーは少し赤くなってコクコクッとあわてて頷いた。
「俺のスキルはどうやら優秀だ。だけどな、ほどほどに優秀ならまあいいんだ。
でも、孤児院出身の初心者冒険者が、とても優秀なスキルをもっていると知られるとやっかみを受ける。今の俺達だとそれは怖いだろ?
それに、そんな事考えて目の前の銀貨につられないなんて普通は想像しない。
なにせ超貧乏だから俺達(笑)
つまり、あれで全力だと周りは思うってことだ。
ま、アリア姉あたりは察しているかもだけどな。あの姉ちゃんはいまのとこ大丈夫だろ。」
「た、たしかに周りの冒険者にやっかみをうけそうなのは怖いね。わかった、二人だけの秘密だし、黙っておくね。」
何故かすこし挙動不審になったリリーが頷いて納得してくれた。
秘密ってのがうれしい年頃かね?((君も同い年だけどね))
・・・・・
武器防具屋をみつけた俺達は中に入る。
「いらっしゃい。うん、お前たち孤児院のやつか?
ん?そりゃーみればわかる。なに、ポーションとナイフがほしいって?
防具はいいのか?何?金がねぇ?
孤児院育ちなら、そりゃそうだろうな。ちょっと予算いってみろ。
何?銀貨7枚もってるのか。たいしたもんは買えねえが初心者にしちゃたいしたもんだな。
ナイフもいいが安くても防具はつけとけ。死んだら元も子もないぞ。
あぁ、金がねえのはわかったって。何、中古のやつで小さいやつなら全部込みで最低そろうだろ。ちょっとまってろ。」
口は悪いが愛想のいい店主の親父がいろいろ見繕ってくれた。
・ローポーション *1
・ナイフ鋳造小 *2
・胸当て中古子供用 *2
・小手 中古子供用 *2セット
・布腰袋 中古小 *2
これで銀貨7枚(7万円)
元日本人としては高いだろう!と思うが、ここは異世界。食べ物はまあまあ安いが、それ以外はびっくりするほど高い。
ほとんどのものが本来、銀貨1枚(一万円)以上だ。中古値引きでなんとか納まってる。
だけど俺達は孤児院超貧乏冒険者。これはありがたいだろう。
「おっさん、ありがとな。将来強くなっても贔屓にするぜ。」
「へっ。死なずに冒険者やれたらまたきな。なまいきそうなやつだが、油断すんじゃねえぞ。」
なんとなく気のいいおっさんで気分よく買えた。そういえば名前を聞いたらトムって名前のおっさんだった。次から親父さんとよんであげよう。
リリーと俺は初めての防具がうれしくて早速身に着けてみる。
これだけで初心者から抜け出たように見えるから不思議なもんだな。
※本日の成果(三日目)
級位 23 → 22
スキル増加 (シチョウ)
レベル 変化なし
魔力 11 → 12
報酬 3000G(二人で)+レアスキル報告70000G
孤児院へ 0G
ポーション・胸当て等出費 △70000G
残り 6000G(二人で)
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