第8話

 しばらくリリーと一緒に活動する。一応パーティ扱いだ。G級だからたいした意味はないが、初心者が一人より安全だろう。


 東の森の浅いところで、薬草Gを採取しながらスキルの訓練だ。


 ツタと枝で作った背負子1号と2号は、さすがに1日では壊れない。

 いや、案外持ちそうだ。ちゃんとしたものを買うまでに持たせるか、また作ればいいだろう。


 それより道具を増やさないとな。


 やっぱり袋か肩バックはほしい。


 俺たちの服は貫頭衣っぽい貧乏服で、ポケットなんかついてない。


 布はこの世界では安くない。裁縫ができれば端切れでパッチワークもいいかもだが、裁縫はできないし、針と糸にしても買わないとない。


 とにかくナイナイ尽くしではあるが、そこをなんとかしないと始まらない。


 最初は道具作りに時間がかかったが、今日からはクエストを目いっぱい頑張れる。


「リリー、植物魔法が使えるってことは、植物と相性がいいってことだ。


 さて、薬草と会話はできるか?・・・できないかー。それはそうだな。


 じゃ、薬草がどのあたりに生えていそうかわかるか?・・・難しいか。索敵スキルじゃないもんな。


 じゃ、採取したあと頑張って次早く育つようにスキル使ってみてくれ。」


 いろいろ無理な注文をしてみたが、とりあえず植物操作のくねくねと、成長促進はいけそうだ。まだ、植物操作は猫だましのレベルだが。


 さて、二人で薬草Gを採取していると、なにやら草むらをうごめくやつがいる。


「おお、スライム発見。リリー後ろに下がれ。もしそちらへ向かったら植物操作で猫だましだ。」


 ツタや枝がじゃましたらスライムくらいなら猫だましみたいにびっくりするか、そっちを攻撃するだろ。たぶん。」


 さてと。黒(ノワール) 続いてあのスライムへ(アタリ)


「アン、アン、アン!」ザシュ!


 ・・・コロンとスライムが消え、小さい魔石が落ちる。


 魔石はそのままでも買取できるが、魔道具の燃料にもなる。


 孤児院だとたいしたものはないが、それでも電灯、コンロの魔道具はあり、簡単な魔道具は魔石なら何でも燃料として使える。


 これで50Gか。アタリだとオーバーキルだな。といって強い魔物はこちらの防御が弱くて怖いし、そもそもクエストにならない。


 早く上のクラスに上がりたいなぁ。まあそれはそれとして、G級魔物は瞬殺できた。

 木の棒でも戦えそうだが、接近戦はこちらも攻撃を受けてしまう。


 スライムは弱いが、酸をはく。服が溶けたり、皮膚に火傷ができてしまうとつらい。


 ノワールが戦えるのでこの点初心者としては助かる。ノワールは多少怪我をしても、待機時間が増えるくらいで復活できる。


 やったことないけど、感覚的にやられてしまっても復活はできるのがわかる。だけど、クールタイムは一日かかりそうだ。このあたりもスキル所持者には知識としてなぜかわかる。


 うーん?そうだ。


「リリーちょっといいか?この細いツタを網状の袋にできるか?」


「やってみるよ。魔石だと袋がないと運ぶの大変だもんね。なんとなくやれそうな?・・・。」


(ススススーサワッ)


 おーざっくりとした網袋ができたと思ったら、葉っぱが少し大きくなって網目をカバーした。これなら上手にツタで作ったと見えるし、小さい魔石がこぼれなくていい。


 しかし、金かかってないな(笑)


「ナイスだ、リリー。そのツタ袋?あと3つほど作ってくれ。ついでに腰ひも二人分たのむ。背負子の他に腰袋として便利につかえるぞ。」


「わ、わかったよヒロ。し、植物魔法って使い方次第で便利だね。うん。頑張って色々作るね。」


 ま、ごっこ遊びとしか見えない装備だが、これで稼げるぜ。


 とりあえずナイフくらいはほしいな。あ、先にポーションだな。


 ※本日の成果(二日目)


 級位 24 → 23 (スライムを何匹か倒したからかな?) 

 スキル増加無

 レベル 変化なし

 魔力 20 → 21 (お、このペースで少しあがるんだな。)

 報酬 2000G(二人で)

 孤児院へ 0G 

 残り 3000G (二人で)

 G級 変化なし

 


 ※ちなみにF級へ上がるには100Pいるらしい。

 一概に言えないが一人で1000G稼いで1Pつまり十万G稼いだらF級だ。

 まだまだかかるが、数カ月であがりそうではある。

 

 食事はまだ孤児院で朝晩無料で食べられる。一か月だけだけど。

 孤児院判断で二カ月救済の子もいるらしいが、俺たちはだめだろうな。

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