第7話

 さてと、黒(ノワール) 


「え?こ、子犬? え、ヒロのスキル?わぁーかわいい。ちょっとなでていい?


 さすさす、すりすり。うーん、かわいい。嚙みつかないし、いい子だし、モフモフがいいね。」


 なに、そういえばモフモフしてなかったな。


 モフモフさすさす・・・。


「す、素晴らしい。ビューティフル!黒。お前は俺の天使だ!

 痛っ え、なんで叩くんだよ? なんとなく? いや、なんとなくで叩くなよ。」


 よくわからないリリーと、あーだこーだ言いながら、二人でモフモフを堪能した。


 ・・・。いや、そうじゃないーーー。


「す、スキルの検証だったな。さてと、まずできるのはと。


 黒(ノワール)あの木にむかってやってみろ。(アタリ)」


 囲碁技の基本中の基本。


 囲碁ってのは、簡単に説明するとわかりにくい。いや、なにいってんだと思うだろうが、人によって説明が変わるんだよ。


 将棋ってのは、相手の王様を取れば勝ち。チェスも基本同じ。


 囲碁ってのは、陣取りが一番近い。近いって言い方はそれだけじゃないからだ。


「囲碁は陣取りゲームだ。」


「囲碁は相手の石を取るゲームだ。」


 その両方が囲碁だけど、人によってその言い方の比重が変わる。


 そして、将棋やチェスが論理的なゲームに見えるのに対して、囲碁は感覚的な要素が強い。(将棋やチェスファンの方、独断ですみません><)


「この戦いは美しい。」とかはまあ他でもあるとして


「あの辺りは厚い。いい厚みだ。」とか


「あの形は愚形だ。見るに堪えない。」


 なんて表現するやつがいて、そしてそれが普通である。すでに絵画に近い気もする。おれは下手だったから、信憑性は少ないが長く遊んでいたことは間違いないので事実である。


 さて、囲碁にも基本技はある。


 相手の石をとる。相手を隙間なく囲ってしまえば取れるのだ。


 ちなみに最後の一手で囲んでとれる状態を、(あたり)という。別に宣言してもしなくてもいいんだがな。


 俺が(アタリ)スキルを使うと、ノワールが木を囲んで3匹に分身して爪で同時攻撃した。


(ザクッ)


「おーそんな感じか。大木はまだ無理だけど、細いのならいけそうだ。


 うん。多分だけどスライムは行けるだろ。十分な戦闘スキルだね。」


 MP消費はと。


 えーと。ノワール召喚とアタリスキルでそれぞれ消費する感じだな。


前にほっておいて消えたところを見ると維持するのにも魔力消費あるな。


 MPは増やさないとだな。おっと。


「リリー。ん?ああこっちのスキルみてたのか。いいか、リリーも植物魔法をいっぱい使えるように訓練がいるだろ?


 で、大事なのが訓練のやり方だ。


 俺にはみえないけど自分のMPみながらどれくらい消費するかチェックしといて。


 で、そうだな。寝る前は全部使うようにしてくれ。とても疲れるだろうが、少しづつ魔力がふえやすい。


 日中は少しは残すように注意しながらそれでも使い続けるようにしてくれ。

 それもやっぱり増えやすいそうだ。


 活動時間中で魔力を使い切るのは怖いからな。疲れて動きにくいとかもそうだけど、いざという時にスキルがつかえないしな。」


 このあたりは事前に調査済み。


 孤児院育ちとはいえ、孤児院から冒険者になった先輩から色々話はきいていて、どうやら増えそうだってわかっている。


「う、うん。わかった。そ、それでねヒロ。しばらく一緒に活動してくれないかな?」


 おや、そういえば知らない間に一緒の活動の流れだったけど、そもそもお試しって話だったな。


 そうなだ。こうゆうことはちゃんとしないとな。


「よしわかった。リリーが冒険者にむいているかどうかわかるまでは付き合ってやるよ。


 で、おれと組むかどうかはそれから考えろ。他の女の子の冒険者になるやつがいたらそいつと組むのもいいかもだしな。」


「あ、ありがと。よ、よろしくね。」


 植物魔法はこの世界ではまだ冒険者として認められていないからな。どうなるか試してみるとしますか。


 とりあえず今日は薬草を探して採取してみる。


 このあたりには薬草Fがあった。そんなにはたくさんはとれないな。


 採取して、近くの川で泥汚れを落とす。それを細いツタで縛って簡易背負子1号と2号に積んでいく。


 ・・・。スライムはでなかったので、何度かノワールの訓練だけした。


 ※本日の成果(初日)


 級位 25 → 24 

 スキル増加無

 レベル 変化なし

 魔力 変化なし

 報酬 1000G(二人で)

 孤児院へ 500G (二人で)・・・と思ったら、最初の一か月はいらないそうだ。

 残り 1000G(二人分で千円ってことね。うーむ。)


 今までは一文無しだったんだから、大成果ではある。あるけどなぁ。まだまだこれからだね。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る