2年後編

第20話

「やはりこの学園で一番はアイリス様ですね!!」


「あの三年の首席を一撃で…」


「勝者は2年のアイリス」


パチパチ


私はあの後、王都に出向き名門”セプテンバー魔法学校”に入学した。


「アイリス様!!手振って!!」


「やっぱり可愛いなぁ〜」


入学して魔法の基礎を学び直した結果、私は2年で先生を含め誰も勝てる者は居なくなっていた。


「お疲れ、アイリス。」


「うん。」


この人はキルト、私の同級生でよく絡んでくる。


「やっぱりお前は強いなぁ!初めて会った時から俺は才能があると思ってたよ!!」


「そう。」


別にこの学園で最強になっても意味がない。

私はもっと上を目指しているから。


2年前のあの約束を果たす為に。


.


.


.


2年前


「見つけましたわよ、お兄様!!そして…泥棒猫!!」


「お、お前は…」


旅の途中にとある女に出会った。


「リリ、何故君が…」


リリという女だった。


「お兄様!!こんな泥棒猫達なんて置いて王都に帰りましょう!!」


「お、王都…」


「あら、知らないの?というかお兄様は言ってなかったのかしら?彼はね今後、リリガントの王になるお方”王子ラモンズ様”なのよ?」


私を含めみんなが動揺しているのがわかった。


「だから!!あなた達とはお似合いではないの。」


「ラモンズさん…それって本当なんですか…」


「そ、そうですよ!ウチらまだ旅の途中…」


「黙っててごめん。」


今までになく悲しい顔をラモンズさんはしていた。


「さぁさぁ、お兄様!帰りますよ!!そして、泥棒猫は消えてください。キングスキル…ライトニングボルト!!」


激しい雷の音が轟いた。


「消えて無くなりなさい!!!」


「逃げろ!アイリス!みんな!」


「で、でも!ラモンズさん1人には…」


「まだまだやりたい事あったけど楽しかった、ありがとう。転移魔法!3人をトライへ!!」


「ラモンズさん!!!!!」


私達はトライに飛ばされた。


.


.


.


「学園長、お話があります。」


「どうした、アイリスよ。」


「私、この学園を辞めさせていただきます。」


「今なんと?」


「私はまだまだやらなきゃいけない事があるので、それでは。」


こうして私は再びトライへ戻るのであった。


何故ならこの手紙が届いたから。



“2年の時が経ち集いしモノよ。

これより、我ら最強への道を行く。”


.


.


.


「現在魔族は撤退している地域も多く、順調に進んでいます。」


「そうか、ありがとう。」


「流石はムサシだな。」


「いやいや、俺の力だけじゃないっすよ…」


俺はこの2年間、トライでバイスさんに紹介してもらった魔族退治の仕事をしていた。


「お疲れ!相変わらず強いなぁ〜」


この能天気そうな奴はタケルといい、バイスさんの話によると、”間違いで転生先を選ばれ詫びとして7777連ガチャチケットを手に入れた男”らしい。俺にもよくわからんが…

まあ本人曰くガチャのおかげでSSR URなどの武器を所有しるらしくて、俺と共にデビルスレイヤーとして活動している。 


「タケルさん!サインください!!」


「タケル様〜」


「うへへ〜しっかたないなぁ〜」


この能天気ぶりがこの今の暗い世の中にはちょうど良いのかもしれない。


ラモンズさんと離れて2年近く経つが今までが嘘のように鬼の攻撃が減り、魔族の国ザキルから侵攻も減っていたが逆にその異様な空気から緊張感は増しているのかもしれない。


ただ、俺は鬼を倒すだけでなくもう一つの大きな目標があるのだ。


.


.


.


2年前


俺たちはトライに飛ばされた。


「こ、ここは…」


「トライですね、ラモンズさんが冒険者になった場所…」


「ウチら飛ばされたみたいだね。」


「おーい!大丈夫か〜」


人が駆け寄っていた。


「バ、バイスさん!」


ラモンズさんの友達のバイスさんだった。


「あ、あの!ラモンズさんが!!」


「詳しい話は僕の基地で聞こう。」


そうしてライフオブホープの基地で話を聞いてもらった。


「あの、ラモンズさんが王都に…。」


「ついに来てしまったか…」


「ついにとは?」


「あぁ、ラモンズ君の正体を聞いたのかい?」


「は、はい。」


「実はね、僕は知っていたんだ。何故ならラモンズ君とは何年も前から知り合いだからね。」


「そうだったんですか…でもなんでわざわざ王子が旅に?」


「まあ詳しくは本人の事だから言えないけど、彼は王の事が大嫌いなんだよ。だからこそ違う道を選んだんだろうね。」


「あ、あの!」


ムサシさんが発言した。


「俺たち今から助けに行きたいんです!」


「そ、そうなんで…」


「それはダメだ!」


「え?なんで!」


「はっきり言わせてもらうけど、今の君達の実力じゃ救出どころかせっかく逃してくれたラモンズ君の無駄になるよ。」


「じ、じゃあウチらは…」


「今から2年だ。」


「え?」


「まずは準備しよう。この2年でみんなは王に戦えるようになれるか?」


「絶対なるよ。」


「私もです!」


「ウチも!」


そうか、じゃあ僕は僕で準備するよ。そしてこの言葉を覚えていて欲しい。


2年の時が経ち集いしモノよ。

これより、我ら最強への道を行く。


「この言葉がまたここに集う合図だよ。」


「まあ行く当てが無ければ僕がバックアップするし、修行でもパーティでもなんでも言っていいからね。」


「俺はバイスさん、あんたに力を貸して欲しい。」


「ウチは一旦、ヤマトで忍術の修行しようかな。その後はメリルガに行くかも。」


「私はセプテンバー魔法学校に入学して魔法を学び直します。」


「それでは一度お別れしましょう。」


「また2年後ここで…」


ー続くー

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